鶴岡市立加茂水族館

訪問日:2023年8月26日
訪問人数:2人
場所:山形県鶴岡市

【展示内容】
 通常の水族館としての魚を中心とした海の生き物の展示、メインとなるクラゲの展示、海獣の展示の3パートだが、クラゲ以外のパートはあまり大きくなくて、普通の水族館くらいやや小さいくらい。メインとなるクラゲのパートは全体のおおよそ2/3くらいのパートを占めている印象。
 クラゲパートに関しては、各水槽に簡単な説明と毒の強さに関する説明パネルがあり、ざっくりと理解する上で良い構成となっている印象。そして、展示パートの真ん中あたりに「Kurage Bar」という解説スペースがあり、一日4−5回、30分程度でクラゲに関する簡単な解説を研究員が行っている。今回訪れた際はクラゲの赤ちゃんと食事に関する説明で、実際の捕食している様子を顕微鏡を使って見せてくれた。
 また、1日4回ほど300円でバックヤードツアーをやっている。クラゲの管理の裏側をボランティアの解説付きで見せてくれる。しかも写真撮影なども全面OK。どうやってクラゲの成長、餌やり、水槽管理などに関して説明してくれる。参加した会はかなりラッキーで館長さんが最後15分ほど登場して質問の時間をとってくれた。

【感想】
 展示、教育普及活動、自立運営の気概の観点で素晴らしい水族館だと思った。
 まず、単純にクラゲという展示物自体の魅力がすばらしい。他の水族館みたいに色々なものに手をつけずに、可能な限りクラゲに力を入れることにより、多くのクラゲの種類を展示することができているし、それに関連する設備もかなり充実してくると思った。そして、クラゲはなんとなく写真をとってもなんとなくいい写真になってしまう魔力を持っている笑。だから写真映えが求められる最近のトレンドという中でもなかなか秀逸な展示対象の選定になっていると思う。
 次に教育普及活動に関して、研究員の方の説明であったり、パネルの説明が非常にわかりやすい。可能な限り平易な言葉で記載していることに加えて、研究員さんや館長さんが可能な限り来館者の質問に答えて、クラゲに関しての理解を深めてもらえるような努力をしているように感じた。また、QRコードで質問を集めて、よい質問に回答するパネルや直近の研究成果に関して展示を行うなど、対面を取らない中でもしっかり教育に使えるものを使っていくのはすばらしい姿勢だと思う。多分これは中規模の水族館だから成せることだと思うけど、それでも積極的にクラゲのことを理解してもらおうとする構成、姿勢はとても素晴らしいと思った。
 最後に、自立運営をすることをかなり意識しているのではないかと思われる。同館は一度破綻の危機があったなかでクラゲでなんとか持ち堪えた歴史がある。そうした中で、上記のようなきょういくてきなとりくみで満足感をあげるような努力をしつつも、それに加えてガチャガチャ、物販、カフェなどで積極的に資金集めを行っているように見える。展示の途中でガチャガチャと物販の利益でクラゲの餌代が賄えているとの記載があり、そういう資金がどのように使われているかをしっかり来館者に理解してもらおうとする姿勢も、特に公立館だと珍しいと思う。ホームページ上で財務報告が載っていないのは残念だけど、ぜひ同館がどれだけ経済的に自立できているかはみてみたいなと思った。

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