トヨタ物語 ウーブン・シティへの道|第28回 業界特有の問題
■理屈通りには行かない
「2年前から九州で始めているのに、3分の1の仕入れ先さんしかミルクランに参加していない…。それには理由があります」
物流カイゼンを進める尾上恭吾は説明を続ける。
「これまで仕入れ先の皆さんは自分で物流費用を払っていた。その分をまとめてトヨタが払うようにして、ルートも効率的にして、積載量も増えるから、本来はみんなが喜ぶはずなんです。ところが、物流費用というのは決して理屈通りに決まっているわけではないんですよ。
『トヨタが物流費用を負担した方が安くなる』仕入れ先はカイゼンに賛同してくれます。しかし、『いや、今手配してる昔からのつきあいの物流会社に頼んだほうが安いんだ』という方たちもいます。物流費用はトヨタが払うのですけれど、それでも自分たちが運ぶと主張する方たちがいるのです。そういう人たちはミルクランになかなか入ってくれません。
はっきり言うと、物流業者の価格は得意先によって違います。その会社が出しているすべての物流をまかせているとしたら、破格の値段でしょうし、部品の運搬を頼むのをやめてしまったら、他の物流費が上がってしまうことを恐れているのだと推察しています」
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