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働く人のための精神医学

岡田尊司 著  PHP新書

精神医学については、岡田尊司先生の他書
も含めて色々と読んできたが…

こちらは、より「職場」に特化した本だ。

読者ご本人が、精神的疾患や心のトラブルを
抱えている場合の職場での対処法…
立ち回り方や気の持ちよう、克服の仕方、
治療法、薬の選定までもが書かれている。

また、同じ職場にそのような方がおられた
場合の応対方法。上司の場合、部下の場合
とそれぞれご教示下さっていて何とも
ありがたい。

現在私の職場に症状の見られる方は
いないが、この先出会わないとも限らない。

そういった方が入ってきた時には、
イライラしたり失望したり怒ったりする前に
こちらの本を見返そうと思った!

「精神疾患」とまではいかないが…傾向がある
方は今までもいた。

と言うか、自分が若干当てはまると思う
ことも。程度の差こそあれ…誰しもが何かの
精神疾患の傾向は持ち合わせているのでは
ないか。

程度が酷くなったら病名が付くのか…

自分が罹ってしまった時に、自分を客観的に
見つめ、いち早く症状に気付く為にも…
こちらの本が大いに参考になるだろう。

傾向がある方の話しを書いてみよう。

パート事務員のFさん

入社当初、彼女の仕事量は適量であった。

だがコロナ禍により仕事が減り、出勤日数を
減らした為もう1人のパートさんが辞めて
しまい、2人分の仕事をやる羽目になって
しまった。

とは言え当初は仕事自体が減っていたので、
何とかこなせていたのだが…

コロナ自粛が解除されて仕事量が戻ってから
は彼女が残業する日が多くなっていった。

見かねて手伝いを申し出るも、なぜか仕事を
全く回してくれない。

残業したい(稼ぎたい)のかと思って聞いて
みたが、そうではないと言う。

「この先仕事の一部を私に任せる事がそんなに
不安なら、例えば1週間だけお試しでやって
みない?やってみて上手くいかなかったら
その時にまた割り振り考え直そう?」と
提案してみるも受け入れてくれない。

まぁ確かに、その業務の性質として仕事の
一部を切り離すのが難しい側面もありそうだ、
とは思っていた。

だが。彼女が退職してから私がその仕事を
引き継いでいるのだが、切り離せる仕事は
たくさんあった…

じゃあ一体彼女は何をこだわっていたの
だろう?と不思議で仕方なかったのだが…

こちらを読んで解決した!

彼女は「強迫性パーソナリティ障害」の傾向
があったのだ。

⚫︎《秩序に対する強いこだわりをもち、
自分のやり方や決められた方法の通りに物事
をやろうとする。生真面目で、融通が利かず、
潔癖で、正義感や倫理観も強いことが多い。(p.96)》

⚫︎《責任感も強く、仕事は決められた通りに
きちんとこなそうとするが、適当に手を抜く
ということが苦手で、そのため、完璧にやり
すぎて、あまり重要でないところに時間を
とられてしまう。その意味で、あまり要領
がよくないと言える。(p.96)》

⚫︎《状況に応じてやり方を変えたり、仕事の
精度を落とすといった調整ができず、状況や
相手の感情よりも、規則やルール、計画の
ほうを優先するので、ともすると厳格すぎる、
融通の利かない堅物と見なされ、周囲からは
鬱陶しがられる面もある。(p.97)》

岡田先生がFさんに会ったことあるんじゃ
ないかと思うくらいよく当てはまる…!

上記のこだわりから、勝手に仕事量を増やし、
勝手に1人で抱え込み、挙げ句のの果てに
疲れて辞めてしまった。

転職先では適度に手を抜いてやってくれて
いるといいのだが…と祈るばかりだ。


あとがきが心に刺さる。

《試練を乗り越えるうえで、もう一つ大事な
ことは、完璧主義に陥らないことだ。
(中略)
単純化した思考では、善か悪か、真か偽かと
いう問題は、正反対のもので中間がないよう
に考えてしまう。ところが現実は、完全な善も
完全な悪も存在しない。
(中略)
百点ではなく五十点くらいで満足するように
心がけることだ。パートナーや同僚との関係
も百点を求めると、足りないところだらけで
厭になる。
でも、ゼロの状態と比べたら、きっといい点
もたくさんあるはずだ。(p,320〜p.321)》

完璧主義って自分がそうかそうでないか、
と話す事はよくある。

だが自分が完璧主義でなくとも他人に対して
知らず知らずに完璧を求めている人は多いの
ではないか?

私も、気をつけようと思った。

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