見出し画像

体は神殿です。〜聖書の言葉で始める新年

今日は2021年最初の日曜日なので、英語の聖書の言葉とエッセイをお届けします。
お茶を飲みながらゆっくりと読んでいただけたら嬉しいです。

今日は、こちらの小説に引用されていた聖句を紹介します。

"Bridget Jones' Diary" (Helen Fielding)
https://amzn.to/39x7inT


『ブリジット・ジョーンズの日記』
https://amzn.to/2ZQkmk0

映画化もされ、大ヒットしていたので、ご存じの方も多いでしょう。

この小説は、主人公ブリジットの1~12月までの1年の日記の形をとっています。
冒頭に見開き2ページの"New Year's Resolutions"(新年の目標)が書かれています。
ブリジットの新年の目標は、「今年はお酒とタバコの量を減らして、ダイエットをがんばる」こと!
何とも新年らしい宣言で始まり、ある意味、新年に読むのにピッタリな小説かもしれません。

真面目で几帳面な性格のブリジットは、日記の最初に必ず
「本日の体重、消費したお酒・タバコの量、カロリー摂取量」をメモします。

しかし、大好きなお酒をなかなかやめられず、友達に誘われてご飯やパーティーに行くたびに、ついつい食べ過ぎて、そしてお酒を飲みすぎてしまうのです。体重もなかなか減りません…。
(食べ過ぎてしまうところは、まるで私みたい!笑)

翌日に二日酔いで、ガンガンする頭で目覚めた彼女は、
「もうお酒なんて、金輪際飲まない!」
と日記に書くのですが、数週間後にまた飲みすぎて失敗します…

そんな、失敗して落ち込んでばかりだけど、
真面目で、友達思いで、ドジな失敗も笑いに変えてしまうブリジットが、私は大好きです!

ところで、この本の90ページに、こんな一文が出てきました。

“My body is a temple.”

私は、この一文を読んで、ビックリしました!
これは、どう考えても、聖書の一節だからです。
しかも、一年の最初に読む聖書の言葉として、
何とピッタリな言葉なのでしょう!

※ちなみに『ブリジットジョーンズの日記』は、キリスト教をテーマにした小説ではありません。
ヨーロッパ社会では、聖書の言葉がそれほど日常生活に浸透していて、ことわざのように自然にBridgetの口から聖書の言葉が出てくるのでしょうね。
(作中、ブリジットのお母さんが日曜日に教会の礼拝に行く場面が、ちょこっと描かれていますが…)

聖書には、 “Your body is a temple.”(あなたの身体は神殿です)という一文があり、私も時々行く教会で、牧師先生が引用されているのを聞いたことがあります。

この聖句は、新約聖書の「コリントの信徒への手紙」の言葉で、
書いた人は伝道者のパウロさんです。

イエス様が亡くなった後に生まれたパウロさんは、イエス様の教えに深い信仰心を持ち、中東各地を旅しながら、キリスト教の伝道をしていました。

ある日パウロさんは、ギリシャの半島の付け根に位置した港湾都市、コリントを訪れます。
このコリント市は、物流・交易の中心地として大変栄えた商業都市だったせいか、多くの外国人が集う国際都市で、かなり繁栄していました。
ただ、町の人達は道徳的に退廃しており、お酒やギャンブル、乱交パーティーに興じる人が多く、
パウロさんがキリスト教を伝道しようとしても、全然上手く行かなかったようです。

そんなコリントの人々に向けて、パウロさんはこう言ったのです。
「あなたの身体は神殿なのです。お酒の飲みすぎで、自分の身体を壊さないで下さい。神様からもらった自分の身体を、ちゃんと、大切にして下さい!神殿を汚す人がどこにいますか!あなたの身体を清い神殿として保ってください!」

おそらく、『ブリジット・ジョーンズの日記』のブリジットも、
聖書で読んだ言葉が頭の中に残っていたのでしょう。
彼女は、お酒とタバコがやめられない自分に言い聞かせるように
“My body is a temple.”
と日記に書いたのです。

私自身、ついついお菓子を食べすぎて太ってしまったことが、
昨年、何度もあったので(※今も!)、この一文を読んで反省しました…

ところで、別の観点から深く考えてみると、この “My body is a temple.”には、
もう一つの意味が隠されています。

それは、コリントという町が当時、ギリシャ神話の影響を強く受けていたので、
ギリシャ的な神殿があちこちに建っていた、という歴史的背景を考えてみると見えてきます。(写真はギリシャのパルテノン神殿です)

古代ギリシャやローマ、ユダヤ教の考え方では、
「神様は神殿に宿る」
と、皆が当たり前のように考えていました。
だから、「立派な神殿=立派な宗教」と考えられていたのです。

ところが、パウロさんは全く違うことを言いました。
「神さまは神殿に宿るんじゃない。あなたの体の中に宿ってるんだ!」
(私は『踊る大捜査線』の織田裕二さんのような、かっこいい口調を想像しました)

この主張は、当時としては画期的だったのです!

確かに、キリスト教の教会の中にも、立派な教会や大聖堂などの建築は、世界各地にたくさんありますよね。
私も、美しい教会建築を見るのは大好きです。

でもパウロさんは、「どんなに立派な建物よりも、信仰の心が大事!」
と言いたかったのではないでしょうか。

Your body is a temple.

すでに見慣れた聖書の言葉でしたが、
『ブリジットジョーンズ』の小説の中に、この聖書の言葉が出てきたお蔭で、
この聖句の神髄について思考を深めることができました。
新年らしい気づきをくれたブリジットに感謝です!

皆さんは、この聖書の言葉 “Your body is a temple.”から、どんなことを感じましたか?

今日もお読みいただき、ありがとうございました。
Thank you for reading. Have a nice day!

いいなと思ったら応援しよう!