『はじまりの物語』#16

潮風の香りと、暖かい日差しに包まれて目が覚めた。

すぐ隣では、ヒロアキが座ったまま眠っている。

ウェジー「ひろ!!!」

ウェジー の声で ヒロアキ も目が覚めたようだ。

ヒロアキ「ひろ 俺のこと分かるか!?」

ひろ は笑顔で頷いた。
どうやら丸2日も寝ていたらしい。

ウェズ が ヒロアキ のDearingから出てきた。

ウェズ「ひろ! 本当に良かった!!」

ひろ「みんな、心配してくれて有難う 
   巻き込んでごめん!!」

ドル達も ひろ が意識を取り戻したと聞きつけ、駆けつけてきた。

ドル「探し物は残念だったが、意識が戻ってなによりだ!」

ひろ は、さっきまでいた世界のことを説明しようと思ったが、
自分の心にそっとしまい込んだ。

あの世界で見たこと、感じたことは、絵本でみんなに伝えよう
私の絵と私自身の言葉で

ひろ「そういえば、ブーべの人達は!?」

ひろ の言葉を受けて、ドル が外へと視線を促す。

ひろ が外を見ると、ブーべの人達と、ラグーンの人達が一緒に住居を作っている光景がみえた。

初めて見る、どこまでも広がる青い海も、
まるで、別の星の空のような海の中も、
ひろ にとっては、忘れがたい素敵な景色だったが、
今目の前にある"優しい光景”が、一番心に響く景色だった。

ひろ「絵本は見つからなかったけど、この世界にも文明がある、
   人が住んでいることがわかったことは、天空都市を
   ひっくり返すには十分よ!」

ヒロアキ「そうだな なにより、天空都市で、
     この事実を隠し、何か企んでいる奴らがいることも分かった」

    「天空都市に戻って、この事実を大々的に伝えよう」

ドル「戻る時に、またドローンに襲撃されるのは間違いないが......」

ひろ は少し考えてから、笑顔になった。

ひろ「この景色を、動画で天空都市に伝えるわ!」

  「事実を隠せない状態になるまで拡散させてから、
   天空都市が私たちを護送しなきゃいけない状況を作るのよ」

ヒロアキ「それはいい 
     この事実を隠したい連中の手に負えない状況を作り出そう」

    「そして、天空都市のどこまでが信用できて、
     信用できないかは慎重に見極める必要がある」

    「少なくとも、俺の同僚は信頼できる人間だった 
     彼らに動いてもらおう」

ドル「決まりだな!どうせなら、この世界の技術を
   ふんだんに取り入れた飛空艇で戻るといい!」

  「ブーべの連中も、喜んで協力してくれるだろう!」

気がつくと、室内にいる全員が笑顔になっていた。

ひろ「歴史オタク的には、飛空艇は黒がいいわ!
   黒い飛空艇で天空都市に戻りたい」

ヒロアキ「おいおい、黒船のつもりか?
     歴史はなぞるものじゃなく、創るもんだろ 
     絶対黒じゃない方がいいぜ」

ひろ「あなたの意見は求めていないわ」

ヒロアキ「絶対に虹色がいいぞ!」

ひろ「絶対に黒!!」

ヒロアキ と ひろ が口論しているのを、ウェズ と ウェジー は笑いながら見つめている。

どこまでも広がる青い海
その下に眠る、別の星の空のような海の中

そして、遥か上空に存在するのは、天空都市。

色々な想いと歴史が積み重なってこの星は今日も輝く。

この星からまた、新たな歴史が生み出される。

This is a story of beginnings.

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