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ルツ記の意味

[今日の聖句]
★ルツ記 1章15~18節
15 そこでナオミは言った「ごらんなさい。あなたの相嫁は自分の民と自分の神々のもとへ帰って行きました。あなたも相嫁のあとについて帰りなさい」
16 しかしルツは言った。「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることを私に勧めないでください。私はあなたの行かれる所へ行き、また、あなたの宿られる所に宿ります。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。
17 あなたの死なれる所で私も死んで、そのかたわらに葬られます。もし死に別れでなく、私があなたと別れるならば、主よ、どうぞ私をいくえにも罰してください」。
18 ナオミはルツが自分と一緒に行こうと固く決心しているのを見たので、
その上言うことをやめた。

★Ruth 1:15~18
15 “Look,” said Naomi, “your sister-in-law is going back to her people
and her gods. Go back with her.”
16 But Ruth replied, “Don’t urge me to leave you or to turn back from you.
Where you go I will go, and where you stay I will stay. Your people will be my people and your God my God.
17 Where you die I will die, and there I will be buried. May the Lord deal with me, be it ever so severely, if even death separates you and me.”
18 When Naomi realized that Ruth was determined to go with her, she stopped urging her.

おはようございます。
今日は旧約聖書の「ルツ記」について、最近考えさせられることがあり、
私の考えを皆さんにシェアしたいと思います。

旧約聖書には、創世記からマラキ書まで全部で39巻が収録されていますが、
そのうち女性が主人公の巻は、2つしかありません。一体、何でしょうか?



答えは「ルツ記」と「エステル記」です!
ルツさんもエステルさんも、とても素敵な女性です。

先週私は、偶然
「ミレーの有名な絵『落穂拾い』は、『ルツ記』に基づいた作品である」
という事実を知りました。
確かに、言われてみれば、ルツ記の中に、
ルツさんが落ち穂拾いの仕事をする場面があった記憶があります。
そこで、ルツ記を約5年ぶりに読み直してみました。
(なぜ5年ぶりだと分かるかと言うと、自分の聖書に2015年8月、と
日付が書き込まれていたからです)

※ルツ記は、たった4章の短い物語で、旧約聖書の中で最も短い巻です。
インターネットで探せば、日本語でも英語でも無料の聖書アプリでも
読むことができるので、皆さんも良かったら読んでみて下さい!


ところが・・・第1章を読んで、
これまでの自分が、ルツ記を読む際に、
とんでもない事実を見落としていたことに気付いて、
ビックリして、文字通りひっくり返りました。

本当に、聖書の「肝」であり「主題」である部分を読み落として、
表面的なことだけ読んで、納得して読んだ気になっていたのです。
「私は一体、聖書の何を読んでいたのだろう・・・」と自分のほっぺたに
往復ビンタをしたくなるくらい、恥ずかしくなりました・・・(涙)

そして、自分の家の本棚にある『絵画で読む聖書』(中丸明著)を読んで、
その事実を再確認したのです。

『絵画で読む聖書』中丸 明 著
https://amzn.to/2NUxCP2

「しかし、これ(ルツ記)を、不幸に耐えた異教の若い未亡人が、
神に祝福された物語と見るのは、ちょっと短絡すぎる。
異教の民の、イスラエル人への同化の問題を、この物語に凝縮させたと
言った方がいい。」  (144ページ)

ここで、私がひっくり返った理由を、もう少し詳しく説明します。

これまでの私の「ルツ記」の解釈は、ザックリいうと、このようなものでした。


★2015年の時点での、私のルツ記の解釈★
※私が解釈した物語をそのまま書いたので、変な文でお許しください

紀元前1000年の士師記の時代、ルツと言う女性がいた。
彼女は結婚するが、まだ新婚だったのに、夫が死んでしまう。
また、ルツの夫の兄も、オルパという女性と結婚していたが、
オルパもまた夫を亡くしてしまった。

