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ツバメroof物語(小説編)

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堺市にあるカフェのようなお店の話。 自分たちでDIYして2年がかりで作りました。 まだまだ進化中。日常を小説風にしています。 お店にもぜひ遊びにきてください。
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#建築事務所

【ツバメroof物語①】(半分フィクション半分ノンフィクション)/石井-珈琲係

~プロローグ~ 『飽きた』  これが11℃の二人の口癖で、私はいつもその言葉に振り回される事になっていた。  だけど最近では、この「振り回される」という表現は語弊が出てきた様に感じる。  私自身「振り回される」事を楽しむようになってきたし、何より、私も二人と一緒にいる内に飽きる体質がうつってきたせいかもしれない。    11℃というのは、建築士二人のデザインユニット名で、一人は私の姉でアイ、もう一人は姉の友人のその子さんだ。  何しろこのユニット名も、元々はミドリスイッチ

ツバメ物語13/珈琲係石井

 薄暗くて冷たい雨の中、その女性は、傘をさしながら小走りで近づいてきた。 「すみません、ずっと気になっていて、、、ここ何が出来るんですか?」  この質問に答えるのはいつも、そう今も戸惑ってしまう。カフェといえば自分だけの様だし、料理は出す気はないし、建築事務所といってしまえば、関心のない方は一度も足を踏み入れる事なく遠ざかってしまう。  「カフェの様な、、建築事務所の様な、、お店を考えています」  そうだった、お店だ。誰でも入れるお店。保健所で申請した時点でお店になる事は