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ヨッフムのブルックナー8番

2024年はブルックナー生誕200年である。敬虔なカトリック教徒にして元オルガニスト。ウィーン音楽院の和声、作曲、対位法の教授。作品は交響曲と教会音楽がほとんど。ベートーヴェンの骨格にシューベルトの旋律とワーグナーの和声で構成された定型的な書法は、音楽史的には後期ロマン派の代表格。だが10曲(0番含む)の交響曲はどれも同じように聞こえ、和声は濁りがちで、物語とは無縁の絶対音楽だったため多くの人々からは受け入れがたいものであった。その「オルガン的発想」と「オーストリア情緒」のため、ブラームスとは異なり20世紀前半まではドイツ語圏でしか評価されなかった。しかしその神々しいほど澄明で、大伽藍に響く宇宙的で純真無垢な音楽は、70~80年代に世界的に一大ブームを巻き起こし熱狂的信者を生み出した。交響曲第8番をブルックナー最高傑作とする評者は多い。ヨッフムの演奏は作品を素のまま伝える。
オイゲン・ヨッフム指揮シュターツカペレ・ドレスデン
ブルックナー
交響曲第8番 ハ短調
1976年録音
EMI国内盤(1991年製造)

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