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ネイチャーフィールドnote

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2021年9月の記事一覧

久野公啓の生き物よもやま話「タマゴタケ」

タマゴタケその名のとおりの真っ白な卵形の袋をつきやぶって 中から真っ赤な傘が出てくる不思議なキノコ 盛夏から秋にかけ ミズナラやシラカバの林で見られる 赤、白、黄色 と 毒々しい色づかいだが 意外にもおいしい食菌で 炒め物によい 他のキノコが少ない時期に採れることもあって 山里では人気が高い さて キノコには奇抜なデザインのものが少なくないが それはいったい 誰に 何をアピールしているのだろう 胞子を作って それをまき散らせば OK なはずなのに… よくわからぬ生き物だ <

里山大百科「夏」オオムラサキの生活

国蝶にも指定されている大型のタテハチョウ、オオムラサキ。 雑木林を代表するチョウと言ってもいいだろう。 力強く滑空する姿は、鳥をも追い立てるほどだ。 捕虫網で捕らえるとき、翅のはばたく力の強さに驚かされる。 雑木林の王様オオムラサキも、いまではずいぶん数が減っている。 ▲(写真右下)成虫の餌はおもにクヌギやコナラなどの樹液だが、獣糞や魚の死骸から吸汁することもある。写真の藁紐には動物の尿が染みついていたようだ。

里山大百科「夏」シギ

田んぼと田んぼのあいだに存在する休耕田は渡り鳥たちのオアシスだ。多くのシギたちはここで羽を休め、餌を取り、また南へ旅立ってゆく。 旅鳥たちの憩いの場所であった干潟の多くが消えてしまった現在、休耕田のもつ役割はきわめて大きい。 ▲休耕田の中をせわしなく動き回る中型のシギ、アオアシシギ。春より秋に見ることが多い。 ▲姿を見ることのまれなコアオアシシギ。さかんに餌を探している。

里山大百科「夏」植物らしからぬ植物

植物は必要な栄養をみずから光合成をすることで得ているのが一般的である。 しかし、植物なのに葉を持たず光合成をおこなわない、つまり生産者であることを止めてしまった変わり者もいる。 このような植物は、菌類との共生で地中の有機物を分解して栄養を得る腐生生活か、他の植物から栄養を直接奪う寄生生活のいずれかの方法をとっている。 ▲ナンバンギセル ナンバンギセルの花を正面から見る。開花後、非常にたくさんの細かな粒子状の種子を実らせ、冬の間に付近に散らす。 ▲(写真右下)ナンバン

久野公啓の生き物よもやま話「ツリフネソウ」

ツリフネソウ夏の終わりから秋にかけて 沢のほとりや 湿った木陰に咲く ホウセンカの仲間 通常は紅紫色の花をつけるが 写真のような ピンクのものもある 花はもちろん つぼみの形もユニークで 訪花昆虫も多い 今は亡き 大学の恩師は植物分類学者 ツリフネソウ類は彼の研究対象のひとつであった そんなこともあり 玄関先に叢生するツリフネソウを大切にしている この花を眺めながらのコーヒーは 晩夏の朝のお楽しみ 学業に厳しかったあの先生 今の私には どんな言葉をかけてくださるかなと 背