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Xデザイン学校 京都フィールドワーク2023

京都の街でフィールドワークを3日間(10/7〜9)かけて行ったあと、半日講評(10/21)を行うまでの計4日の主な内容を備忘録として残したいと思います。

お題はこんな感じでした。

京都にバー出したいので、経営者側の希望と、京都という街の人や特性などをリサーチして、場所や形態を提案してください。

(半分は日記です。ご了承ください。。トップ画像は、美しくなくてごめんなさい。おやつに斗々屋でおこわ稲荷を立ち食いしています。)


場所を探すということ

最初のデスクトップリサーチからトンチンカンな方向を見ていたようだった。

住まい経験のない都道府県の(市区町村レベル単位の)リサーチをする場合、みんなどうやってするだろう?しかも京都だ。

自分の京都の知識

私は学生時代に2年住んでいた。もう何十年も前だが、とりあえずなんとなく土地勘はある。以降何度か来ている。

学生時代の京都は初めて実家を離れたタイミングだった。学生目線での京都は多分世間一般知識の文化程度しかわからない。町内会に入っているわけでもないし、学校行事に地域の人と交わることがない。

学生時代は地下鉄鞍馬口から加茂川に向かって徒歩10分しないくらいの住居だった。寺町西入という住所だったこともあり、自転車で三条に出るにはひたすら寺町通を下れば迷うことなく到着できた。
学校は川を2本こえて、ひたすら東に行き、山にぶつかった場所だった。私の生活圏はその2方向近辺だけで済んでしまったので、余計に地域文化を知る由もない。市バスの運転手は本当に怖かった時代で、たまに口調が組員的な人もいたくらい。当然お金もないので必然的に自転車ばかりの生活だった。

先生からと、昨年参加者からの予備知識

先生の資料で京都の予備知識をいただく。行政区以外の文化地域があり、かなり違うと。

デスクトップリサーチするのだが、その検索方法がなんだか思うようにヒットしない。どうしても不動産系情報になる。チームに中に昨年参加者の方がいて(課題は違うものの同じ京都)、その時の検索情報をシェアしてもらって全然違うことに気づく。

いわゆる「京都ヒエラルキー」。
「どちらすんではりますのん?」でヒエラルキーの位置を確認しあう、京都ならではの文化。だから地域の特性をそのヒエラルキーで調べると、ざっくり文化施設と地形で区切られてくる。
オーナーの趣向を考えと照らし合わせ推察するが、とりわけ新しい地域(最近のhot place)は住んでいる人とかでないとわからない。(もしくは情報通とか?)

む、むずい。。見聞きして確証を得ないと。。

バーというものについて考えてみる

あたらめて酒場周りの定義を調べると、居酒屋は食事ありきの酒場、バーは酒ありきの酒場(食事は限定的)。スナックは主に店主が女性で、マイクが置いてある。ざっくりとはこんな感じ。

自分の中のバーの経験や認識を書き出してみる。

バーって一人でも入りやすいらしいけど、私は入ったことない。
私はお酒好きの友人がシメとして「美味しい酒」を飲みたいがために連れられていくことがほとんど。カクテルが上手な、というよりはスコッチが置いてある店で選ぶ方だ。
だからマスターとお喋りはほとんどしたことがなく、せいぜい注文するときのお酒の話程度。お喋りはあまりしないがマスターの振る舞いはすごく気になるかもしれない。客がいなからってすぐに奥に引っ込んだりする店はよくない。
ちなみにワインは好きだが、ワインバーはあまり行ったことがない。

バーでどんな時間を過ごしたいか。
使い方の趣向で考えると、実は居酒屋よりも幅が広い気がしている。バーでお腹を満たそうとは思わないから、バー巡りが好きな人ならともかく、1軒目からバーに行くことはあまりないだろう。

じゃあ、どのタイミングで、何目的で行くか?

