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ショルティ&VPO/モーツァルト「レクイエム

2024年1月13日の大学入学共通テストの国語の問題に出た某音楽学者による評論文では、「音楽」とは鑑賞のスタイルによって変遷してきた概念なので、その過程を無視してそれ自体を普遍化してしまわないよう注意すべきであるという論旨が展開されていた。
その代表的事例として挙げられていたのがこのCDである。モーツァルトの没後200年の命日である1991年12月5日にウィーンのシュテファン大聖堂で行われた典礼ミサのライヴ録音である。ここでの「モツレク」は典礼の要素の一つとして純粋に音楽だけを楽しむこともできれば、典礼全体を一つのイヴェントとしてとらえることもできる。どちらがあるべき姿かなどと議論するのはナンセンスだというわけである。

モーツァルト レクイエム ニ短調 K.626
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
アーリーン・オジェー(ソプラノ)
チェチーリア・バルトリ(メッゾ・ソプラノ)
ヴィンソン・コウル(テノール)
ルネ・パーペ(バス)
ウィーン国立歌劇場合唱連盟
【録音】
1991年12月5日 ウィーン,シュテファン大聖堂(ライヴ)
デッカ国内盤(1995年製造、対訳付き)

もっと極端な例がある。1985年6月29日、カトリック総本山のローマのサン・ピエトロ大聖堂での教皇ヨハネ・パウロ2世による荘厳ミサの実況録音(DG)である。
ここで演奏されたヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるモーツァルトのミサ曲ハ長調K.317「戴冠式ミサ」は、音楽だけならば25分ほどの曲だが、CDは儀式全体をカバーしているため1時間以上収録されている。

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