ドキュメント『君に届け』

 高城れにさんは自らの小説『紫と幸せの玉』の中で「紫と幸せの玉さえあれば、それだけで頑張れる」と語っている
 宮崎県は巨人のキャンプ地です
 先生が野生のゴリラを捕まえて駆除
 犬の隣に冷えたカブトムシ二匹
 彼らはまだあいみょんを知らないから……

 公営住宅に住んでいるノリオはその日素晴らしいアイディアが浮かんだ
「かずこに自分の気持ち、ちゃんと伝えなきゃ」
「こう、手をキュッと握るんだよ。耳を傍にしてな。するとよ、命がマッチの火ぃみたく燃えてくるんだ。だけどよ、これを人に見せたらいけねぇ。自分だけの秘密にするんだな」
 この気持ち、命みてぇに輝いてみえる……! 小鳥たちもそれを祝福しているよう!
 ノリオ、ゴミを拾う。気持ちを込めて。
「やっぱり拾わない!」
 ノリオ、ゴミを拾わない。
 生前、ノリオは慈善事業の傍らで、自分だけが分かるとっておきのアイディアをノートに記載していた。それは人類を救済できるような壮大なスケールのアイディアなのだが、ノリオはもういないので、人類は救われないままだ。

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