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7回2失点は合格とは言えないのではないか。

 東京ヤクルトスワローズの優勝で幕を閉じた2022年交流戦。3タテすれば優勝の可能性もあったなかでの3連敗、手も足も出ませんでしたね。ここでは書ききれないぐらい随所にヤクルトとの「差」を感じましたね。オスナの洗練されたタッチプレーや中村悠平の徹底された配球、村上を初めとした打者のアプローチ…など。”令和の野球”を席巻していくチームの1つであることに間違いないと思わされた3試合でした。東京ヤクルトスワローズさん、交流戦優勝おめでとうございます。


▫️求められるべき姿

 3連勝すれば優勝の可能性のある中で初戦に先発したのは千賀滉大だった。前回登板時にフルスイングをして途中降板をするなどとてもエースとは思えないような振る舞いだったので、この試合はかなり期待して見ていました。解説を務めた斉藤和巳氏もプレイボール直前に「チーム内での立場を考えれば非常に残念な途中降板だった。今一度、存在価値を見せて欲しい」と仰っていました。が、初回から先制を許す形となり同点の4回には村上宗隆に特大の勝ち越しホームランを被弾し敗戦投手となった。7回2失点と試合を作ったことには間違いはない。しかし「1試合でも負けたら終わり」の試合で千賀滉大に求められるべき姿は「9回完封」なのではないか。

交流戦という年に1回の対戦で真っ直ぐの速い千賀の真っ直ぐを狙わない打者はまず居ないだろう。2死から山田に死球を与え、続く村上と坂口にファーストストライクの真っ直ぐを捉えられあっさり先制をゆるしていることからも真っ直ぐ狙いなのはまず間違いない。もっと言うと、先頭の山崎がプレイボール初球から手を出してきていてフォークに空振り三振だったことからも容易に想像できるだろう。村上の被弾シーンもそうだ。皆は「村上がスゴすぎる」という一言で済ませていたが、私はそれだけで済ませてはいけないシーンだったと思う。確かにインローの低め157km/hをPayPayドームの逆方向にテラスではなくスタンドに放り込んだその一打は、村上の技術のとパワーの高さが伺える1発だったことに間違いはない。が、直前のノースリーからの真っ直ぐをフルスイングして捉えきれずファールになる場面があった。このスイングを見れば真っ直ぐを狙っているのは素人が見てもわかることだ。そして、その後の被弾となったわけだが、直前の球への反応を見ても尚真っ直ぐを選んだその選択には「?」しか浮かばなかった。ちなみに、斉藤和巳氏もこの回が始まる直前に「長打だけは絶対にダメ」と仰っていた。


昨年の交流戦で工藤公康前監督も、阪神打線に打ち込まれた石川甲斐拓也のバッテリーに「真っ直ぐ狙いできている打線をバッテリーで察知しないといけない」と苦言を呈していた。

千賀の持ち味が速い真っ直ぐとフォークボールと言うのは分かるが、打たれていては意味は無い。如何にして自分の良さを最大限発揮できるのかというのを改めて考えてほしい。そうでなければ、ヤクルト打線のようなアプローチの良い打者には通用せずじまいになってしまう。凄い球を投げているのに勿体ないと感じてしまうのはそこからだろう。「9回完封」が求められるべき試合で、このような結果になったのは非常に残念だった。

▫️エースとしの矜恃、見習うべき東浜の意識

 エースとは。今年に入って(勝手にではあるが)よく考えることが多くなった。2桁勝利をしているか、三振を多く取れるか、球が速いか、防御率が良いから。一般的にはスタッツが良い投手がエースと呼ばれることが多い。それが間違いと言う訳では無いが、最近になって目に見えないような駆け引きやチームに及ぼす影響力なども考慮した方が良いのではないか(表現があっているかは分かりませんが。)と思うことが増えてきた。

東浜の交流戦2試合のヒーローインタビューを例に見てみよう。


この動画での共通点。それは何かと言うと「味方に先制してもらうまで、先に点を与えない」という意識を持っている事がわかる発言があったことです。

 エースとなると、このうなマインドはマストだと思います。点を与えなければ負けることはありませんし、味方の士気を高めることにも繋がるのではないでしょうか。特に打順の組み方や主要メンバーの不調で大量得点の見込めない打線だった阪神戦は、ピンチを背負いながらも要所を締め先制を許すことなく、味方の内野ゴロの間の1点を守りきりロースコアゲームを制しました。投げる球や目に見える成績も重要かもしれませんが、マウンド上での振る舞いやマインドというところもエースと呼ばれる要因となるではないでしょうか。

▫️最後に

リーグ戦再開の最初のカードは首位楽天とのマッチアップだ。初戦には千賀滉大の登板が見込まれるが、この試合でどのようなピッチングを見せてくれるかが非常に楽しみだ。エースと呼ばれる存在なら、それ相応のピッチングを見せてほしい。私はもってやれると思うし、それは皆思っていることだろう。この試合を制し、是非ともチームに勢いを齎してもらいたいと思う。

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