【ツバメroof物語⑧】(半分フィクション、半分ノンフィクション)石井‐珈琲係
順番に手焙煎している間、市販の珈琲袋がちらちら視界に入る。私も時々購入するちょっと高めの珈琲袋。そんな私をよそに、しずくさんが、粗熱が取れた珈琲豆をゴリゴリとミルで挽いてくれた。
鼻の奥が広がる芳醇な香りは、焙煎時の香ばしさとは違った、深みのある香りだ。
そしていよいよ、珈琲を淹れる時が来た。一番重要だと思っていたが、なかなかこの時までも重要だった気がする。
しずくさんが、ケトルの細い口からお湯を注ぐ。全体に珈琲を湿らせた頃合いで、手を止める。煎りたての珈琲豆