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第1回SDGs担い手育成講座(2023年度)

第1回SDGs担い手育成講座を開催しました。この講座の概要につきましては、以前記事を作りましたので、こちらをご覧ください。

・SDGs担い手育成講座概要

・トヨタ白川郷自然學校概要

第1回SDGs担い手育成講座のご報告

狙い

第1回:白川村の現場を見て、サスティナビリティを考える
SDGs担い手育成講座では、「現場体験(フィールドワーク)」を大事にしております。第1回では、数百年前から同じ風景を守り続け、サスティナビリティを体現してきた白川村 をまずしっかり見てもらいます。また、ゲストにNPO法人共存の森ネットワーク代表の澁澤寿一氏をお迎えし、SDGsを俯瞰的に捉える視点を提供します。

参加者

第1回講座には7都府県10学校から13名の学生が参加しました。世代も10代~20代で11名、2名60代(セカンドスクール学生)と様々です。しかも、今年は13名の内、2名はなんと高校生です。正直な所、当初企画側も高校生は想定しておりませんでしたが、面談時に高校生の熱意を感じ、参加していただくことになりました。また、内1名は白川村在住の学生です。昨年にも増して、より多様性あふれる様々な想いを持った若者が集まりました。

スケジュール

【1 日目】
  PM 開会・オリエンテーション・世界遺産合掌集落散策
     ゲストトーク「里の暮らしを未来に活かす」 講師:澁澤寿一 氏
   夜 懇親会
【2 日目】
  AM 地元青年部と景観保全活動
     ゲストトーク「白川郷荻町集落の自然環境を守る会について」
  PM グループセッションⅠ
   夜 直会(地元青年部メンバーとの交流会)
【3 日目】
  AM ふりかえり
     グループセッションⅡ
  PM クロージング

活動の様子

①開会・オリエンテーション 
開会の挨拶では、山田学校長から「今回の講座の特徴は、この白川村での地に足の着いた取り組みを皆さんに感じていただくことです。私はそれを、”実感・納得・本音”という言葉で表しております。しっかり”実感”していただくということが何よりも大事だと思っております。今回は皆さんにいろんな体験を通じて、”実感”していただきたいと思っております。」と参加者へ挨拶がありました。

山田學校長より開会の挨拶

その後、全体ファシリテーターの黒坂より、スタッフ紹介や、今回の講座の目的の共有、3日間のスケジュール紹介がありました。また、副題への想いや第1回~第4回の各講座のテーマのつながりを共有しました。
さらに「この1年、数回ですが縁あって一緒に活動する皆さん同士がお互いの名前や人柄が少しでもわかる時間となれば。」ということで、4マス自己紹介を行いました。ここでは「①名前(ニックネーム)、②どこで何を学んでいるか、③今回の講座で期待していること、④今の素直な気持ち」をお互いに紹介しあいました。

②世界遺産合掌集落散策                                  オリエンテーションの後、「今回、皆さんは一人旅で白川郷に来られました。まずは其々の旅のスタイルで結構ですので、世界遺産荻町合掌集落を楽しんできてください。いってらっしゃい!」との声かけがありました。約1時間、地図を片手に各々で合掌集落を歩きました。

まずは世界遺産合掌集落で旅人気分で散策

再集合の後、少人数に分かれ、約1時間、どんな風に過ごしていたか、そして、どんな感想を持ったかを共有しました。数時間前に初めて出会った人同士でしたが、写真を見せあったり、感想を共有し、和やかな雰囲気となりました。

③ゲストトーク「里の暮らしを未来に活かす」 講師:澁澤寿一 氏
山間地域の智恵と技の継承をテーマにするNPO法人共存の森ネットワーク代表の澁澤先生に「里の暮らしを未来へ活かす」と題して、SDG sについて俯瞰的な視点でお話しいただきました。日本の資本主義経済の歴史やエコロジカル・フットプリント、環境・社会・経済の調和実現の困難さなどを具体的にお話しいただき、便利な社会ではなく、豊かな社会をいかに実現すれば良いのか、難解の”問い”に参加者は頭を悩ませていました。

ゲスト澁澤寿一氏「里の暮らしを未来に活かす」
気づいたことをメモしながら、真剣に聞く受講生の方々

④懇親会
「皆さん、宿題の“長年、愛用しているもの”は持ってきていただけましたか?」この問いから始まった一風変わった懇親会。各自、実物を見せながら「長年、愛用している理由」も合わせて発表しあいました。ほんの少し、各々の人となりが垣間見え、自然と和気藹々とした雰囲気となりました。

⑤地元青年部と共に景観保全活動
2日目、地元の青年部の方々と協働で、景観保全活動を行いました。具体的には、青年部の方々が毎年この時期に作業している外来種除去作業(オオハンゴンソウ除去)を行い、共に汗をかきました。途中、雨が降ってきたりして大変でしたが、最後は達成感とともに笑顔の集合写真となりました。

青年部と一緒に景観保全活動
作業終了後、みんなで集合写真

⑥ゲストトーク「白川郷荻町集落の自然環境を守る会について」
休憩後、「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」の元会長、和田正人氏に
お話していただき、景観を維持してきた人たちの想いに触れていただきました。参加者は話を聞いた後、少人数で感想や意見を共有し、白川村で暮らす人々への想いを深めておりました。