私の場合だと、例えば久しぶりにあった友人との話が徐々に深まってきた頃、とか。
お腹も満たしてお酒も入って心身ともにほぐれてきた時に普段思っている様々な思考が溢れてきて、これってどう思う?とかちょっと答え合わせしてみたいとか、それが互いに解決するとどんどんそういった話が切り替わって、とめどなく喋っている。自分の考えを発散している感じだろうか。

もちろん相手と意見が違うこともある。切り替わってどんな話になっても、互いに自分なりの意見を持っていて(それもまた嬉しい)、その行き来が楽しい。この場が楽しい。そんな感じだろうか。

みんなどんな感じで飲んでいるんだろう? 聞いてみると色々ありそうだな。

京都フィールドワーク(主に自分の行動記録)とKA法

1日目 13:00〜

午後から夕方までの講義は、課題の「企業する側」のビジネスインタビューと、課題の進め方を教えていただき、あとはチームビルディングに多くの時間を使った。

そのあとは課題調査のための好都合な時間。バー営業時間の夜の街の雰囲気を知るのは大事なこと。講義後に最寄りのスタバで作戦会議して西陣方面へ出発。

西陣と御所東それぞれに2名づつ分かれ場所を見ながらめぼしい店に入ってみる。私たちは御所東の夜の様子を見ながら、バーに入ってみる。

店内はその時マスター一人だけだったので、私たちの事情を話しながら聞き出していると、元常連さんだった人が一人でぷらっと入ってきて四人での会話になった。女性が私一人だったこともあり男性トークに寄りつつも、ただただよく笑った。(調査してないな。。)

色々迷ったのだが、ここに入った理由の1つはGoogle評価が4.9だったから。20年以上ここでやっている大阪出身のマスターで、このGoogle評価で外人が多くなってしまって「英語喋られんのやけど(笑」と困ってるという。もと常連さん(京大卒社会人2年目)とも、ここの常連になったきっかけや、通い続ける理由など聞いてみたが、「マスターが面白いから」だった。やっぱり、ですよね。

そのあとは京大方面に向かったが、何せ夜なので(広い敷地真っ暗)良くわからず。。近衛通りから東大路を下り、熊野神社を経て丸太町を西へと戻る形でそのまま三条を抜けて私はホテルに戻った。
熊野神社付近の丸太町通にいい感じのワインバーがあったが、いっぱいで入れなかった。

2日目 フィールドワーク(ほぼ丸1日)

1時間の講義後、西陣集合から始まったが、西陣エリアが実は広すぎということを後から知ることになって、この時はちょっと思惑と違うエリアの探索となってしまったが、チームメイトが声をかけた人が、偶然機織り職人のパーツを作っているという、いかにもこの地域らしい方にお話を伺えた。
キーワードは「古い古い体質(2回重ねるあたりが。。)」「気位高い」。新しいものに興味持つということはなかなかないということだった。

次のエリアである京大エリアで先生と合流※し回ることになったが、あいにく雨が降り出してしまった。京大北門前のカフェ進々堂でお昼にした。ここは長テーブル、長椅子があってレトロ感があり、教授がゼミの学生を連れてくる様子を見たことある。
※集合場所を「百万遍」に設定したのだが、百万遍は2箇所あるという事実をこのときに知る。。先生本当にごめんなさい。。

先生とは、昨晩歩いた場所と別の場所をまわったが、日曜日で雨だったこともあり、人もまばら。東へ向かうと銀閣寺に突き当たるがここで一気に観光客がいっぱいに。雨足も強くなりリサーチも難しいので、岡崎に移動。文化施設もあるし平安神宮もあって、とにかく国内外人が多い。でも少し離れると静かな場所に最近のお店がちらほら点在。

岡崎周辺。先生とチームのみんなを道の向こう側から。

2手に分かれ、岡崎でお店に入る組と、そのまま先生と御所東に分かれる組になり、私たちは御所東の新しいお店エリアを先生に紹介してもらう。やはり昨晩見過ごしていたエリアだった。新しい、こだわりのお店がいくつかあった。

10/8(日)の昼〜17時前までのフィールドワーク

御所東の斗々屋で先生とはお別れをし、再度裏道に入ってカフェに入店。

ちょっと息抜きでカフェをしつつ店内を見ると本がいっぱい。お客さんもおしゃれな方が多く、静かにお話している店内が印象的だった。オーナー(穏やかでにこにこ。柔らかい印象)にお話を聞いてみたところ、この本は自分で集めたものを置いているということだったが、ぱっと目に入っただけでも200冊以上は優に超えそうな量だった。
自宅兼カフェの物件を探していてここに辿り着いたそう。今はとても楽しいですとおっしゃっていたのが印象的だった。

