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【脱炭素先行地域】神奈川県川崎市

脱炭素先行地域について、以前1自治体目に静岡県静岡市を選び記述しましたが、ついに2自治体目も見ていこうと思います。間隔はだいぶ空いてしまいました…。

今回は神奈川県川崎市を選びました。理由としてはもともと住んでいたことがあるからということもあったりはしますが、大規模自治体の事例を見てみたいと思ったからです。(よって次回は小規模自治体の事例を見たいと思います)

それではさっそく内容を確認していきましょう。

提案内容概要(神奈川県川崎市)

出典:環境省 第1回 脱炭素先行地域の概要 P2
(https://www.env.go.jp/press/110988/117963.pdf)

川崎市は溝口を軸にした脱炭素施策を考慮しています。これは少し意外でした。前回の静岡と同様に沿岸沿いを軸にするような形で、川崎市だとコンビナート関係が施策に入ってくるのかなと考えていました。

概要に「交通要衝」と記載されていますが、JRは南武線、東急は田園都市線と大井町線が利用可能で、交通の便はかなりいい印象があります。

提案内容詳細(神奈川県川崎市)

それでは提案内容の詳細を見ていきたいと思います。

出典:環境省 第1回 脱炭素先行地域の概要 P16
(https://www.env.go.jp/press/110988/117963.pdf)

溝口のアクションプランにて特記すべき点として、共同提案者に民間企業であるアマゾンジャパンが含まれているところでしょうか。アマゾンジャパンの溝口の施設は溝口駅付近からは少し距離があり、東の方の多摩川沿いに位置しているようです。

対象範囲

対象は民生部門にてオフィスや倉庫等の民間施設(50施設)や公共施設(1067施設)、民生部門以外では民間施設(2施設)を想定しているようです。企業名の記載もありますが、溝口に関連する多くの企業が協力を予定してしているようです。公共施設数がかなり多いですが、どのような施設が含まれているか少し気なりました。

取り組みの全体像

主な取り組みとしては、太陽光発電設備や蓄電池導入、ごみ発電、EV等の導入により2030年度までに全公用自動車を次世代自動車へ転換となっています。

主な取り組み内容

まず、民生部門になりますが、溝口駅周辺の民間施設へは太陽光設備、蓄電池、EV、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)の導入が考えらています。また、公共施設では太陽光設備導入、照明のLED化、不足分は再エネ電力への切り替えによる調達が考慮されています。さらに、令和5年度設立予定の地域エネルギー会社がエネルギーマネジメントを担う計画のようです。

溝口については「脱炭素アクションみぞのくち推進会議」にて取り組みを以前より進めており、これは前回の静岡市と同様の形に感じました。

民生部門以外の取り組みについては、EVカーシェア促進、EV充電設備配置促進、2030年までの公用乗用自動車の次世代自動車への転換、金融機関との連携によるSDGs活動の活発化、アマゾンジャパンと連携した先行地域に関するPR・普及促進等の展開となっています。

スケジュール感としては、多くの取り組みは2022-2023年から取り組みは開始されていく見込みのようです。

取り組みにより期待される主な効果

主な効果としては、再エネ電力増加、設備投資による地域経済活性化、エネルギー収支改善、蓄電池の避難地での活用による災害時のレジリエンス強化、アマゾンのような主要企業に続く形での地域企業の副次的な脱炭素化の促進となっています。

最後の副次的な脱炭素化の促進は重要に感じました。これをうまく創出していけるかが、2030年や2050年の脱炭素目標の達成に重要であり、投入される税金のうまい使われ方となっているかどうかの大きなポイントになりそうに思えました。

脱炭素取組における考察

まず、民間企業をうまく取り入れているというのは素晴らしいポイントであり、なおかつアマゾンのような影響力のある大企業がアクションプランに含まれているのは重要のように感じました。脱炭素は官民が共同で実施していかないと、うまくいかないのではという個人的な印象があります。

また、「脱炭素アクションみぞのくち」については公式HPもすごいしっかり作成されており、川崎市は色々とり組んでいる印象はもともとありましたが、脱炭素への取り組みへの気合いが伺えました。

1つ気になった点として、「EV等の導入による自世代自動車への転換」となっている記載がありましたが、溝口はFCVも結構考慮して欲しいなと考えました。

武蔵溝ノ口駅には東芝のH2Oneが設置されており、以前から水素の取り組みは実施されています。また、最近では南武線のもう少し南側にはなりますが、水素の電車も試したりしています。このあたりは計画に入っていないようですが、水素の取り組みは溝口では可能性があるように感じました。

今回はここまでになります。溝口のような大規模自治体はエネルギー使用量が多いことから太陽光の大規模な導入を軸にしなくてはいけないのに対し、小規模自治体では脱炭素の取り組み方に多様性を持たせて、その自治体の持ち味を出していけるのではと推測しました。次回はどこかの小規模自治体をピックアップしてみたいと思います。引き続きフォローいただけますと幸いです。

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