見出し画像

荒神明香の神秘体験が意外な現代のアマビエを生んだ!

疫病退散を象徴する妖怪「アマビエ」をテーマに数々の美術家に作品の出品依頼を続けている角川武蔵野ミュージアム。この夏新たにラインナップに加わった荒神明香(こうじん・はるか)さんの作品は、高さ7mの美しく、そして気高いオブジェでした。浮世離れマスターズのつあおとまいこの二人は荒神さんに話を聞いて改めて作品の前にたたずみ、その存在感を受け止めたのです。


画像1

荒神明香《reflectwo》(2021年)

つあお:角川武蔵野ミュージアム! ようやく来ることができましたよ。昨年大晦日の『紅白歌合戦』で見て、うわぁと思っていたんです。隈研吾さんの建築は画期的ですが、このロビーに設置されたこの花の塊みたいなオブジェは、さらに不思議感満載ですね!

まいこ:私は最初、巨大な王家の紋章が空に浮いてるのかと思いました。

つあお:Wow、確かに紋章っぽく見えないこともない。立体的で華やか!

まいこ:赤の鮮やかさが目立ちますね!

つあお:これが、荒神明香さんが「アマビエ」をテーマに制作した作品と聞いて、ちょっと「をを」と思いました。

まいこ:アートチーム「目[mé]」の荒神さんですね! どこからどう見ても妖怪「アマビエ」に見えないのが逆に面白い!

つあお:でも、尋常ならざる存在感がある!

まいこ:ビル2フロア分くらいあるという大きさもすごいですよね。

つあお:市販の造花を分解するなどして作り込んだそうなんですけど、何か有機生命体の組織がぽわぽわと成長してできたような印象です。

画像2

荒神明香《reflectwo》(部分、2021年)

まいこ:確かに、ちょっと菌類のようにも見えるので、2〜3ヶ月後にはもっと広がってても不思議じゃないような感覚。それにしても、作品名はなぜ《reflectwo》なんでしょう?

つあお:きっと、そこは大切なところ! 荒神さんによると、見る人の心が作品に反映される(reflect)のではないかと。

まいこ:ということは、日によって違って見えるということでしょうか? 彼女が感じた「アマビエ」って、自分が映し出されるような存在だったのかな?

つあお:おお、きっとそうだ。ということは、これは妖怪というよりもむしろ、見る人間の生命の力を反映しているとも言えそうですね。

まいこ:そうかも! アイデアの元は、彼女が見た自然の情景だったみたいですね。

画像3

荒神明香さん

つあお:東京芸大に通っていた頃、住んでいた取手(茨城県)を流れる利根川に映った景色にインスピレーションを得たという話でした。

まいこ:そうそう! 何でも、真夜中の2時に川の流れがピタッと止まる神秘的な状態を何度も目撃したんだとか!

つあお:わーお、ミステリーだ! 川の流れが止まることなんて、あるんですね。

まいこ:そんなことができるのって、三国志の天才軍師・諸葛孔明くらいかと思ってました。

つあお:をを、諸葛孔明がおまんじゅうを川に投げ入れて氾濫を鎮めた話ですか?

まいこ:そうです!

つあお:荒神さんにそんな力があったら、まさにお名前の通りだなぁ。

まいこ:ホントですね!

つあお:それは置いておいても、日常の中でふと気づいた現象からこんなアート作品を生んで育てたのは、やっぱり素晴らしい! ひたすら感心してしまいます。

まいこ:せっかくなので、ここで皆さんに、つあおさんから秘密の鑑賞ポイントを伝えてもらえませんか?

つあお:そうですね! ちょっと試しに、体を真横に90度、「く」の字に折り曲げてこの作品を眺めてみたいと思います。

まいこ:わー! 川面に花でできた森が映ったみたいに見える!

つあお:まさに「リフレクション」なんですよね。だから上下が対称。荒神さんは、以前は横の向きのまま作品にしていたのですが、この作品では縦にしてみた。今度は左右対称になる。すると、ものすごい存在感が出てきたのだそうです。

まいこ:確かに横と縦では印象がまったく違う。

つあお:横は横で、材料の造花とは異質の美しさが出ている。縦にすると、それまでにはなかった仏像のような何かが宿っている。「アマビエ」に導かれて、新たな存在を生み出したのかもしれませんね。

まいこ:これなら、コロナ禍もきっと退散しますよね!

画像4

《reflectwo》と荒神明香さん

飾り罫色点

【つあおのラクガキ
浮世離れマスターズは、Gyoemon(つあおの雅号)が作品からインスピレーションを得たラクガキを載せることで、さらなる浮世離れを図っております。

画像5

Gyoemon《甘美絵千手観音》

Gyoemonも「疫病退散」を願っております!

飾り罫色点

展示情報
イベント名:『《コロナ時代のアマビエ》プロジェクト』​​
会場:角川武蔵野ミュージアム(〒359-0023 埼玉県所沢市東所沢和田 3-31-3)ロビー
《reflectwo》の展示期間:2021年7月3日〜9月20日
公式ウェブサイト:https://kadcul.com/amabie/04

画像6


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?