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海育ちのたぬき、川を知る

川の水面に日が差してきて、キラキラ光っている。

「おーい、これもよろしく」

頭上から夫に声をかけられる。水面から顔を上げると、空っぽになった苗箱を5つばかり渡された。

田植えの苗が入っていたプラスチックの箱を、田んぼの側の川で洗うのが私の役目。

島育ちの私は、海には馴染みがあっても川ははじめてだった。
川の水は冷たくて、海の潮水と違って日焼けもしない。

もちろん、口に入ってもしょっぱくない。
意外と流れが速い。
そして同じ方向に流れている。

当たり前だけど、海と全然違う。
海は行ったりきたりしながらだんだんと沖へ流される。

川は行きっぱなし。流されたらもう戻ってこない。

ちょっと目を離している隙に、苗箱が流されてしまった。

春の小川はさらさら行くよ〜

確かに。
音もなく流されてた。

こんなに静かだと、桃太郎がどんぶらこ、と流れてきても絶対気づかん。

苗箱みたいにいつの間にか見えなくなるまで流されてしまうに違いないw

それはさておき、川もいいもんですね。
アライグマに転身しようかな。



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