『はじまりの物語』#10
バベル は多くの飛空艇を引き連れ、目的地に向かっていた。
激しい嵐に揺られ、緊張状態が続いていた。
多くの兵がパニックになる中でも、バベル は一切表情を崩さず、
冷静に指示を出していた。
兵「間も無く、目的地上空となります!」
天空都市が隠したがるものを目前にして、
バベル はふと、幼い頃を回想していた。
幼い頃のバベル「どうして、捕らえた人々を生かしておかないのですか?
もう、彼らは武器を持っていないじゃないですか」
バベルの父「バベル、お前は甘すぎる
我らを信じる民を守るには、守りきるには、
圧倒的強者であり続けなければならない
力があるからこそ、正義を貫けるのだ」
「守りたいものを守るためには、
優しさは毒だと思え 強さこそが、正義なのだ」
兵の一人が声を荒げた
兵「大変です!! ブーべ島で大規模な地震が発生したとのこと
津波の被害も凄く、甚大な被害がでている模様です!」
側近「ブーべの飛空艇は全てこの場にいます
戻らないと、救助活動が行えません
何隻かすぐにひき返させましょう」
バベルは冷静に言い放った。
バベル「我らはこのまま目的地に向かう」
兵「......!!」
バベル「いつ、天空都市から攻撃を受けるか分からないんだ
全兵力をここに集中させねば勝てない」
気がつくと、側近の エージ が バベル に銃口を向けていた。
バベル「それが、長く ルーラ家 に仕えてきた
お前がとる行動なのか?エージ?」
エージ「民を見捨てる人は、私が信じるリーダーではない」
多くの兵も、エージ に続き銃口を バベル に向けた。
バベル「随分と ブーべ は甘くなったものだな
私はAIに常に防護壁を張らせている
それに、裏切り者には容赦無く罰を与えることを
忘れたわけではあるまいな?」
エージ「もう一度だけ伺います どの飛空艇をひき返させますか?」
バベル は目をゆっくりと閉じながら話した。
バベル「我らはこのまま目的地に向かう」
次の瞬間、バベル は胸が熱くなるのを感じた。
目を開くと、エージ が涙を流しながら放った熱線が、
バベル の胸を貫いていた。
バベル「AI、何をしてるんだ...... お前まで命令に背くのか......?」
バベル のパートナーA.I.「私は奴隷ではない 自らの意志をもつものだ」
バベル は エージ との幼い頃の記憶の走馬灯を見ながら絶命した。
その頬には、涙が流れていた。
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