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推し

好き。大好き。私の神様。
他のどんな人たちを見ても、あなたより素敵に見える人なんていないの。
他のどんな人たちがこちらを見てくれても、あなたをステージの下から見つめてることの方がずっとずっとしあわせなの。

あなたのことを好きな人たちの中で、私がいちばん、あなたのことが好き。
あの人たちもあなたのこと好きなんだなってわかるけど。わかるから仲良くするけど。実際あなたのことを話せる友達がいるのはうれしいことだし。たのしいし。
でも、それでも私の方があなたを好き。
あの人たちはいつかあなたの推しをやめるかもしれないけど、私はあなたのことずっと好き。


あなたがテレビなんかじゃ見せないような言葉を私たちだけに読ませてくれても、自分が特別だなんて思わないようにちゃんとブレーキかけてる。あなたはステージの上の人、私はステージの下の人。あなたは画面の向こうの人で、私はこちらの人。ちゃんとわかってる。それからあなたが私と同じ人間だということもわかってる。わかってるつもり。あなたが何か暗いことを言うとアンチが湧くけど、あなたが全員に向けて言ってるんじゃなくて独り言として言ってるとか、分かる人だけに届けと思って発してるんだとか、全部わかってる。私はあなたの言葉がわかる側でいたい。


勝手に好きになってごめんね。
勝手に全部押し付けてごめんね。
推しとか言って、あなたが見せてくれる虚像を愛して、わかった顔をして、かと言って私の生活全部を投げ出してまであなたのことを追いかけられなくて、中途半端でごめんね。
推しって言われるたびにあなたは誰かに判を押される気持ちになるのかな?鎖に繋がれる気持ちになったりするのかな?
でもね、「好き」とか「推し」とかそんな言葉ではもう足りないくらい、あなたが今の私には必要なの。今の私とかって保険かけたのもごめん。好きすぎて、いつかあなたのことを「推し」と思わなくなる日が来るかもしれないと思うと苦しくて、そうはなりたくないけどそんなことが起こらない確証もないから、だから今あなたに会える限り会って、返せる限りのものを出しているつもりなのだけど。そんなのも気持ち悪いかな。


ものすごくわがままなことを言うと、私より先に死なないでほしい。
でもあなたの最後を見届けられないのも悲しい。
だけどあなたはいつの間にか死んでいそうで、私があなたの死をリアルタイムで知ることなんて絶対に不可能だから、それだったらあなたより先に死にたい。最後まであなたの声を聞いていたい。欲を言うなら、あなたに殺されたい。
この世ではあなたと私の間には世界の境目が存在してるから手を繋ぐことはできないけど、死んだら友達になれたりしないかな。しないか。してほしいけど。
あなたが天国に行ったら、私が地獄に落ちていたとしても自力で羽を生やして天国まで上がれる。蜘蛛の糸なんてそんなものには頼らない。仏と天使が共存する不思議な世界で、私は地獄から天国まで飛んでいくよ。自分で飛んでいって、真っ黒なままだけど、あなたに好きだと言いたい。
いや、死んでまでも追いかけられるのは気持ち悪すぎるか。ダメか。だったらやっぱり友達になるしかない。友達になりたい。あなたに好きだと言いたい。ファンだから好きなんじゃなくて、もうあなたは私にとってかけがえのない人なのだということを、死んでしまったとしても伝えたい。


あなたが生きてるだけで、私はうれしい。
あなたの動く姿を見られるだけで、私はしあわせ。
あなたがしあわせで穏やかに生きることは、もしかしたら私たちの前から姿を消すことでしか叶えられないかもしれない。
それだったら、もう私は不幸になってもいいから、私たちの前からいなくなっちゃっても仕方ないと思う。
どうしても探してしまうと思うけど、それでも見つからないと思うけど、でも私をしあわせにしてくれるあなたが、あなたこそが、しあわせであってほしい。
ひとつでも多くの苦しみがあなたの元から去ってほしい。
あなたのことを苦しめる人間を全員消してしまいたい。それが私自身だったら、私は消えてもいい。あなたが笑顔になれるなら、私はいなくなったっていい。
あなたが1秒でも長く笑っていられる世界であってほしい。


こんな気持ちの悪い感情で、エゴでしかない感情で、好きを押し付けてごめんね。
推しなんて言葉、最悪だよね。ごめんね。
こんなこと思ってるなんてバレないようにせめて一生懸命隠すから、こんな重さでも許して。

好き。大好き。私の神様。


たのしく生きます