ゲストトーク「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」和田正人氏

⑦グループセッションⅠ                                昼食後には少グループに分かれ、意見交換を行いました。テーマは「〝ウェルビーイングでいられる社会”って何だろう?」です。ウェルビーイングとは、身体的・心理的・社会的にも良い状態、という概念を表しています。参加者からは様々な意見が飛び交っておりました。また、その後、ある参加者からは「〝ウェルビーイングでいられる社会”ってどうすれば実現できるのだろう?」という問いがあり、その問いに対して対話を行いましたが、難解の問いに対して、各自、頭を悩ましておりました。

グループセッションの様子

⑧直会(地元青年部メンバーとの交流会)               夜は合掌家屋で、昼間一緒に景観保全活動をした地元青年部のメンバーと参加者の学生でざっくばらんにお話ししました。一緒に作業してみての感想共有から始まり、普段の1日の過ごし方や、それぞれ感じている楽しいことや大変なこと、また将来何を成し遂げたいか等、本当に様々な話題となっていました。最後はみんなで笑顔で集合写真を撮り、解散となりました。

地元青年部との懇親会

⑨ふりかえり
2日間で感じたことや気づいたことを整理するため、一人のふりかえりの時間を過ごしました。合掌家屋のなかで、もしくは縁側でなど、参加者自身が居心地の良い場所を選び、自然の中に身を置いて、これまでの活動をふりかえっていただきました。

2日間をふりかえる参加者

⑩合掌家屋で意見共有
2日間のふりかえりと共に、いくつか問いがありました。「今の白川郷は、ウェルビーイングな地域だと思いますか?」の問いに対して、ある参加者からは「観光客がたくさん来る〝白川郷”としては思わないが、人が長年暮らしている〝白川村”としては、ウェルビーイングに近いのではないか。」「地域としてはまだ途中。オーバーツーリズムが深刻で、居住と観光地としてのバランスなど、上手な付き合い方をしなくてはならない。」など、様々な意見がでておりました。また、「過去300年の白川郷は、ウェルビーイングな地域だっと思いますか?」「日本中、世界中にある伝統的な町並みや暮らしは、世の中の人々のウェルビーイング向上に役立つのでしょうか?」などの問いもあり、悩みながらも真剣に考え、対話を重ねておりました。 

⑪クロージング                           最後は、3日間の感想を1人1人述べて、同じ時間、同じ活動を共にした仲間の想いを分かち合いました。

実施結果(主催者所見)

第1回目の講座の目標は達成できたと考えます。ゲストトークの澁澤先生のおかげで、参加者にSDG s担い手にとって必要な“視点”と“問い”を提供できたと感じました。また、白川郷荻町集落の自然環境を守る会の和田さんのお話や地元青年部の方々との景観保全活動と意見交換は、参加者にとって、白川村を肌で感じる貴重な機会となったと感じました。

参加者の声

「白川村は地元住民の方たちが、まず自分たちの軸を持っていて活動して
 いるからこそ、この地域は素敵なんだなと感じました。今回の参加者の
 方もそれぞれ、考えや思いの軸を持っているからこそ楽しく良い経験と
 なったと思います。」
「今回の講座に参加して、希望と勇気をいただきました。ここに来て、みん
 なと出会えて、こんな人たちがいるんだと。将来への希望をここで感じる
 ことができて、すごく嬉しかった。〝自分も頑張ろう”と思う勇気をもら
 えました。本当にありがとうございました。」
「3日間を通して様々な知るキッカケを与える側になりたいと思い、お互い 
 が切磋琢磨
して、心をゆさぶれる人間になりたいと感じました。」
「正直、何が正解かわからない世の中で、何か道しるべのようなものを得る
 ことができました。」
「”社会ってどうあるべきだろう””地域ってどうなんだろう””幸せってなんだ
 ろう”などを考える機会はありがたいです。また、皆さんや地域と新しくつ
 ながりができたことが嬉しい
です。」                          「澁澤先生のお話がとても印象に残っています。本当の豊かさということを
 とても意識させられました。このメンバーであと3回学べることが楽しみ
 です。」
「考えるのをやめたらだめだ。考え続けることが大事。講座自体は4回しか
 ないけど、次まで、自分が何ができるか、考えたり何か書き出したりして
 いきたい。」
〝ウェルビーイングでいられる社会”って自分のなかでは難しく答えはで
 てませんが、今回、切り口などのヒントをいただけたかなと思います。
 自分だけではわからないことが、いろんな人と話すことで、こういう考え
 方もあったんだなど、学びました。第4回目には、自分のなかで答えをだ
 したい
と思いました。」
新しい価値観を得られました。私は昔から数字にこだわってきました。
 年収だったり、経済成長率だったり。フォロワーが何人だったり、どれ
 くらい”いいね”がもらえているかなど、人のつながりさえも数字でとらえ
 てしまっている社会
に生きてきましたが、村の人々は人を人として捉え、
 一人一人役割分担があっていいなと感じました。草を抜くっていう作業に
 対して、みんなで協力して行うことがただただ楽しかった
です。」
「いろんな人の価値観があり、それぞれが軸をもって生きているんだなと感じました。」
「体験することで、文章や知識だけではわからないことを実感できました。
 私は卒業論文のフィールドを〝白川村”にしているため、白川村についての
 知識はあるほうですが、今回、村の方たちと一緒に活動したり、お話しす
 るなかで、こんな思いや、こういうつながりがあるからこそ、村って続い
 ているんだって感じました。白川村について、ジブンゴトとして捉え、考
 えることができました。」

参加者の皆さま、ご参加いただき、ありがとうございました。
参加者の皆さんが今後どのように変わっていくのか、楽しみです!