映画大好きポンポさんを観た!【ネタバレあり】

noteの方ではお久しぶりです、ツバメです。

今回は雑に映画を語る回。映画大好きポンポさんがめちゃめちゃ良かったのでその話を…。

ネタバレシャットアウトしたい方は多分読まない方が良いです。まぁもう公開からだいぶ経っているのであまり気にする人もいないかとは思いますが念のため。

【刺さり➀】冒頭のミュージカル‐Dance on fire/新妻聖子-
全編通して曲が最高に良かった...。1番はやはり冒頭のこの曲。
冒頭から物語の幕が上がる高揚感をそのまま示すようなランニングベースとストリングスのコンビネーションが最高。そして新妻聖子さんの歌が最高で最高で…。
クレジットで真っ先に確認してしまったよね。楽曲派オタクの端くれなので…。

【刺さり➁】ゆるふわキャラデザギャップ
このかわいらしい絵から放たれるリアリティさ、序盤の巻き戻し伏線回収の応酬はオッドタクシーに通ずる底知れぬ恐ろしさを感じましたね。
もちろん”アニメっぽさ”みたいなものもちゃんとあって、バランス感も良かった。ドーナツ食べたい。

【刺さり③】思想の強さ-映画か死ぬか‐
良い意味での思想の強さ≒熱意が全開の物語。
公式HPにもある”幸福は想像の敵”(足りないものを求めようとするから何かが生まれてくる→満たされて幸福な人間はそういう活動向いてないの意)以外に劇中でも”ものづくりしようとしている奴が普通なんてつまんない言葉使うんじゃないよ”とか、”死ぬか映画を撮るしかないんだ”(うろ覚え)みたいな、「この道しかないんだ」の熱量の高さは響いてしまった。
”幸福は想像の敵”については、ポンポさんがジーンくんを見出した理由に挙げた”眼の光がないから”の4分割の画面が金網を握りしめるジーンくんに移ろうシーンが強烈に印象に残った。
こういう「陰(いん・かげ)」の描写が力こもっててよかった。陰(かげ)の意味ではカフェでアランくんと別れるときの陽側と陰側の逆転が鮮やかで良かった。
こういうのって振りかざしすぎるたり、表現のチューニングがこちらと合っていないとノイズになりがちだけど、物語に夢中になれたのでスルスル吞み込めたな。

【刺さり④】時間との葛藤-現代社会において2時間を超える映画は娯楽として長すぎる-
物語のコアとして存在していた「編集≒切り捨てる・繋ぐ」という工程が、巡り巡って「映画大好きポンポさん」という作品に適応されて回収される仕掛け、本当に最高でしたね。なぜならオタクはああいうわかりやすい仕掛けに弱いので...。
何かを創りあげていくことに対する主観と客観のせめぎ合いなども含めて、ありふれた言葉で表せば”魂”を削って表現しているのが全開に伝わってきて良かった。
そもそもこの作品は筆者のようなオタクがメインターゲットなんだろうなとか自意識過剰気味に享受してしまいました。

【刺さり⑤】「共感」という言葉の昇華-物語の中に君を見つけられるか-
個人的に一番良かったのがこれ。「共感した」というフレーズは使い勝手が良いのは分かるけどそれが故に擦られまくってやや食傷気味に感じていたので、この表現の綺麗さには心を掴まれた。
自分好みの物語の中には大抵自分の感情を投影できる何かが存在している≒物語の中に君を見つけられるか?という問いかけだ。
確かに好きなアニメやドラマや小説に対して「この世界で自分が生きていくなら」とか「現実がこんな世界だったら、あの人が現実に存在していたら」のifを考えるのはあるあるだろうし(あるあるであれ)、オタクの心の片隅を軽妙につついてくるシーンだった。

【刺さり⑥】ウラをオモテにする仕掛け
全編通して脚本や監督の仕事の世界(≒ウラ)を事細かな描写で表現してオモテに出していた作品であった。
その構図がプレゼンのライブ配信にも応用されていて、銀行内の会議(ウラ)を全世界に発信してオモテに変えていたところは時流に乗りつつ巧い表現を重ねていて良かった。(役員たちの掌グルングルンすぎてちょっとアレだったけど笑)

【刺さり⑦】逃げ場としての映画(創作)
映画(もう少しデカい規模で言うと創作物)という存在の解釈は「足りないものを埋める場所」であり「逃げてこれる場所」というものだったように思う。
俗にいう「生きがい」ともほぼ同義だけど、「生きる甲斐を見出せるもの」というよりは「なくなったら死ぬもの、救われているもの」ぐらいの勢いの方が近いだろう。
そんな「映画に救われた人であるジーンくん」が「あの頃の自分(のような人)を救う映画にしたい」と階段を昇っていくのだから...。

と、ざっと勢いに任せてドバドバ書いてみました。
映画好きな人だけでなく(そもそも筆者自身劇場では3~5本見れば多い方だしサブスクでもあんまり映画観ない人間です)、何かに救われて生きている人、ウラ側好きになりがちな人、物語の構成の美しさに惹かれがちな人などには刺さりそうだなって感じです(全部自分の話)。
締めくくり方本当にニチャニチャできるので、原作読んで解像度あげてからもう一回ニチャニチャしにいこうかなと思っております。
以上、大事にしたい作品がまたひとつ増えてしまった話でした。
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました!


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