『はじまりの物語』#14
海上の上でも、多くの人が忙しなく動き回っていた。
海底地震が発生したのだ。
ウェズは、ひろ達は引き返して来ているのか??
ヒロアキ は気が気ではなかった。
いち早く異変に気が付いた ウェジー は、すぐさま ウェズ に戻るように伝えた。
ウェジー「急いで! すぐに浮上しないと潜水艇が巻き込まれるわ!!
この距離を保たないと、あなたと通信が出来なくなってしまう!」
ウェズ は研究室を出る前に、もう一度部屋全体を見渡した。
ウェズ「僕は確かにここに居たんだ 大切な人と」
「いつか、きっと思い出すね
でも、僕は今を生きるよ」
ウェズ はそう言い残すと、急いで潜水艇に戻った。
ウェズ「ひろ、ごめん 絵本があったかも分からなかった......」
ひろ「ヒロアキ に言われたこと、忘れたの?
私達の命より大事なものなんて無いんだから!!
なんとしてでも、無事に戻るわよ!!」
ウェジー は上に向かって全速力で浮上しはじめた。
潜水艇の光の照らす先には、様々な建物の沈みゆく姿が映っていた。
いっておいで ウェズ!!
浮上する中でも、ウェズ は、懐かしい声を確かに聞いたのだった。
海底から舞い上がった砂が霧のように舞い上がり、来た時とは全く違う光景が海の中に広がる。
水の流れには逆らいきれず、ウェジー は浮上することよりも、
周りの岩などにぶつからないよう、細心の注意を払っていた。
しかし、無情にも潜水艇はものすごい勢いで吹き飛ばされていく。
ひろ が気がつくと、完全な暗闇に包まれていた。
どのくらいの時間、気を失っていたのだろうか。
潜水艇の中だから、まだ海の中なのだろう。
酸素がまだあるということは、そこまで時間は経っていないのかもしれない。
いや、そもそも、これは生きているのだろうか??
ウェジー の反応もないし、ウェズ は視界に見当たらない。
ひろ の心に、寂しさや後悔の感情が大きく襲いかかる。
下界での文明の存在を発見できただけで、十分だったんだ
私が ウェズ や ウェジー までも巻き込んでしまった
ヒロアキ......ごめん......
ひろ が暗闇の中、一人泣いていると、
遠くの方でオレンジ色に発光する光がぼんやり見えた。
そして、だんだん光が近づいてくるのが見えた。
とうとうお迎えが来たのだろう。
ひろ は、死を悟った。
潜水艇の前まで光が来ると、ひろ は、
光に吸い込まれるように意識を失った。
光の中で意識を取り戻した ひろ は、沢山の声や音を聴きながらも、
今までの自分の人生を振り返った。
そして、ヒロアキ と出会ってからの冒険の日々も。
それからどれぐらいの時間、光の中で過去を振り返ったのだろうか。
ひろ の目の前には、ようやく光の先に出口が見えてきた。
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