土偶を読むを読むを読む〜「土偶=植物」という新説を巡る攻防
2023年に出版された書籍を回顧する中で、ぜひ挙げておきたい1冊がある。望月昭秀編著『土偶を読むを読む』(文学通信、2023年4月、以下「望月本」とする)だ。
単刀直入に言えば、2021年4月に晶文社から刊行された竹倉史人著『土偶を読む』(以下「竹倉本」とする)で書かれた新説の内容を丁寧に吟味し、誤謬を解き明かした書籍である。
新説は実証的な検証のもとで概ね否定
「竹倉本」では、土偶は人間、特に女性をかたどったものであるという通説を覆す内容が話題を呼んだ。たとえば中空土