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2020ネンマツ?

8月に私が出演する芝居のタイトルだ。
9文字のシンプルなタイトルだが、色々なことを想起させてくれるふしぎなタイトルだと思う。

2020ネンマツ

ネンマツというのは、辞書で調べてみても「年末」しか出てこないので年末のことを指しているのだと思うが、カタカナで書かれていたのでついそこで立ち止まって2020年の「年末」のことを思い返してしまった。きっと「2020年末」と漢字で書かれていたら単純に字面を前から追って、「2020年」の方に意識がいってしまい年末のことまで思い返すことはなかったと思う。

でもそうじゃなくて、問題はネンマツなのだ。2020年の年末。最終的にはそこに行き着くように思いを巡らせてみたいが、やはりその前に2020年を振り返らないわけにもいかないだろう。

そもそも2020年

あの年はコロナと共にしか語れない気がする。2月末から雲行きが怪しくなり、3月には一斉休校なんかもあったりした。演劇で言えばいろんな公演が中止になり始め、2020年3月末ころに頑張ってやってる公演を応援する気持ちで観に行ったりもした。そういえば志村けんも死んだ。
そしてオリンピックは延期され、緊急事態宣言が出された。4月には全てが止まったような気がする。GWの新幹線にも誰も乗っていなくて、日常はこうも簡単に無くなるのかと思った記憶がある。

その後は正常化への期待が見えたり加速度的に状況が悪くなったり、少しずつ人々の価値観の違いを浮き彫りにしながら状況が一進一退していった。まあ、それが結局3年続く訳だが。

とはいえ実際の2020年は悪いことばかりでもなかったようだ。1年を振り返った記事をそれこそ2020年末に書いていた。
公開する記事だし、ネガティブな振り返りをしても暗くなるだけだなと思い、比較的良い思い出が書いてある。今読むと強がっているようにも見えるなあ。

そんな中での2020年末である。

2020年末

2020年末はGOTOとかで若干浮かれムードのなか次は忘年会シーズンか??なんて思っていたらあれよあれよと感染者数が増えていってやっぱりダメなのか、と残念な思いをさせられた時期だった。それでやることがなくて1年の振り返りなんかを書いていたわけである。

年末というのは年末の挨拶や帰省、忘年会、大掃除など、日常に加えていろんな思い出やつながりを振り返る機会が多く、毎年何か少し街全体が浮かれているような、ソワソワしているような賑やかで慌ただしい雰囲気があるものだが、そういった年末らしさが(少なくとも私の人生の中では)初めて奪われてしまったのが2020年の年末であった。ほとんどの人たちにとってもきっとそうだっただろう。

ほんとだったらこんなこともできていたはずなのになあ、とか、でも落ち着いて過ごせたし、おかげでできたこともあったのでむしろ良かったのかもと思ったりしていた。

そんなわけで、現実の2020年末はなかなか人生思うようにはいかないな、ということを思いつつそれをなんとか自分自身納得させようとしていたような印象がある。悪い期間ではなかったとは思うが、そう納得させようとしているだけな気もする。

?

ここまで現実の2020年末の話をしてきたが、今回のタイトルは「ネンマツ」のあとに「?」が付いている。だから、今回の芝居はその2020年の年末の話じゃあないのかもしれない。

じゃあこれはいつの話なんだろう?あったはずの2020年末?コロナのせいでムチャクチャにされたような気もするから、そういうものがあるようにも思うし、やり直せるなら3年時を巻き戻したい気もするが、でもあったはずの2020年なんてものは元々存在しないし、時も巻き戻ることはない。仮にやり直したとしても今には繋がらなくなるわけだし、それはその後も含めて受け入れていくしかない。タイトルのことを考えていたらそんなすこししんみりした気分になった。

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以上はタイトルから僕が受けた印象や考えたことです。同じくタイトルを見たみなさんもきっとそれぞれいろんなことを考えることと思います。そして、脚本・演出のゴロ六郎さん、そしてダブルデックとしての答えが今回の芝居だということだと思うので、それはぜひ劇場で確かめてください。

8/11-13、シアター風姿花伝にて。ご予約はこちらから

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