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そして妊婦は、野良になった【次男出産体験記・産院編】



妊娠8ヶ月。

長男の保育園が決まった。


全員合わせても20人ほどの小規模園。

絶望的な倍率をくぐり抜け、奇跡が起きた。


臨月の迫る大きなお腹を抱え、

まだつわりも完全に無くなってない私。


ちょっと横になれば

起ーきーて!!!!

と覆い被さってくる2歳児。


柔道家さながらの2歳の寝技で

いつでもピンチな胎児。


これはいかん。

そろそろ社会デビュー(保育園)果たしてもらおう。


ということで、

保育園行きは決定した。



もう、入れればいい。

でも、できれば入れたいところはある。


支援センターに遊びに行った帰りの車中、

そんな第一希望の園から電話。



「来月から、入園できることになりました!」



え?来月????


「はい、来月です!
 あれ?申し込みされてないですか?」


してます。嬉しいです!!!!!!!!

ありがとうございます!!!

日本の福祉、バンザイ!!!!


ってそこまでは言ってないけど。

気が動転して、道を間違えた。

見知らぬおばあちゃんの家の前で行き止まり、

バックで戻る。


庭で作業中のおばあちゃん、

どうしたのかしら、とこちらを見ている。


ごめんなさい、保育園決まったんです。



浮かれたまま帰宅。


手を洗わせ、お昼を作り、食べさせる。

あと何回かしたらこんなお昼もなくなるわぁ、

と心の中で小躍りしていた、その時。


また電話だ。

今度は産院から。


3年前に長男を産んで、

入院中のご飯が美味しすぎてリピーターになった、

次男も出産予定の産院から。


分娩の取り扱いは次男が産まれる月までで、

その後は分娩なしでやっていくそうで、

ギリギリ滑り込みセーフだった産院から。


「誠に申し訳ないんですが、
 急遽、分娩ができなくなりました…」


え?今月からですか??


「はい、早まりました…すみません…」

なんてこった。

感情のジェットコースターどころじゃない。

感情のタワー・オブ・テラー。

公式HPより


思いっきり上がって

(保育園に入れる未来の)景色を楽しんでいたら、

真っ逆さまに、落とされた。


呪いの偶像なんて、持ってません。

2歳児のかわいいぬいぐるみしか、

うちにはいません!!


とにかく、産む場所を探さなくては。

その辺の草むらで産むなんて、ごめんである。

病院で産みたい。


できれば、
総合病院でなくて個人クリニックがいい。

できれば、大部屋でなくて個室がいい。

できれば、家から近くて、

できれば、先生の腕が確かで、

できれば、スタッフさんが優しくて、

そして何より、ご飯が美味しいところがいい。


ピンチの時も強欲な野良妊婦である。


必死に探した。

片っ端から検索した。


しかしどこもかしこも、

【分娩の取り扱いは終了しました】


少子化、待ったなし!!

どうやら、産婦人科医自体も減っているらしい。

産み場所が、確実に無くなりつつある…


一件だけ、見つけた。

友達が出産した個人クリニック。

友達の出産話を聞いているので、

先生の腕は確かだしスタッフさんも優しい。

家からもそう遠くない。


あとは、ご飯が美味しいか。


個人クリニックのHP、

まず始めに押したのは【入院中のお食事】ボタン。



私の目に飛び込んできたのは

シェフが監修しています。

の、一文。


完璧である。

あとは、受け入れてくれるかどうか。


おそるおそる、電話してみた。




臨月間近で、野に放たれた妊婦です。

とは言ってないけど、

事情を話した。

分娩予約は、妊娠初期からどんどん埋まっていく。

もう絶対に枠はない。


でも、先生のご好意で受け入れてもらえた。


本日2回目、心からの

嬉しいです!!!!!!

ありがとうございます!!!!

が出た。

産める場所があるって、なんて素晴らしいんだ。


ちなみに、

当初産む予定だったクリニックが
分娩中止した理由は

教えてはもらえませんでした。


聞いたのは、

おじいちゃん先生だったから

夜中の分娩に起きられなくなっちゃったのだろう、

という噂だけ。


産婦人科医、増えるといいなぁ。

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