青葉闇の優しさ
ごきげんよう、國枝志帆です。
「守りたい」だなんて言えるほど
君が弱くはないの分かってた
それ以上に僕は弱くてさ
君が大事だったんだ
米津玄師『ピースサイン』
小説『盗作家』で
谷くんの登場シーンを書いてるとき、
ずっと聴いていたBGMです。
谷くんは、
主人公の塔坂の友人です。谷翔太。
『ピースサイン』を聴けば聴くほど
彼の輪郭がくっきりする気がしました。
一見、太陽のように明るい彼ですが、
その真骨頂は、
深い木陰のような優しさだと思います。
真夏の静かな青葉闇のような。
「ここ、お前のランニングコースなの?」
「あぁ。よく会うな。塔坂は?」
「散歩コース」
答えると、谷はにやりと笑った。
「へえ、作家先生っぽいな」
「そういう言い方やめろ」
褪せた桜並木の下、青葉の闇の中。不思議な感覚がした。これは過去の続きだ。時間があの事故の直後に巻き戻ったようだった。
國枝志帆『盗作家』
彼が塔坂の友人でよかった。
何度そう思ったかわかりません。
書いている私にも
木陰のような安らぎをくれた登場人物です。
最後まで読んでくださって感謝します。
あなたの今日が、
幸せな一日でありますように。
読んでくださってありがとう。コーヒー飲みながら毎日更新してます☕️