tsu_zuru

フリーライターとして数多の記事を書いてきました。映像全盛の時代ですが、ある言葉に、ある…

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フリーライターとして数多の記事を書いてきました。映像全盛の時代ですが、ある言葉に、ある文章に、励まされた経験を持ち合わせている方は少ないと思います。言葉の力を信じて、ここでは取材原稿でなく、オリジナルな言葉を綴りたいと思います。

最近の記事

【ショートストーリー3】形勢逆転(けいせいぎゃくてん)

形勢逆転とは?勢力などの優劣の状態が逆転すること。劣勢だった勢力やチームなどが優勢になり、逆に優勢だった勢力やチームなどが劣勢になること。形勢が逆転すること。(実用日本語表現辞典) 深夜の病院は意外に明るかった。といっても、時間外出入口からすぐの一角、救急搬送された患者の付き添いが待つ初療室の前のことだ。 初めて119番通報した。迷走神経反射で心停止に至った母は、AED (自動体外式除細動器)を使った救命処置のおかげで救急車内に運ばれる前に心拍が再開。最悪の事態を覚悟する

    • いきなりの挫折

      毎月最低一度の記事公開を自らに課して始めたnoteですが、ルールを守れたのはわずか2か月。ここ最近はアプリを開くことすらありませんでした。仕事が立て込んだこともありますが、一番の原因は6年以上にわたり自宅でひとり介護していた父を施設に入居させるに至った精神的疲労だと自己分析しています。 絶飲食での治療となる誤嚥性肺炎を、この一年半の間に3度発症。2度目までは快復して自宅生活に戻れましたが、3度目は快癒したものの体力低下が著しく、専門病院に転院して自立生活を取り戻すためのリ

      • 【ショートストーリー2】前程万里(ぜんていばんり)

        前程万里とは?未来への可能性に満ちていること。前途がまだはるかにあること。(学研 四字熟語辞典) 私が社会に出た30年以上前と今は時代が違う。しかも、新型コロナウイルス感染症が出現して以降、社会は大きく変容した。けれど、私が君に願うことは変わりはしない。とにかく元気で私より長生きしてほしい。そして、できれば満足いく人生を全うしてほしいと思う。 家族を持つ持たないは自由だ。仮にパートナーを得て、もし子どもに恵まれたら、それはもちろん親としてうれしい。孫の人生まで垣間見る喜び

        • 始まりの季節に。

          吹けば飛ぶようなフリーライターの私でも、年度末は何かと忙しくなります。それがわかっているのですから、確定申告だけでも早く済ませておけばいいものの、30数年にわたって2月中に申告を終えたことが一度としてないのですから、本当に成長がないと自分ながら呆れます。 この時期、お決まりのようにこんな感情に駆られるのは、年度末の先に待つ始まりの季節のせいでしょうか。新入生に新入社員、とにかく「新」があふれる4月。初々しさを目の当たりにすると、そうでない自分には「旧」や「古」の文字が貼り付

        【ショートストーリー3】形勢逆転(けいせいぎゃくてん)

          【ショートストーリー 1】遅疑逡巡(ちぎしゅんじゅん)

          遅疑逡巡とは?ぐずぐずとして決断できず、いつまでもためらうこと。(平明四字熟語辞典 ) そろそろ出ていく準備に掛かろと思った途端、聞こえてしまったんです。あの人たちの会話が。  「破水から半日過ぎたけど陣痛まだこないね」  「24時間、それ以上かかる場合もあるって言われたでしょ」  「少し動いてみたらどう?」  「体がつらくて無理」  「ナースコール押そうか」  「お願いだから少し黙ってて。ホント男のくせに落ち着きないんだから」 耳を疑いました。「男のくせに」なんて言葉

          【ショートストーリー 1】遅疑逡巡(ちぎしゅんじゅん)

          ようやくの自己紹介

          note開始宣言を行ってから投稿できないまま2週間以上が過ぎました。 投稿はショートストーリーでと、自分に縛りをかけた結果です。現状打破のため、まずは自己紹介いたします。 仕事について 大学は社会学部マスコミニケーション学専攻。広告コピーのゼミに所属しましたが、取材記者を志望して新聞社に入社。アパレル広報部に転職した後、フリーライターに。一時期はFM局のニュースデスクを兼務。現在は企業の社内報や情報誌を担当しています。 暮らしについて 京都出身の父、大阪出身の母の次女とし

          ようやくの自己紹介

          立春に苦手なSNSを始める!私がnoteを選んだ理由と目指したいこと

          コロナ禍、内省する時間が増え、「苦手なことにトライして新たな自分を探りたい」そんな思いが芽生えました。しばらく静観してみましたが、思いは消えるどころか勢いを増します。ならばと、避け続けてきたSNSを始めることに。ただ、つぶやきたいわけでも、無差別につながりたいわけでもないからこそ拒んできたSNSです。発信や承認の欲求も弱い自分に合うのは何かと考えたとき、長年のライター業(主に企業取材)で置き去りにしてきたオリジナル文章の鍛錬の場にもなるnoteが良いと選びました。 道のりは

          立春に苦手なSNSを始める!私がnoteを選んだ理由と目指したいこと