医師不足の山形県立河北病院 休診の回避、町長が求める
医師不足の山形県立河北病院 休診の回避、町長が求める
青山絵美 2019年8月14日13時00分
医師不足のため山形県立河北病院(河北町)の小児科、眼科、皮膚科の3科が9月から休診の可能性がある問題で、森谷俊雄町長が13日、県内の医師配置を検討する蔵王協議会の嘉山孝正会長(山形大学医学部参与)に、町民で作る「県立河北病院を支援する会」として、休診回避を求める緊急要請書を出した。
山形県河北病院、3科休診か 山形大が医師引き揚げ方針
森谷町長から要請書を受け取った嘉山会長は「医師が辞めようとするのを止めることはできない。(人員補充についてなら)県が配置の要請を出せば前向きに動きたい」と答えた。
森谷町長はその後、県を訪ね、同様の要請書を出した。大沢賢史・県病院事業管理者は「退職について、山大側からは人事の都合などで引きあげるとの説明だった。山大側にはあくまで引きあげを撤回してほしいと要請している」という。
森谷町長は「町民からは住民が取り残されているという声もある。双方に、不安に思う地域の声を理解していただければと思う」と話した。(青山絵美)
【記事内容ここまで】
私は、ここに住んでいるわけでも、地元でも、職場でも何も関連はないですが、河北町の肉蕎麦は大好きなので、ちょっと気になって調べました。
地方の医療の衰退・崩壊の記事は日常的に目にします。
「地方の医療の衰退・崩壊」とひとくくりにしましたが、内容は様々です。
これは本当にまずい・・・というものもあれは、調べてみるとそうでもないのに記事になっているものもあります。
また原因が、大学の身勝手や医者個人によるものもあれば、地方行政・首長側の問題・勘違い、住民の問題、などいろいろあると思います。
ですので、丁寧に多方面から解釈することが重要だといつも感じています。
河北町ですが、その通り市ではなく町なんです。人口1.8万人。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E5%8C%97%E7%94%BA
そもそも論として、この規模の地方自治体に、総合病院があること自体、かなり違和感があります。
めちゃくちゃ地理的に隔絶されているならまだわかりますが、ここはそうではないです。
結構平らな平地で、良い道路もあり、より大きな病院が複数ある山形市まで車で30分で着きます。
町長も便利な町だとあいさつで書いていますので当然ご存知です。
そんな状況で、こんな場所に、総合病院は必要なのでしょうか?
そもそも今回山形大学が医者を引き上げる理由が、「利用があまりないので」、ということでした。
今の時代、良いか悪いかはさておき、地方の患者さんは、結構ご自身で移動し、都市部の医療機関を受診します。
ブランドを求めるのか、地方の病院という時点で信頼していないのか理由はわかりませんが、それが現実。
ニーズがないのに、高いコストかけること自体、ナンセンスでしょう。県立ですので、県の税金が投入されています。
ここの病院は年間5億の赤字だそうです。
http://www.town.kahoku.yamagata.jp/usr/imgbox/gikai/20190528164215.pdf
http://www.soumu.go.jp/main_content/000599225.pdf
この病院の運営・財政負担は県です。
町は運営を担っているわけではないので、「ないよりは、ある方が便利(でも使わないけど)」、くらいでないでしょうか。
ちなみにこの町の一般会計は年間95億円規模らしいです。http://www.town.kahoku.yamagata.jp/files/20190327164628.pdf
もし、町の予算の5%にあたる金額の赤字を負担してね、といわれたら、それでも医者を引き上げるな、といういのでしょうか。
ということを書くと「貧乏な地方には医療は無くていいのか」という人もいると思いますが、そんなことは書いていない。
上にも書いたように、近くに大きな病院が複数あるんだから、そっちをみんなで使いましょうよ、ということです。
町が行うべきは、住民が、そういう病院を利用する際の、移動の手伝いをすることではないでしょうか。
タクシーの補助を出すなり、オンデマンドバスを出すなり。
それはそのまま町の雇用にもつながります。
大きな病院の方が基本的には質の高い医療になるでしょう。
医療労働者の雇用環境を持続可能にするためにも医療機関の集約は必要です。
全ての田舎に総合病院を作っていたら、医療者が何人いても足りませんし、暇な医療者を田舎に貼り付けるだけではないでしょうか。
ナンセンスです。
新聞などのマスコミは、ただ事実を垂れ流し、大学の893体質を批判するのが仕事ですか?
大学や医局はいつも悪者ではありません。
本質をとらえてください。ジャーナリズムはどこへ?
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記事を書いた3年後に追記
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西村山地域の医療体制検討会議 病院統合など3つの案
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20220824/6020015019.html
西村山地域には、大江町を除く4つの市と町に県立河北病院など合わせて4つの公立病院があり、施設の老朽化や医師や看護師の確保などが課題となっています。
県の担当者は、▽県立河北病院と寒河江市立病院には同じような診療科があることや、▽住民の半数以上が山形市内の病院に入院していることなどを報告しました。
そのうえで、今後の医療体制として、▽県立河北病院と寒河江市立病院を統合する案と、▽この2つの病院の入院機能を寒河江市立病院に集約する案、そして▽現在の医療体制を維持する案の3つの案を示しました。
これに対し、参加者からは「財政は厳しいが地域に医療は必要だ」とか、「介護や福祉関係者にも意見を聞いた方がよい」といった意見が出されました。
検討会では今年度中に方向性をまとめたいとしています。
【記事内容ここまで】
まぁ3年前にもいろいろ調べて書きましたが、基本的には統合する方が、住民のためであり、そこで働く医療従事者のためであり、財政支援する県や市のためであると思いますけどね。
お隣新潟県では、二次医療圏ごとに病院の統廃合を進めています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000861981.pdf
これができる理由として、(私見ですが)新潟の保健福祉部長が、ずっと厚労省医系技官ポストであることがあるように感じます。
やはり厚労省との強いパイプは重要でしょう。
またこういう大仕事は、ずっと地元にいるたたき上げの人には、難しいでしょう。この仕事が終わることにはいなくなるからできる、というのはあると思います。
今の新潟の保健福祉部長になってからというもの、県央病院のPRも上手だなぁと思いますし、
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/chiikiiryo/1356819900468.html
医者・研修医が集まらない佐渡病院に、ハーバード留学を餌にして、京都から女性のDrを引き寄せています。
https://www.youtube.com/watch?v=gkSOMgSU6I8
山形含めて日本のいろんな地方で、こういうワクワクする夢のある話をどんどんやってほしいなぁと思います。