ルツの姑に当たるナオミ(ルツの夫の母)は、二人の息子を亡くした悲しみの中でも2人の嫁のルツとオルパを呼んで言う。
「あなたたち、ここにいる必要はないから。
自分の故郷に戻って、再婚して幸せになってね」
オルパは、「はい、お義母様。今までありがとうございました!」
と言って故郷に帰るが、ルツは言う。
(ここで、冒頭の聖書の言葉を引用します)
★1章16節 しかしルツは言った「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることを
私に勧めないでください。私はあなたの行かれる所へ行き、
また、あなたの宿られる所に宿ります。
あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。
★17節 あなたの死なれる所で私も死んで、そのかたわらに葬られます。
もし死に別れでなく、私があなたと別れるならば、主よ、
どうぞ私をいくえにも罰してください」。
★18節 ナオミはルツが自分と一緒に行こうと固く決心しているのを見たので、その上言うことをやめた。

当時、夫のいない二人の女性が生きていくのは、大変な苦労だったが、
ルツとナオミはお互いを思いやり、助け合って生きた。
この時、最も貧困な人がする仕事である「落ち穂拾い」も、
ルツは自分から進んで、嫌がらずに一生懸命やった。
余談だが、ミレーの絵『落ち穂拾い』はルツ記から着想を得て描かれたという。
最後はルツが再婚して息子を生み、幸せに暮らすという場面で終わる。
(私の解釈は、ここまで)


・・・ところが、それから5年の時が流れて、2020年になりました。
先週、私がルツ記を読み直してみた時、
これまでの自分の解釈には、ある重要なポイントが抜けていることに、
初めて気付きました。


なんとルツさんは、ユダヤ教徒のイスラエル人ではなく、外国人だったと書いてあるのです!
それも、イスラエル人と敵対して仲が悪かった、モアブ人だったというのです!

モアブ人というのは、現在のヨルダンの人。
今ではヨルダンはイスラム教国家ですが、
イスラム教を作ったマホメット様は、6世紀くらいの人(聖徳太子と同じ頃くらい)なので
当時(紀元前12~11世紀あたり)は、イスラム教は成立していません。
モアブの人達は、ユダヤ教と別の宗教を信じていたはずです。


「ルツさんがイスラエル人ではなかった」
この事実の何がすごいのでしょうか?

物語の最後、ルツさんは子供を産みますが、
その子の子孫に、あの有名なダビデがいます。
もっと先の子孫に、イエス様がいるのです。

これが何を意味するのかというと、
「イエス様には、イスラエル人だけでなく、外国人の血も入っている」
という事実です。


私はこれまで、どちらかというと、
●ユダヤ教  → ユダヤ民族だけを救うことを目的とする。排他的。
●キリスト教 → 全人類を救うことを目的とする。だから全世界に広がった。
・・・という価値観を抱いてきました。
(※ユダヤ教を悪く言うつもりはありません。
自分の友人にもユダヤ人がいますが、皆良い人ですし、
上記に書いたのは、ざっくりと簡略化した一般的なイメージにすぎません。)

しかし、旧約聖書には、「ルツさんはモアブ人でした!」と、ハッキリ書いてあります。
ダビデやイエス様も、純潔イスラエル人ではなく、
他の民族の血も入っていることを、旧約聖書は、相当ハッキリと、伝えているのです!


突然ですが、私はここで、ハリーポッターに出てくるマルフォイくんを思い出しました。
この物語はファンタジーでありながら、現実世界に起こる差別や偏見を形を変えて書いています。
マルフォイくんは、魔法使いの純血の血筋の男の子なので、
突然変異で、人間の両親から、いきなり魔女に生まれてきたハーマイオニーに対して
“Mudblood!” “Creature of the dirt!”(けがれたマグルの血め!)
などと軽蔑して、バカにしています。

私は「アホらし~~」「そんなに血筋が大事なの~~?(苦笑)」と思ってしまいますが、
こういう悪口を言う人って、現実世界にも大勢いますよね。
(※しかし、マルフォイくんは結婚して父になり、とても素敵な人になります。それが、この小説の素晴らしい所です!)

真面目で、誠実で、優しいルツさんの絵を見る時、
彼女が異邦人でありながら、
姑さんに「あなたの神は私の神です!」とハッキリ断言した、
その大きな決意と信仰心を想い、黙想したいと思います。


今日もお読みいただき、ありがとうございました。
Thank you for reading. Have a nice day!

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