学振特別研究員の申請書

毎年9月ごろにtwitterで、(アカデミア界隈で)ある話題が盛り上がります。
それは、正式名称が日本学術振興会特別研究員(通称学振DC、PD)の内定の合否についてです。
学振についての私自身の気持ちはこちらのブログ(東京大学河東先生)とほぼ同じです。(蛇足ですが、河東先生のどうでもよい話はかなり好きです。)

当たり前だが書き方が大事

今年(2022年)の私が所属していた研究室の学振PD、DCの内定率は、57%(4 / 7、PD(1 / 1)、DC(3/6))でした。歴代を見てもまぁまぁよい採用率です。
学振DCに採用された方々は(私の知る限り)筆頭の論文はなく、こちらも歴代の内定者を見ても筆頭の論文がある方の方が珍しく、論文にあるに越したことはありませんが、書き方が大事だということを思っています。
対して、学振PDはやはり筆頭の論文は大事ですが、1本であっても歴代の方々は内定をもらっていっていますので、(私が所属していた研究室からは、ほとんどの方が学振PDを通過しています。)やはり書き方が大事だろうと改めて実感します。

そして、その書き方ですが、世の中にはかなりの情報が出てきています。学振を書くモチベーションのある方であれば、その辺の情報へアクセスしていることは容易に想像できます。そのため、ここで、あまり差はつかないのではと想像します。
では、書き方に関してどういうことが内定の有無に影響するのかというと、個人的には、同じ分野の歴代の合否の申請書が身近にあり、フィードバックを受けやすい環境にあることが大事だと考えています。
私が所属していた研究室は、ここが内定率を上げている大きな要因であろうと思います。
例えば、ある学生が学振DCに出すとすると、教授は多い時では十数回レビューしていただけますし、分野が似ている博士課程の学生も複数回レビューします(実際今年私もレビューしました)。そして、初稿と提出版を見比べると、違う人が書いたと思えるほど、図を含め審査者への訴え方が変化します。つまりチーム戦のような感じになっているわけです。

申請分野が大事

書き方と同じくらい大事なのが、申請する分野です。
これは戦略的に考えて申請分野を選んだ方がいいと思います。例えば、私の研究室では、コウモリやマウス、ヒトを対象とした研究をしていますが、その申請内容によって、計測工学分野、情報分野、神経生理分野、行動学分野などを選んでいます。
実際に、評価がCで落ちたものの内容で(もちろんより内容もアップデートされていますが)、次年度に分野を変更し、内定が出た例もあります。
これは、申請書の書き始めにある程度分野を絞って、その分野の審査者に向けてアピールするように書き方も検討すべきです。

結局どうすべきか

自身の申請書を各分野の過去の合否両方の申請書を集めて、それを参考に書き、多く学生を通してきている先生にレビューしていただくことが一番良いと思います。

しかし、集めることやレビューしてもらうことが厳しい環境にいる方も多いかもしれません。
人間、いる環境に無意識に順応しようとすると思いますので、周囲に採用されている方が少ない場合、不採用になる、または申請すらしないということがデフォルトになっているかもしれません。学振PDは賛否ありますが、学振DCは採用されるに越したことはないと思います。
アカデミアに関わらず、採用が次の採用に影響を与えることが多いと思いますので、力をいれるべきかと思います。

そのため、まず集めることが困難な環境にいる方は、過去採用された方にコンタクトを取って頂くといいと思います。連絡くれれば申請書を共有すると明言されている方も多くいますし、そんなことを言っていなくても何か特別なことがない限り、共有することに対して否定的な方はいないはずです。
採用のレベルを知ることが大事です。

一方で、レビューしてもらうことが厳しい環境にいる方(特に学振DCは受け入れ先は同じ先生が多いと思いますので)は、より難しい環境かと思います。博士後期課程進学を意識しているのであれば研究室選びの際に、研究室の学振に関する情報をしっかりと集めていくことが大事だと思われます。

最後に

私の採用された学振PDの1ページ目を貼っておきます。続きが欲しい方は連絡ください。最初の1ページが一番大事で、最初の3ページで内容の評価は、ほぼほぼしていると思いますので、私も最初の1ページは一番時間をかけました。
書体はなぜか、UDデジタル教科書体NP-Rです。書体は変な書体じゃなければ採用に影響はないでしょう(おそらく、、)。あと図はカラーのがいいと思います。白黒にしてもちゃんとした図でないといけませんが、オンラインで見る審査員もいるかもしれませんので。


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