お隣の本屋さんは恵文社で10年以上店長をなさった方(こだわりを感じる、強い意志を感じる印象)が独立して開いた書店。人文書をメインにしたセレクト本屋さんだが、外国の方も来るくらい、恵文社同様一目置かれている。店長をされてたくらいなので、この場所がビジネスとして成り立つ場所なのかがまずあって、決してエリアで選んだわけではないということだった。

web掲載のインタビューによると、過去の仕事のやり方を再構築して新たやり方でやられているようだった。記事を読んで「やはり」と思ったのは、上記のお隣のカフェともご近所さんで仲良くされているそう。本好きさんで話が盛り上がりそうだなと思っていただけに、いい関係性が生まれていることがわかった。

通りの奥の方にはオーダーメイドのリングを作るジュエリー屋さんもあったが、町屋を改造されていておしゃれだった。

ジュエリー屋さん

昨晩のガレージ奥のバーも洒落てて、この辺りが東京でいう目黒というのもなんとなく頷ける。

今夜も夜のフィールドワーク

一旦17時に講義ルームに帰ってラップアップ作業した後に、先生に伺っていた西陣エリアの中でも北野商店街(千本中立売付近)に向かう。しかしこの商店街が早めの時間に閉店するため、20時くらいに到着したがすでに閑散としていた。

2手に分かれたが、私の方は一旦ご飯にしましょうかと鉄板焼き屋さんでベタ焼き(?そんなのあるんだ。。)を美味しくいただく。

私とビールがべた焼きを待っている様子

「この後どうしようかな」と思っていた矢先、ほろ酔いの上機嫌な常連さんらしき隣の人に声かけられた。そこから私たちの立場をお話ししたところ、この方が「すぐ近くにあるし、今から自分も行きます」と教えられたバーに行く。

店舗自体はスナックっぽい感じだったものの、お酒の種類が豊富でカウンターの綺麗さはすぐに気づいた。ここならスコッチ指定で行けると思い、私は望み通りカリラをストレートでいただき、チームメイトはアルコールが苦手なので、その辺りのオーダーもうまく叶えられたようだった。

ちょっと驚いたのが、マスターの見た目はHIPHOP系な出立ちなのに、所作が美しいステア捌きだったこと。その後「カリラお好きならこれも気に入るかと」とおもむろにカールの袋を開け始め、燻製チップを用意し、火柱が立ち、カールが煙にゆっくり包まれ、そして「燻製カール」が出来上がった。全てが謎だらけだったが、食べてみると食感以外は全く別物になって驚きしかない。お菓子の甘さはどこに行ったんだ???
スコッチ抜きにして、普通に食べても美味しい。その証拠にカクテルを飲んでいたチームメイトもおいしさに驚いていたくらいだ。マスターは勉強熱心で技術を磨いているときいて納得。

ただマスターの「いろんなお客さんに来てもらいたい」という希望と、実際来店されるお客さんには少し隔たりがあるようだった。とても賑やかな店内で長居するのが難しかったので、40分くらいで出てきてしまったが、マスターの要望を叶えるにはこの店構えやマスターの服装の部分を変えれば、技術はあるのでできるのでは?と勝手に思った。(甘いだろうか。。)

3日目前半

最終日は13時から講義なので、それまではフィールドワークができた。おさらいとして自転車で回ることにした。

3度目の西陣だが、ここもまた今までと違う場所だった。
千本中立売付近でpippa(レンタルサイクル)を借り、北野天満宮から上七軒を通過し、今出川を下って笹屋町通を東へチャリチャリしたが、ずっと緩やかな降りだった。途中入った町屋を改造したカフェが何ともいい佇まいだった。ここで話を聞きたかった、と帰ってから自分は後悔した。みんな疲れてたんだろうな。。ぼーっとしてた気がする。

cafe origiにて

そのまま御所西エリアを雰囲気巡りする。 丸太町通りを東へ、四台が爆走して川を渡り、熊野神社手前で岡崎方面へ。残り時間が迫っていたので最短で四条烏丸へと考えたか、一瞬河原町三条の人混みに揉まれてしまったが、自転車を返却し、ギリギリ13時に着いた。

3日目後半

13時からこれまで調べてきたものをまとめる作業に入る。

インタビュー内容のメモを見て、そこからわかることをどんどんポストイットに書き出し、それを価値マップでまとめていくと別に見えたもの同士に繋がりがあって、意外な組み合わせに驚かされる。これは本当にこの作業を通さないとぱっと見ではわからない繋がりが生まれて楽しくなる。

