九州国立博物館

訪問日:2023年10月18日
訪問人数:1人
場所:福岡県太宰府

【展示内容】
 今回は常設展である文化交流展示を見学。(ちなみに並行して行われていた特別展は古代メキシコ展で東京国立博物館で死ぬほど混んでいたので、こっちで見ればよかった。。)本展示は「アジアとの交流史」であり、日本と東アジア、更には中世後半以降は欧州などとの交流をテーマとした展示が行われている。
 広い展示スペースを縄文、弥生〜飛鳥、奈良〜鎌倉、室町、安土桃山以降で大きく5つのパートに分けて展示が行われている。また、パート別展示に加えて小展示スペースが10室ほど設けられており、コレクションの紹介やテーマ別の展示が行われている。

【感想】
 悪い意味で、色々と考えさせられる展示構成だった、、
 まず、日本における諸外国との交流史について展示を行う内容であると明示しておきながらも、展示内容における諸外国との交流に関する補足情報がほとんどない。諸外国との交流を示すのであれば、例えば展示品の出土場所や文化的な特徴、また、その特徴が国内外にどのように波及しているかをパネルなどで示す必要は最低限あると思う。しかし、あまりそのような情報は非常に少なく、ただ展示品を展示しているだけとなっているものが非常に多く感じた。展示品によってはオーディオガイドで補足が行われておるものの、そもそもオーディオガイドでの情報に関してもそこまで厚みはなく、また地図などの情報を元にしたビジュアル情報も少ないため、あまり十分な展示説明が行われていないと思った。(そもそも、このオーディオガイドに関しても、別途アプリをDLさせるような形式になっており使い勝手はあまりよくない。これなら無理にアプリをDLさせずにHPを準備すればコスト的にも来館者の手間的にも軽くなるのではないかと思ってしまう、、)
 上記の不満に関して、室町時代以降の展示になると一部解消されるのだが、先史時代、古代の展示に関しては特に情報が欠落しているものが多かったように感じた。個人的には、中世以降に関しては元寇、日明貿易、朝鮮出兵、長崎での貿易、対馬藩宗氏を介した朝鮮王朝との貿易など教科書レベルでも掲載されている事項多い一方で、古代に関しては九州地域と大陸との地理的な近さに依拠した交流に関する記述はそこまで多くない印象があり、それこそ博物館のような実物資料を通じた生涯学習拠点が学習機会を提供できる場だと感じている。そうした中で、九博の展示は出土品に関する展示しか行われておらず、それに対する説明が希薄で非常に残念であった。
 少し悪い言い方だが、展示の説明が少ないため、東京国立博物館の東洋館と何が違うのかと思ってしまう。トウハクの東洋館はアジアを含めた貴重な収集品を展示するというコンセプトのため、ある程度ざっくばらんになってしまってもしょうがない面が一定あるとは思うが、九博の展示目的はアジアとの交流史という明確なコンセプトがあるため、トウハクと同じような展示構成は望まれていないと思う。こうした中で、より東アジア世界との交流という観点をよりわかりやすくするような展示内容にすることは今後も望まれることだと思う。

 、、うだうだ不満を書いてしまったものの、これらを示す難しさも一定あることは理解を示したい。おそらく、これらを純粋に実現すると福岡市立博物館の内容とかぶってしまうのである(そもそもコンセプト被るような国立博物館作るなよという話でもあるような気がするが、、)。また、国立博物館という性質上、このアジアとの交流という観点を日本の通史レベルで語る必要があるのだと思う。そうした際に、どのような切り口で、どの程度の情報レベルで展示を構成するかは難しいとは思う。九博自体、国立博物館としては比較的新しい博物館であるため、今後諸々模索していただいて、より良い国際交流展示になった際に、また訪れて見たいと思う。

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