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元アドテク業界から見る、エネルギー業界の世界 〜「脱炭素経営 EXPO 秋」 で感じたこと〜

事業開発は、興味を持ったらとことん足を運んで情報収集することに尽きます。

最近は電力事業についても、目下勉強中です。今回、「脱炭素EXPO」に足を運ぶことで、脱炭素ソリューションにはどのようなプレイヤーがどんなソリューションを提供し、何がトレンドなのか?というメタな理解をしたいと思い、ブースに足を運び、勉強してきました。*個人の見解であり、所属組織とは関係ありません。

第一回ということもあり、EXPO自体はもの凄い熱気、コロナ禍とは思えないすごい人で、時代がきてるな・・・と思いました。

元々アドテクをしていた私からすると、脱炭素という文脈より、生活インフラである電力流通のデジタルトランスフォーメーション、エクスチェンジマーケット、アナリティクスや効率化といった文脈で電力事業の構造変化に興味があり、更に現在動いている変化がアドテクの構造の初期に似ているなと感じました。同じように感じる人とディスカッションしたいなと思い、まだまだ勉強中の身ではありますが、感じていることを書きます。

電力事業の構造がアドテクに似ている点

電力事業の面白いところでもあり、アドテクに似ていると感じた点をあげてみます。

アドテクのようにサプライサイドプラットフォーム(SSP)デマンドサイドプラットフォーム(DSP)があること。ただし、エクスチェンジマーケットはシームレスではなく、政府のチカラが非常に強い。

・利用者からすると今まではどの電力を使うかなど選択肢がなかったところ、電力小売が自由化されたことにより販売メニューが多様化。完全従量料金、定額料金制、指定された時間帯における節電状況に応じた割引など、新しい料金メニューも提供されるようになった。また、再生可能エネルギーなどの電源構成や、地産地消型の電気であることを訴求ポイントとして顧客の獲得を試みる小売電気事業者の参入も見られ、中には需要家が発電所を選んで得票数の多かった発電所に報奨金を与えることができるなど、特色のある小売電気事業者も存在している。(こちらのP.3引用)

・インハウス(電力でいうとまさに家の中)的なソリューションでいうと、エネルギーマネジメントシステム(EMS)というエネルギーの流れを見える化するGoogle Analyticsのようなサービスが出てきて、見える化されることで電力利用の効率化が可能になってきた。具体的には、冷蔵庫でどれくらい、クーラーでどれくらい、洗濯機でどれくらい、を時間軸で利用量が見えたりする。

・電力利用の最適化のレコメンドや、時間帯による料金変動に対応し、最安値で運用できるような電力利用自動最適できるようなものまである。それはまるで、設定予算内で自動運用してくれるようなDSPやマーケティングオートメーションのようなツール。

ただし、メインストリームのオークションが色々オープン化されそうにないので、相当取引量が増えない限りは、まだまだ実証実験レベルのP2Pのブロックチェーン取引がメインストリームになる時代は遠いのかな・・・と。この辺りの見立てについて、是非詳しい方、教えてください。

電力業界びっくり用語

電力業界用語で私がびっくりした用語のご紹介。展示会にも当たり前のように頻出用語です。

需要家(何かと思ったら、お客様のこと!)
EMS(マッサージではない。エネルギー管理システム。)
PPA(パパじゃない。Power Purchase Agreement、電力販売契約。)
卒FIT(フィットネス関連ではない。固定価格買取制度<FIT制度>の買取期間が満了した案件のこと)

電力市場における競争状況と、そこにある課題

サプライ側とデマンド側の間で売買がオークション形式で行われており、季節により単価が大きく変動し、脱炭素の流れで特にサプライサイドが一気に増えようとしている、幕開け前の今。ただしここでの売買取引のシームレス化は広告のそれに比べると進んでいない。入札や落札も最適化されていない。それにしては流通量が巨大で、電力小売も最近自由化されたことで、入札する小売プレイヤーが国内だけでも700社以上と多い。それにしては政府の介入の面や補助の面も強く、自由化しているはずなのに結構な依存状態。仕入れをオークションに依存し、オークションでの価格高騰による逆ザヤ現象も発生しており、電力小売プレイヤーも倒産する企業がポロポロ出てきて、商売として厳しい局面を迎えているところも少なくないはず。

以下、電力小売自由化で増えた「新電力」のシェア増加、新電力の電力仕入れの構造についての参考情報です。

電力小売における新電力シェアは16%へ(資料

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JEPX(オークション)取引量のシェアが急激に増大(資料

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新電力の電力調達は。JEPXからの調達が7割超え(資料

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電力ひっ迫と市場高騰についての分析は専門家の方が書かれているので、ご参考まで↓

サプライサイドの電力 vs 広告


<電力>
電力のサプライサイドは、電力を生み出す「発電面」。具体的には、巨大発電所(水力、風力、火力、原子力、太陽光、等)や、おうちの屋根にある太陽光発電のソーラーパネル。
この中でも、脱炭素的な流れでいくと今後国も企業も(再)注力していくのは「太陽光」。太陽光のパラメーターは面積と日照時間。面積や日照時間に応じて生み出せる電力の量が変わってくる。

