あれこれTwitterを検索していたら自分が昔書いた未来生物ネタが出てきたので貼ってみる

「現在」の南極大陸は、大陸移動によって周極流の支配からは逃れ、氷河期を終わらせたものの、未だに他の大陸から孤立した新天地である
植生の多くはかつて人間が偶発的に持ち込んだ外来種を起源とし、藪程度の森林や広大なステップを形成するに至っている
ここでは地上生物はあまり多くない。アザラシのような姿になり、海岸近くに寝そべっているコウテイペンギンの子孫以外は、ジェンツーペンギンから進化した地上性鳥類と、それを狙う海鳥起源の大型飛行鳥類が殆どだ(中略)特筆すべきはその淡水生態系であり、他の地域にはない独特の生物相を有する
高山の多い環境と、氷河が解け潤沢な水、数多くの湖が点在する現在の南極大陸は、川や湖伝いに植物が繁茂し、小規模な河畔林を延々と形成している。いわばステップの中のオアシスである
水中の植物はコケボウズを祖先とする藻類が殆どであり、爆発的に分化を遂げた藻類にはもはや水草のような種もいる
そういった河畔林と特殊化した藻類の間を縫うように泳ぐのが、ノトセニア亜目の生き残り、正確にはボウズハゲギスから分化したネオノトセニア類である
周極流の終わりと共に多くの種は絶滅したが、氷の巣穴を作り、ある程度塩分の変化にも耐えることができたボウズハゲギスは、淡水域への進出ができた
さながら、かつてノトセニア亜目のシューダフィリティス属が、オーストラリアの淡水域に進出していた、そのグループのポテンシャルを活かしたものと言えるだろう
今では海水域において進化したクサウオ類に追われ、一部の深海性種が残るのみになったノトセニア類だが、淡水域は彼らの楽園となっている
ネオノトセニア類は分化の結果大型の捕食者から植食者、同じく淡水域に進出したヨコエビを食べる種まで千差万別に適応放散を起こしており、湖で独自の進化を遂げている種も多い
彼らの繁栄は数千万年後、南極大陸が他の大陸と衝突し、そのニッチを他大陸産の魚類に奪われるまで続くこととなる

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