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- 不登校と孤独 - 分かってくれる人はどこにいる?

河川敷に座り、一人、空を眺めていた。

高校生のとき、学校へ行かなくなった僕は毎日、河川敷へ行っていた。

雲を見て、これからの人生について思いをはせた。

「さて、どうしようか……」

たまに同級生と遊ぶこともあったけれど、とてつもなく孤独だった。

自分を分かってくれる人なんて誰もいなかった。

みんなが話している恋愛や受験なんてどうでも良かった。

それよりも、この人生をどう生きていくのか?
なにをして生きるのか?

そのほうが大事だった。

残念ながら自分と同じような意識を持ち、悩んでいる人は周りにはいないように見えた。

「いる」けど、「いない」感覚

遊ぶ友達はいる。
ネットで交流している知り合いもいた。

でも、孤独だった。

僕はひとりぼっちだった。

次第に、「誰にも自分の気持ちなんて分かってもらえない」と、あきらめるようになった。

孤独を受け入れた。

いや、受け入れようとした。

しかし、寂しさは募り、しんどさはどんどん増していった。


孤独のブラックホールに入り込んだみたいだ。



大学へ入学すればなにかが変わる。期待して入ったものの、状況は高校の時と変わらなかった。


単位やバイト、ゼミの話で盛り上がる。人生について思い悩んでいる人はいなかった。

入学して1ヶ月。
ゴールデンウィークが明けた頃、親に「辞めたい」と言った。

退学は止められたものの、そこから大学へも行かなくなり、引きこもることになる。

思い返すと、小さい頃から同じだった。誰も自分の気持ちを理解してくれる人はいなかった。

テスト対策をおこない、バッチリ勉強してテストへ挑む。

良い点数を取ると、「頭良いね」と、ただ褒められる。

誰も自分の意図に気づかない。
取り組みも見ていない。
結果しか見ない。

うんざりだった。

その積み重ねにより、僕は人に壁を作るようになった。

「誰も入ってくるな」とばかりにバリケードを張った。

高く、高く。


ここにいたんだ……

やぁやぁ


自分の痛みや苦しみ、孤独が解消出来た瞬間を味わったのは、30歳になろうとしている頃。

NPOの研修だった。

そこには、自分と同じように悩み、苦しんでいる人たちがいた。

同じ目線で話すことが出来た。

「ここにいたんだ。。、」

ずっと探していた。

自分の悩みや気持ちを理解してくれる人。
見ている世界を同じように見ている人。

小さい頃からずっと孤独を抱えていた僕は、このときになってはじめて「ひとりじゃないんだ」と心の底から感じることができた。

同じ経験をしている人じゃないと分かりあえない

そのときに分かったことがある。

それは、「同じ経験をしている人じゃないと分かりあえない」ってこと。

研修に参加するまでもコンサルティングは受けていた。支援団体の人にもアドバイスをもらった。

でも、響くものはあまりなかった。

理由は、その人たちが自分と違うから。

あくまでアドバイザーであり、本人たちがNPOを経営しているわけじゃない。

同じような境遇のもと、同じような経験をしている人にし分からないことがある。

アドバイスは役に立つ。
けれど、心には響かない。
魂には決して届かない。

でも、同じ悩みを経験した人。同じように苦しんだ人たちの言葉には重みがある。

「ひとりじゃないんだ」
「同じように悩んでいる人がいるんだ」

と、心が救われる。

不登校も同じだと思っている。

カウンセラーには分からない

う〜ん、ちょっと無理かなー

ある日、スクールカウンセラーの面談を終えて教室に来た生徒が言った。

「結局、あの人たちカウンセラーは学校へ行けていた人なんですよ。僕の気持ちなんて理解できるわけがない」

僕もそう思う。

カウンセラーが意味無いとは思わない。
ただ、不登校を心から理解できるとも思わない。

真っ暗の中、出口がないトンネルをもがく感じ。
みんなに置いてけぼりをくらった感覚。
自分はどこかおかしいのかと思う不安。

シンプルに言ってしまうと、地獄のような日々だ。

それを軽々しく「分かるよ」とか「つらいね」と言って欲しくない。

体験した人と体験していない人では、大きな違いがある。

体験していない人は、決して分からない。

理解することは出来ても、本当の意味で理解できることはない。

ラーメンが好きな人がラーメン嫌いな人を理解できないように、なんとなく分かっても、「分かった!」とは決してならない。

だからこそ、不登校の子どもには、同じような経験をしている人と繋がる機会。不登校を経験した大人と触れ合うことが大事だと思っている。

オンラインフリースクールは、生徒はほとんどが不登校。
スタッフも不登校経験者が多い。

「誰も分かってくれる人がいない」という孤独ほど辛いことはない。

友達がいないことには耐えられても、どこにも自分を受け入れてくれる人や場所がないのは耐えられない。

僕たちはこれからも、子どもたちが「あぁ、ここにいたんだ」と思える場所をつくっていく。

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