日本の訪問診療は、心不全の増悪による再入院を外来よりも減らるか?


J Gen Intern Med. 2023 Jan 17.

doi: 10.1007/s11606-023-08030-9. Online ahead of print.

The Effect of Home Care Support Clinics on Hospital Readmission in Heart Failure Patients in Japan


https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36650335/
背景 心不全は一般的であり、高い入院率を伴う。日本では2006年に在宅療養支援診療所・病院(HCSC)、2012年に強化型HCSCが導入された。

目的 本研究では、一般診療所と比較して、従来型または強化型HCSCによる退院後のケアが再入院に及ぼす影響を検討することを目的とした。

デザイン 日本全国の健康保険請求データベース(いわゆるレセプト)を用いたレトロスペクティブ・コホート研究。

参加者 参加者は65歳以上、心不全で入院し、2014年7月から2015年8月の間に退院し、退院後1ヶ月以内に訪問診療を受けた者(n=12,393)であった。

主な測定項目 曝露は退院後の在宅医療を提供する医療機関の種類:一般診療所、従来型HCSC、強化型HCSCとした。主要アウトカムは初回訪問後6ヶ月間の全原因再入院とし,緊急往診の発生率は副次的アウトカムとした。死亡を競合イベントとみなし、Fine and Gray 法による競合リスク回帰を行った。

主な結果 6ヵ月後の再入院率は、従来のHCSC(38%)または強化型HCSC(38%)が、一般診療所(43%)よりも低かった。再入院の調整済み下位分布ハザード比(sHR)は、従来型が0.87(95%CI:0.78-0.96)、強化型HCSCが0.86(0.78-0.96)であった。緊急往診は、従来型(sHR:1.77、95%CI:1.57-2.00)および強化型HCSCs(sHR:1.93、95%CI:1.71-2.17)において増加した。

結論 高齢の日本人心不全患者は、従来型または強化型HCSCによる退院後の在宅医療を受けており、再入院率が低かったが、これはおそらく、より多くの緊急往診による補償のためであった。従来型および強化型 HCSC は再入院リスクの低減に有効である可能性がある。HCSCが行う医療機能を確認するためには、さらなる研究が必要である。
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個人的な感想:
訪問診療の意義が証明されてよかったですーともいえますが、外来と比較するとあまり差がないですねー。コスト分析すると、外来の方がコスパが良いとなりそうに思いました。訪問の社会的コストを考えると、外来よりも半分くらいにできていれば、驚きますが、、、まぁ現実は、外来は循環器専門医で、訪問だと循環器専門医以外がほとんどなんでしょうから、そこの違いも大いにありそうに思います。循環器専門医が往診していれば、かなり減らせたりするのかな。まぁそれをやるのは社会的にあり得ないわけで、一般医訪問+循環器Drコンサル、があれば、また違うのかもしれませんが、それもコストですからね。

・そもそも半年の再入院率が4割とはかなり高くないか?と疑問を持ちました。循環器内科の感覚をきいてみたいところです(➡とある友人曰くこんなもんじゃないかと)。半年以内に4割が再入院していたら、ベッドがいくらあっても足りなくないですかね苦笑 新規心不全の人もどんどん増えていくわけですし。

まさに心不全パンデミックですね。

https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/01/



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