The consequence of financial incentives for not prescribing antibiotics: a Japan’s nationwide quasi-experiment 抗生物質を処方しないことに対する金銭的インセンティブ「小児抗菌薬適正使用支援加算(小児科外来診療料)」の影響:日本全国を対象とした疑似実験

日本から、診療報酬の加算を利用した研究が出たようです。

https://academic.oup.com/ije/article-abstract/51/5/1645/6555975

抗生物質の過剰使用に対処するため、日本では、対象となる医療機関が早期の呼吸器感染症や消化器感染症に抗生物質を処方しない場合、金銭的報酬を請求できる医療政策を立案しました。この政策は、2018年4月に小児科クリニックで試験的に導入されました。
抗菌薬スチュワードシップとしての抗生物質の適切な非処方に対する全国的な金銭的インセンティブ[1件あたり800円(≒7.3 US D)]が、小児医療の日常的な現場における抗生物質を含む処方パターンおよび医療利用の変化と関連するかどうかを、準実験的、傾向スコアマッチ、差異差分(DID)デザインにより検証した。データは、10 180の対象施設または対象外施設で治療を受けた553 138人の患者のうち、9 253 261人の感染症症例から構成されている。
2959の対象施設が316 770症例を請求し、2億5300万円(≒229万ドル)を獲得した。
非適格施設と比較して,適格施設における財政的インセンティブの導入は,抗生物質処方の過剰な削減と関連していた[DID推定値,1000症例あたり-228.6日の治療(DOT)(95% CI,-272.4~-184.9),17.8%(95% CI,14.8~20.7)] .この導入は,呼吸器症状に対する薬剤[DID推定値,1000例あたり-256.9DOT(95%CI,-379.3~-134.5)]と抗ヒスタミン薬[DID推定値,1000例あたり-198.5DOT(95%CI,-282.1~-114.9)]についても過剰な減少に関連していた時間外受診[DID推定値、1000例あたり-4.43件(95%CI、-12.8~3.97)]や入院[DID推定値、1000例あたり-0.08件(95%CI、-0.48~0.31)]には過剰がみられなかった
本研究の結果は、抗生物質を処方しないことに対する医療機関への金銭的インセンティブが、医療に悪影響を及ぼすことなく抗生物質の処方を減少させることに関連することを示唆するものであった。日本の新しい医療政策は,比較的小さな経済的インセンティブによって不適切な抗生物質処方を直ちに削減するための政策オプションを我々に提供した。

小児抗菌薬適正使用支援加算(小児科外来診療料)は以下などで説明があります。

https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/7733/

https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/7733/



こういう、医学的にまっとうなことに対して加算がついて、その取り組みについて研究がなされ、好ましくないことが生じていないことを確認する、というのはとても重要だなぁと思います。
また、こういう日本ローカルの内容が、欧米ジャーナルに掲載されているのは、素晴らしいなと思いました。
日本の診療報酬制度について分析して欧米雑誌に掲載された論文、他にもあれば集めたいなと思いましたので、教えてもらえると嬉しいです。

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