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牛田鶏村に会えてよかった

日本画家の牛田鶏村は、気になる作家でありつつも、これまでまったく作品に出会う機会がなかった。目黒区美術館の「前田利為 春雨に真珠をみた人」展に出品されているという情報を得て見に出かけたが、期待に違わぬ名作が出品されていた。

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このポスターの最下部に帯状にレイアウトされているのが、その作品《鎌倉の一日》(部分、1917年)。絵巻物だ。明け方から夜日が沈むまでの(多分)鎌倉の風景を描いているのだが、時間の経過による自然の変化を主張の強い筆致で描き出しており、横山大観の《生々流転》などと重ねて見ると面白さが増すように思う。初公開というから、今後もなかなか見る機会はないのかもしれない。会場では、(確か)全巻が広げて展示されていた。世の中に牛田鶏村ファンはあまりいないかもしれないが、いたら必見の作品だ。

ちなみに、この展覧会の出品物の所有者である東京・駒場にある前田家の邸宅には、以前所蔵品の写真を借りるために出かけたことがある。いわゆる「近代」にタイムスリップした気持ちになるという貴重な体験をさせていただいた。

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【追記】上記のサイトを開くと、作品の一部を見ることができます。牛田鶏村の《鎌倉の一日》の部分図も掲載されています。

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