ジルベルシュテインのラフマニノフ
ジルベルシュテインは旧ソ連出身のドイツのピアニスト。ドイツ・グラモフォンは旧ソ連の無名の実力派演奏家(ベルマン、ウゴルスキなど)の発掘に努力してきたが、彼女もその一人。このラフマニノフは非常に清々しいサラサラした「感傷的な」演奏。ピアノも完全にオーケストラに同化しており、弦もたいへん滑らかで洗練されている。暗い情念を際立たせている著名なリヒテル盤の対極にあるといえる。一回聞くとしばらく食傷してしまうような曲でも、こうした演奏なら間をおかずに何度も聞ける。
リーリャ・ジルベルシュテイン(ピアノ)
クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ラフマニノフ
① ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18
② ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30
録音:1991年11月(①)、1993年9月(②)〈ライヴ・レコーディング〉
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