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トヨタ物語 ウーブン・シティへの道|第30回 カリツーのデポ

■余ったスペースで付加価値を

 物流カイゼンはトヨタ1社ではできない。物流会社、そして部品会社が関わっている。そこで、実際に部品を運ぶ物流会社、カリツー(元 刈谷通運)と部品会社、林テレンプの現場を見に行った。

 カリツーのデポはトヨタ自動車九州の宮田工場から車で20分ほど走った場所にある。カリツーは豊田市の隣、刈谷市で生まれた自動車部品や完成車を専門とする物流会社だ。

 同社課長の小野内誠は会社について、精一杯の笑顔で話を始めた。

 「わたしどもの本社は愛知県の安城市の三河安城町にあります。取引先はほぼトヨタ関係のサプライヤーで、売上高は2017年で約548億円。従業員は約2500名、トラックの保有車両数が913本。売上高の7割はトラックによる運搬で、残りはこのデポのような、倉庫の保管業務です」

 小野内が単刀直入に語ったのは物流カイゼンの結果、カリツーが得たメリットだ。

 「なんといってもデポのなかがすっきりと整理整頓されました」

 トヨタはルートを決めて部品を集荷する。サプライヤーはその時間に合わせて、部品を作り、送り出さなくてはならない。多くてもダメだし、少なくてもいけない。後の工程が取りに来る時間に合わせたライン生産をするのがトヨタだ。ミルクランに参加するにはサプライヤーもまた社内にトヨタ生産方式が確立されていなくてはならない。

 それまでは各サプライヤーがそれぞれトラックを手配していた。むろん、トヨタが納入時間と量を指定していたから、それに合わせた生産はしていた。しかし、ミルクランに参加できるほど厳密だったわけではない。

 そのため、物流会社であるカリツーは各サプライヤーから部品を集荷し、それをいったんデポに持ってきて、仕分けをし、別のトラックに積み直して宮田工場に出荷していた。

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