この作業をするときの注意点は

  • インタビューの観察調査をまとめるときに、事実を書くことはもちろんだが、客観的にそれを読んだときに同じ様子が共有できるか。多少細かくなってもわかりやすいエピソードを書くこと。変にまとめない。その後記入者以外の人が人がそれを見て、KA法による価値を見出すための資料になるよう徹する。

  • KA法のカードの作成では
    「出来事(ユーザーの行動)」、それに対する「心の声」「価値」 を書き出すのだが、「出来事」の部分で「発言は体裁を保つための嘘があったりするので注意」とあった。これは全くの他人に話をするのだから、確かに十分ありうる。
    「心の声」と「価値」の分析で「行為目標にどういうコンテキストがあるのか」を見たときに、繋がるつながるものはまとめ、〇〇の価値とするときの粒度を大きくしすぎない。全部一緒になってしまうので。 例)「幸せになりたい」「楽しい」等は大きすぎ。調べた意味がなくなってしまう

KAカード(写真・イメージの部分は実際は時間がなくて埋められなかった)

KAカードの価値部分で似たものはグルーピングしていくが、先述のように組み合わせに驚かされる。表立って見えてるところは違うのに、求めている価値は近しかったのかと。

私たちのチームは四人で2つの価値のところで迷っていたが、考えてみたらこの2つは1つが達成されると、もう1つに移行する価値関係だったので、この形のままで考えることになった。

(講評も終わった現在改めて見ると、別の組み合わせしても面白そうなものがあって、これって無限で楽しい作業かもしれないという発見があった。)

ストーリーボード、経営者と利用者のペルソナ、を考える

私の中で経営者と利用者の人物像が交差してしまう場面があった。利害関係が一致していることを目標として作業していると、価値観が「どっちの価値観?」みたいな感覚があった。

同時にストーリーボードも作成。
今回は明文化に徹するもので、絵は一切なしだった。

ストーリーボード。漫画のように絵を描く場合もあるが、今回は明文化で。

Whoは早々に確定したが、Why(理由)とWhat(価値)で何度も行ったり来たりを繰り返したが、それ以上にHowを生み出すのに時間がかかった。
今考えると、振り返って考え直す場所をもっと前の段階にしても良かったのかもしれないが、自分の中でもはっきりと「ここが違ってたな」まで到達していない。

「ストーリーボードの絵に頼ってしまう」とのことだったけど、私たちチームに関しては絵でやった方が良かったかもしれない、と終わった今思っている。時制の感覚というか順を追って、この時点ではこれ、というのを一つ一つわかりやすくした方が最後のHowの部分での説明をよりうまく説明できたのかもしれないと思った。
それは講評当日の朝にふと思った、利用者が「店に興味を持ってから、店に通うまで」の行動を分解して見ると違った角度で考えられたからだった。ただそれを今からみんなを説得する能力がなかったし、その代わりとなるHowをすぐに見つけられなかった。
これが今の私の能力なんだと思うしかなかった。

先生がよくおっしゃっている「通り過ぎてから気づく」ことが、私にしては早く気づいた(いつもはもっと遅いか、気づかない)。

私だけではなく、もしかしたら皆、心底はためらいがあったままだったかもしれないと今は思える。

講評の結果はたくさんのご意見をいただくものになったが、この短い間に「初めまして」の仲間と1つのことに取り組めたのは、本当に良い経験になった。

その後の私の変化

このワークを通して、明らかに変わったことが1つある。

興味を持ったことを(本当に初対面の人に)「気軽に」聞いてみるという行動のハードルが下がったというか、今までは全然気軽でもないし、ネット検索で済ませていたりしたはずだったなと。

ベーシックコースの課題も「ダメだ」が先行することばかりだったのが、手当たり次第(もちろん礼儀を持って)お願いしてみる、が今はできてる。
その原動力の1つとして「ダメだ」より「知りたい、分かりたい」が強くなった、という感じなのかなと。実際に聞き出してみると情報の多さや、自分の偏見が入っていたりや、うまくいけば、知らない情報まで教えてくれることがある。情報の量も質も何倍も違うことに気づいた。

この前進には自分でもびっくり。良いびっくりです。この気持ちが変わってしまうことがないようにあり続けたいです。


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