↓おうちの屋根の無駄な部分を有効活用して、お金を生み出す場所

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<広告>
広告のサプライサイドは、広告を表示する「面」。具体的にはページの一部バナーの面積。
アクセス数によって、生み出すPV数が変わってくる。アクセスする人の特徴によって単価を高くすることも可能。

↓私のブログの無駄なスペースに、バナーを貼って収益化

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デマンドサイドの電力 vs  広告

<電力>
電圧も異なり利用量も多い高圧の法人
低圧の小規模法人や家庭用の個人需要家
とにかく安く買いたい、クリーンな電気を使いたいというニーズ。

<広告>
大量に広告を投下する大手広告主
個人商店でもDIYで広告表示している小規模広告主
とにかく安く買って、効果が出る広告を使いたいというニーズ。

第一回脱酸素経営EXPOのメモ

ということで本題。私のEXPOメモを公開です。あまりこの業界でnoteやブログ書く人がいなそうなので、誰かにとって貴重な情報になると良いなと思います。

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大きく分けると、このような内容です。

・土地活用して太陽光パネルつけましょう
・太陽光つける+補助金
・太陽光+自社利用や販売のソリューション
・エネルギー売買ソリューション
・排出量報告のソリューション
・節電ソリューション
・太陽光以外のクリーンエネルギーソリューション(水素・風力など)

排出量レポートシステム系

CO2シミュレーションやレポートシステムを提供するzeroboard(リリース

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脱炭素経営で必要となるのが、企業による報告。こういうサービスは必要とされそうですよね。

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C向けに、カーボンオフセットを体験できるような啓蒙活動はCSR的に一部流行りそうですね。

脱炭素クラウド

もう一社、脱炭素化のアナリティクス系のサービス。

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”二酸化炭素排出量を収益性高く、簡単に「可視化」、「管理」、「オフセット」できる組織のための脱炭素化プラットフォームです。”

脱炭素化クラウド、営業しやすそうなネーミングですね。

企業が発電所を持ち、ブロックチェーンに蓄電池

一番面白そうで、よくわからなくて、新しそうで、古そうで、もっと知りたいなと思ったのがこちら、創業Almost100年のDENKOSHA。コーポレートサイトを覗くと、省エネ戦士デンコウジャー®もいたり、insta(@de.denkosha)も運用していたり、好感度高いです!思わずフォロー。

資料はこちらより引用です

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企業が発電所を持つ時代というのが、脱炭素経営で進んでいくことでしょう。

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自社のアセットから発電し、電力プラットフォームでデリバリーしていく、そんな仕組みが美しい。

ブースからはてっきりスタートアップ企業かと思わせるようなシンプルさ、あとから気になってコーポレートサイトを見てびっくり、ギリ昭和(昭和3年設立)の企業でした。


オンサイトPPAモデル

今回、とても多かったのが大手企業によるPPAモデルの紹介。
こちらはDaiwa Energyの例。PPAモデルは勝負所ですね。

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変圧器による節電ユニット系

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トランス(変圧器)単位で電力削減というソリューションも、ありました。

店舗向け電力監視システム

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店舗むけに電力監視に省エネに、色々できるそうです。

「補助金採択率」で売る太陽光

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価格にダイレクトに響くので、ここは非常に大事ですね。

小売仕入向けサービスも

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ソーラーカーポート、屋根をきづつけない太陽光パネル

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屋根を傷つけない、そして見た目もオシャレな太陽光が増えていくでしょう。

アグリソーラーでグリーンエネルギー導入

SYOUEI CREATEはブランディングが突き抜けていました。

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これぞサステナブル経営、NGK NTKのセラミックでメタンに分解

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今回のEXPOはこういうブースがメインだと思っていました。各大企業がどのように脱炭素を実現していくのかという壮大なCSR的な話。

自動車関連はEVに移行していく中、事業のシフトが必要ですよね。だから自動車産業という巨大なマーケットこそ、脱炭素という文脈において結構深刻であり、かつチャンスでもあるのだと思うのです。

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NGK NTKさんのブースは研究開発ドリブンでしたが、まちづくりにも近い感じがして、技術系の会社の新規事業、PIVOTの一部を垣間見れました。

洋上風力は海外出展が多かった

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風力は、プラントというか建設というか商社っぽいビジネスですね。メインプレイヤーは建設会社だとは思いますが、一応新卒総合商社なので、これからは商社の風力プラントくぉウォッチしていきたいと思います。

その他私が参考にした情報です。

▷省エネ、脱炭素、電気代削減カオスマップを発見したのでご紹介

▷エネルギー業界全体の流れ・俯瞰図もご参照

▷P2Pでのブロックチェーン取引は注目ですが、まだ実証実験のタイミング。

さて、一通り私のメモを公開してみましたが、いかがでしたでしょうか?いいね!と思っていただけたら、是非スキ💛や、コメントいただけると嬉しいです。






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