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女子アイスホッケー『スマイルジャパン』vs.デンマーク戦。ニューヒロイン誕生の予感。


アイスホッケー女子日本代表『スマイルジャパン』の初戦、凄かったですね。
強敵スウェーデンを相手に堂々の戦いぶり、3-1での快勝。

TVやネットでご覧になっていたみなさんも、手に汗握るとても面白い内容だったのではと思います。

今日はデンマークが相手。ぜひ勝って欲しいですよね。
去年の女子世界選手権でも日本が1-0で勝っています。点差以上に内容では押していた試合だったのであまり負ける要素が考えにくい。

↑テレ東サンも気合い入ってます

油断は禁物ですが、スマイルジャパンらしい戦いで、試合が終わったときにはみんなが笑っていられるような状況になっていて欲しいと思っています。

日本vs.デンマーク戦、試合のポイントは?

では、ここから筆者が提案する試合のポイントです。

アイスホッケーで、「これを分かっているとより楽しめるよ」、というものに「ライン」という考え方があります。

アイスホッケーの登録人数は各チーム23人。
標準的にはゴーリー(GK)を3名。ディフェンス(DF)を8名、フォワード(FW)を12名選びまして、
そこから「ライン」と呼ぶFW3人+DF2人の5人組みを
監督が選手同士の相性や役割を考えて選びます。

セオリーとしては、

  • 1つ目のラインは総合力のあるライン

  • 2つ目のラインは得点力がある選手を集めたライン

  • 3つ目はディフェンシブな選手を集めた守りのライン

  • 4つ目は得点は狙わず1~3のラインを休ませるため縁の下の力持ちに徹するライン

と言われていますが、今回の日本はGK3名。DF7名、FW13名の登録。
で、初戦スウェーデン戦でのラインはこんな感じでした。

GK 1藤本那菜 30小西あかね

ファーストライン(1つ目)
15浮田-14床秦留可-16志賀紅音
  3志賀葵-4床亜矢可

セカンドライン(2つ目)
23山下光- 10米山-11三浦
  2小池-8細山田

サードライン(3つ目)
27小山-18高-12大澤
 7川島-6鈴木

フォースライン(4つ目)⇒※FW4人DF1人の変則型
19大滝- 21久保- 13藤本も-22獅子内
 28山下栞

今回のチームは、飯塚祐司監督がセオリーを外す形で4つのラインを組んでいるということです。
1つ目から3つ目のライン15人だけで1-2-3-1-2-3というようにぐるぐる交代しながら試合を進め、勝負どころで4つ目に入っている21久保英恵や22獅子内美帆を起用して勝負をかける。こういう戦術をよく「3つ回し」と選手やスタッフは呼んでいます。

「ライン」はルールで決められているものではなくあくまで概念なので、試合中にバラして選手を組み替えても、出す順番を変えても問題ありません。大事な大会の決勝だと2セット10人を起用しまくる「2つ回し」にして勝負をかけることも。その分体力はハンパなく消耗しますが(経験者談)。

飯塚監督は、4つ目は最初からバラして適材適所でトッピングのように起用するつもりで選手選考していたのでしょう。
実際、スウェーデン戦の1点目は、ピリオド終了直前の相手が疲れているところで「スナイパー」久保を投入。久保が期待に応え、見事なパスを小池に送って点を取ることができました。見事な采配でした。

若手を積極的に使って、主力を休ませたい試合

いっぽうで、ちょっと気になるのが日本の看板ラインである、1つ目の酷使。
確かに攻撃力最強のラインなのですが、記録を見るとアイスタイムが60分の試合時間の50%以上。4つのラインを均等に出場させて疲労をできるだけ減らすようにするのが理想ですが、飯塚監督は1つ目にこだわりました。
その理由はスウェーデンが強いと予想していたこと、そして大事な初戦を取るために無理してもいいと思っていた、ことです。
※アイスタイム=選手の累積出場時間のこと。オリンピックなどの大きな大会では専用のスタッフがいて、誰が何分何秒出ていたかを記録しています。

↑アメリカ在住の日本人コーチ、若林弘紀さんの意見。

その中でも『セオリー的には運動量で勝負するチームはショートシフトで3-4セットをガンガン回すべきなので、今後も同じ采配なのか気になりますね。』という指摘が、今日のデンマーク戦の一番のキモになるかも知れません。

「意外に強い中国」も気にしながら勝たなきゃダメな難しさ

実は予選B組、昨日の試合で中国がデンマークに勝つという番狂わせを起こしました。

2/6に対戦する予定の中国が、予想以上に強いことが判明。
すると、中国に対してファーストライン3人の体力を残しておかなければいけない。ですので1つ目が試合時間の50%以上出場するという采配はまず行わないのでは、と予想します。
飯塚監督の思惑は、ある程度力関係の見えているデンマーク戦では、ここまで出番の少なかった選手もどんどん出場させて経験を積ませる、ということを考えていると想像します。

デンマーク戦はニューヒロイン誕生の予感

ということは……、
テレビなどでは志賀紅音選手がニューヒロインとしてたくさん紹介されていますが、デンマーク戦で期待される選手をご紹介。
まずは大阪出身姉妹の山下光&栞選手。お姉さんの光選手は初戦も活躍を見せました。


動きが速くシュート力もある三浦芽依選手大滝知香選手あたりにも活躍のチャンスが多数巡ってくることでしょう。




2つ目、3つ目のラインの組み合わせを監督がいじってくる可能性もあります。攻撃だけならめっぽう強い、獅子内美帆選手をどこで使うかも気になるところ。


↑獅子内選手のインスタから。FWで息ぴったりの“相棒”、藤本もえこ選手とのショット。



そう考えると、ニューヒロイン誕生の予感がぷんぷんしませんか?

油断は禁物ですが、初戦をみてもディフェンスはしっかり機能しているだけに、攻撃面ではある程度デンマークを相手に冒険ができるシチュエーションの試合です。

読者の皆さんも、画面の前でニューヒロインの誕生を心待ちにしながら、日本vsデンマーク戦を楽しんでいただければと思います。

文/ポタやん(IcePressJapan編集長)
写真/千葉修太郎(IcePressJapan)

【北京オリンピック 女子アイスホッケー 放送予定】
スマイルジャパンの試合はすべて地上波で放送!
<予選リーグB組>
2月5日17:30- vsデンマーク(テレビ東京)
2月6日17:30- vs中国(TBS)
2月8日17:30- vsチェコ(NHK)

↓より詳しい『スマイルジャパン』&アイスホッケー情報は
 アイスプレスジャパンへ 






ポタやんです。基本的にはライター&編集者ですが、最近は映像制作も精力的に行っています。現在アイスホッケー&アイスクロス情報サイト「IcePressJapan」を運営中。冬スポーツ色々を盛り上げるべく頑張ります!