数学力で分けたミクロ経済学初学者の勉強方法

ミクロ経済学は近代経済学の基盤であり,マルクス経済学が下火になった今では,多くの経済学部で必修または必修に準ずる扱いをされている。

しかし,ミクロ経済学は数式を使って経済現象を抽象化・形式化するので,数学嫌いの「ド文系」には鬼門となっている。

入試で数学を選択せずに経済学部に入った,または数学から離れて何年も経つような「ド文系人間」の方は,回り道かもしれないが,高校数学をちゃんとやるのがベストである。特に学部一年の人は,経済数学や基礎数学などの講義名で提供されている講義をとり,理系の高校数学の内容をきちんと習得しよう。

上記と並行して,学部で提供されている初学者向けの経済学(ミクロに特化したものより,ミクロ・マクロ・経済思想史・計量などを広くまとめた概論のようなもの?)をとって経済学の「イメージ」をざっくり持つのも重要である。大学生でない人は,以下の『マンキュー入門経済学』を読めば概論的な内容はカバーできるだろう。

一方,理系出身者や高校時代に数学が非常に得意だった文系の方(経済学部には結構多いはず)は,東大の神取教授の『ミクロ経済学の力』をやるのがよい。この本のレベルは中級以上なので,全部を最初から理解する必要はないが,数学にある程度自信がある人にとっては非常に有益な一冊である。

なお,上記の『ミクロ経済学の力』の演習本である『ミクロ経済学の技』もあるので,ミクロ経済学を真剣に学ぼうと思っている人や,試験などで高得点を狙いたい人はこちらもやるとよいだろう。いずれも電子書籍版が提供されているので,持ち歩く手間がかからないのも個人的に良い点だと思う。

経済学はミクロ経済学だけではないので,経済学部生ないし経済学に興味を持ち始めた社会人・高校生以下の方々は,日常の様々な経済現象に目を向けるのも重要である。

また経済学では数学が多用されるものの,自然科学ではなく社会科学なので,歴史や思想に興味を持つのも重要だ。経済学の父と呼ばれるアダム・スミスの『国富論』を読むのもよいだろう。ただし,やはり歴史の教科書にも載るような本なので内容はヘヴィである。最初からガッツリ理解しようと思って読むと、挫折して「本棚の飾り」になってしまう可能性が大きいので、まあ、とりあえずは気楽に読めばよいだろう。

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