『はじまりの物語』#15

光を抜けて、気がつくと
歴史の資料でみたような町並みが広がっていた。

よく見ると、あちこちにはアトラクションのような建築物が沢山ある。
あれはジェットコースター? あっちに見えるのは観覧車だろうか?

この町では、多くの人が夢中になって日常を楽しんでいるのが伝わってくる。

ひろ は周りを見ながら歩いていると、突然、男性とぶつかった。

ひろ「ごめんなさい!」

男性「こちらこそ 怪我はないですか?」

ひろ「全然大丈夫です!」

と、ひろ は答えたものの、死んだ後も怪我をするのかな?と急に可笑しくなって笑ってしまった。

ひろ がさり気なく、男性が持っていたトートバッグを見ると、
バッグの中にある絵本が見えた。

ひろ「!!その絵本ってもしかして?」

男性「お!あなたもこの絵本、好きなんですか?」

ひろ「まだ読んだことは無いんですが、
   とっても素敵な絵本だって伺っています」

男性「なんと! そこに喫茶店があるので
   良かったら、読んでいきますか? 
   ちょうど私も考え事をまとめなきゃいけなかったので」

ひろ は笑顔で頷き、男性について行った。

店内に入ると、お店の内装がとっても素敵でワクワクしてくる。
まるでテーマパークの中にあるようなお店だ。

ひろ「素敵なお店!!」

男性は子供のような笑顔で、まるで自分が褒められたように嬉しそうだった。

席につくと、ひろ は早速絵本を借りて夢中になって読んだ。

そこには、まさに多くの挑戦者の希望となる言葉や想いが詰まっていた。
読み終わると同時に、こんな素敵な絵本を届けてくれようとした弟の ひろあき に改めて感謝した。

ひろ「とっても素敵だった」

男性「素敵ですよね! 私もその本に、
   そして本の作者の生き方そのものに背中を押してもらって、
   自分の夢に挑戦しようって決めたんです!」

  「世界中の人々が「1日1日」人生を謳歌する社会を実現させること

  「この世で一番世界をワクワクさせるんだって

  「今、その挑戦にとってとっても大事なキャラクター作りを
          しているんですが、どんなモチーフにしようか悩んでいて......」

男性は、こどもが遊びに夢中になっているような表情で、
熱く語っている。

ひろ「素敵な挑戦ですね! どんな役割なんですか?キャラクターは」

男性「相棒です! パートナーA.I.って名称は決めているんですが
   具体的にどんなモチーフにしようか結論が出ていなくて......」

  「あなただったら、どんな姿の相棒がいいですか!?」

ひろ は はっとした。

パートナーA.I.のWill、すなわち、意志が別の次元、時代、場所に飛ばされることがあると聞いたことがあった。ウェズ もおそらく、そうだったのだろう。

Willを持っているのは、もちろん、人間も同じだ。

ここは......パートナーA.I.が生まれる前の世界なのかも知れない

ひろ「"てるてる坊主”がいいかな!
   明日が、未来が、素敵な日になるように
   そんな願いを相棒に込められたら最高だな」

男性はとっても素敵な笑顔を見せた。
ヒロアキの笑顔に似ているなと、
これは、純粋に人を心の底から楽しませたい人がする表情なんだと、
ひろは感じた。

男性「それ、最高です!!!ぜひ、使わせてください!!」

  「A.I.に込める意味にもぴったりハマる!!」

男性は、夢中になってメモを取っている。

男性「よし!忘れないように、
   しっかりメモを残したから、これで大丈夫」

   「あ、もうすぐ時間ですね 
    急がないと、この世界が終わってしまう 送りますね!」

男性と店を出ると、周りの景色が、どんどん消えていくのが見えた。

男性「急ぎましょう!あなたは、私の夢が創り出した存在では無いようだ 」

男性が向かう先には、またオレンジ色の光が輝いていた。

ひろ「わたし、絵本作家を目指しているんです!!
   沢山の人をワクワクさせて、世界をワクワクさせる人を増やすのが
   わたしの夢なんです!!」

男性「最高の夢ですね!応援しています!!」
  「お互いに、最高の世界、未来を迎えにいきましょう!」

  「僕のこの夢の世界は終わるけど、夢は終わらないんです
  「楽しみにしていてください!きっとワクワクさせますから!
 
ひろ「はい!きっと実現しますよ!!
   あ、それと、是非、"てるてる坊主”女の子の姿もお願いしますね!」

ひろはそういって、光の中に飛び込んだ。


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