見出し画像

鉄道会社はなぜ儲かるのか。そして、鉄道事業はなぜ儲からないのか。

また奇をてらったおかしなタイトルをつけたと思われるかもしれないが、これは何もおかしな話ではない。

鉄道事業とは、鉄道用地を買収して、人員を確保し、線路と駅をつくり、車輌を購入し、施設の検修体制を整え…といった事が必要で、莫大なコストが当然必要である。

鉄道敷設のための事業免許を取得する必要があるが、沿線自治体すべての同意(都市計画や環境アセスメントとの兼ね合いで問題が無いかチェックされる)があり、用地買収の目途が立っていなければ、国(国交省)からの免許の交付はまず無い。

そして、鉄道事業従事者というのは、上席の職員から末端の協力会社のアルバイトに至るまでかなりの重労働なので、賃上げ要求は必ずある。わたしの居る協力会社も、委託料の一部値上げを要求しているし、会社本体でも、感染症やテロ対策で大半の社員の作業量が増していることを鑑みれば、労使交渉でそれが俎上にあがることは間違いないだろう。

電車で運行するのであれば、電気代の負担も大きい。燃料代が上がれば電気代も上がる。3.11以降、鉄道会社のような大口電力契約者は、かなりの負担を強いられている。

いわゆる「開かずの踏切」対策として、連続立体交差事業というのもある。これは、基本的には国と自治体の事業なのだが、それでも建設費以外に鉄道会社が持ち出す費用はやはり大きい。

突然に車輌を燃やす人もいる。テロである。電車の先頭車輌は、1億円前後する。昨今の事件では、事後の対応も含め、おそらく10億円近くはかかっているのではないに。ある程度は保険でカバーされると思うが、会社のイメージダウンも含め、損失は多大である。

このような中で、電車の運賃はいくらだろうか。関東では、初乗り140円程度の路線が多い。このほど東急電鉄が大幅値上げを表明したが、他社より低い水準を維持してきたのを、ほぼ平均的な運賃に改めただけである。

都心では電車の利用者が多いとはいえ、これくらいの「客単価」で、鉄道事業は黒字になるだろうか。

ここから先は

1,931字
「遺失物事務所歳時記」「児童養護施設のドタバタ日記」ほか、生活の中で面白いと思った事を共有します。詳しくはプロフィール記事をご覧ください。

西東緑赤の晴耕雨読

¥500 / 月 初月無料

「遺失物事務所歳時記」「児童養護施設のドタバタ日記」ほか、生活の中で面白いと思った事を共有します。詳しくはプロフィール記事をご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?