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4【連載小説】パンと林檎とミルクティー~作家・小川鞠子のフツーな生活日記~

4 書いた場面の影響って

 昔書いた小説の中に、主人公の女の子は18歳で煙草を吸う場面を書いた。 
 たまたま友人に読ませたら、「未成年なのに煙草を吸うのはダメだと思う」と、言われた。

 その後、男女の別れの場面。カフェで別の女性を好きになったから別れようという男性に、コップの水を頭からぶっかけた女性を書いた。
 同じ友人に見せたら「水をかけるのって、傷害罪だよね」と、言われた。

 情熱的に男性が告白する場面を書きたかった。
 どしゃぶりの雨の中、男性は女性を追いかけて、ずぶぬれで「おまえが好きだー!」と叫ぶ。
 その友人には「この男性、ただずぶぬれになってるだけだよね」と、言われた。

 なるほど。

 言われた瞬間は、何言ってるんだこいつ、と、友人とは1週間ほど連絡をしなかった。が。
 よく考えると、友人のいうことは最もな言葉。
 いくら「小説」という「フィクション」の世界の出来事であっても、今の現実世界に悪影響を与えるのは、違う。ミステリーの犯人は必ず捕まるかそれなりの制裁を受けるし、秘密なんて必ずバレると決まっているのだ。

 小説は、作り物の世界のお話。
 なんだけど、リアル感は必要なもの。
 リアルでなけりゃ、共感できない。

 さて。
 次はどんな小説を書こうか。
 わたしは、今日も自宅でミルクティーを飲んでいる。
 あ、駅前まで出かけてコーヒー飲んでこようかな。

つづく 

 


※1話完結の連載小説です。どこから読んでもオッケー。
1 朝は午前10時から
2 林檎ジャムに決まってる
3 設定がすべて

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