24時間365日建設現場を定点撮影する「コネクトカメラ」で、建設業界の働き方をアップデート【ピクトグラム株式会社|事業紹介】
建設現場で働く就労者数は全国で約300万人、その内愛媛県内では約3万人が従事しているといわれている。総務省「労働力調査」を基に国土交通省で算出した結果によると、建設業に携わる29歳以下の若者は約1割、55歳以上が約3割と、全産業の中でも特に高齢化が顕著な業界だ。
【工務店が抱える課題】
なかでも工務店の現場監督は一人で複数の現場を担当し、多くの職人や取引業者とのやり取りなど多忙を極めている場合も多い。
1軒の家を完成させるために、大工、設備、電気、水道、板金、左官、基礎、内装、足場など数十人もの職人や業者が関わっている。現場監督は伝達漏れや理解のズレにより、ミスやトラブル、手戻りなどが発生しないよう、問題がなくても現場に頻繁に足を運び、目で見て確認するという業務が当たり前。複数の現場を並行しながら管理している場合は多忙を極める。
この記事では、そんな建設業界の課題解決の一手となる「コネクトカメラ」を開発した「ピクトグラム株式会社(以下、ピクトグラム)」による、「株式会社コラボハウス一級建築士事務所(以下、コラボハウス)」への実装プロジェクトを紹介する。
工務店の現場監督の業務効率化をはかる「コネクトカメラ」
■「コネクトカメラ」の特徴
ピクトグラムが2020年4月にリリースした「コネクトカメラ」。工務店の現場監督に対して、24時間365日定点撮影するカメラを提供することで、現場への訪問回数削減や、ミス・トラブル・クレームの削減に役立ててもらっている。広範囲を細部までチェックできる現場カメラを設置し、アプリをインストールしさえすれば、関係者全てがスマホやパソコンで離れた場所から現場の状況を見ることができる。
■「コネクトカメラ」の強み
現場監督の業務効率化を提供するために開発された「コネクトカメラ」と競合他社を比較した時の強みは、建設業界でシェア率No.1の施工管理アプリ「ANDPAD」と連携していること。屋外だけでなく、屋内も小型バッテリーで最長4ヶ月撮影できる2点。今回、実装をスタートさせたコラボハウスでは全ての職人、全ての業者がすでに「ANDPAD」を導入していたため、新たにアプリをインストールしたり、使い方をレクチャーする必要もなく、仕組みとして定着しやすく、スムーズに運用スタートできた。
負のスパイラルを「見える化」と「仕組み化」で解決
建設現場は現場監督が計画を立てた工程表に基づき、数十人もの人が動くことになる。職人が予定通り現場に行ったものの、前工程が遅れていることの事前連絡がなく、作業が出来ず、無駄足になることでクレームやトラブルに繋がることも。「コネクトカメラ」を導入すれば、現場監督も職人も関わる誰もが現場を見ることができるため、そういった無駄足も無くすことができる。現場監督が移動に費やしていた時間はかなり多かったが、その回数を減らすことができれば、時間コストだけでなく、車での移動も削減されるのでCO2削減にも繋がる、いわば環境貢献にもなるサービスともいえる。2024年1月現在、愛媛県内では、「コラボハウス」、「サンエルホーム」、「クリエイト伸」、「アットハウジング」の4社に「コネクトカメラ」は導入済みで実装化を進めている。
内部にもカメラを設置している場合、塗装が入っているか、クロスが貼れているか、キッチンの排水管が立ち上がっているか、電気工事に入れるか・・・など、予定通り工程が進んでいるかのチェックが現場に行かなくてもできるようになった。
工事用に設置した電柱に現場カメラを付けている現場。360ビューで隣の家との境界や業者用の駐車場まで確認できるため、クレームになりそうな状況があればすぐに連絡を入れて未然に防ぐこともでき、トラブルも激減した。
小型バッテリーカメラで屋内の施工状況を定点撮影。外・中の進捗状況が見えることで、現場監督への状況確認や電話連絡が激減した。
ブラッシュアップのための共有会を開催
どんなに優れたサービスでも、有効活用しなければ意味がない。ピクトグラムと実装先であるコラボハウスは定期的に「コネクトカメラ」についての共有会を開催している。せっかくある機能を使いこなせていない人もまだまだ多いが、中には「そんな使い方もしているんだ」と目から鱗の発見もあるという。職人や取引業者の人たちに積極的にヒアリングしていると、想定外のアイデアが出てくることも多い。
設備配管の例だと、配管ルート上にバッカンが置かれている場合、ゴミがいっぱいだと動かせず作業ができないため、作業予定の2〜3日前に現場の様子をチェックし、処分をお願いする段取りをしたり。施工中、何回も段階的に工事に入る電気業者は、駐車場の様子をチェックし、他の業者があまりいない時を狙って出向くことで、効率よく作業できるようになったという。
有効活用された事例を同業他社にも共有していき、職人たちがより効率的に作業できる環境を作っていくことが、結果的に現場監督の負担軽減にも繋がるので、今後も定期的に共有会を開催していきたいそうだ。
この日の共有会では、内装カメラについての開発も話題に。持ち運びができ、軽量でコンパクトなものが実現できれば、職人が指示を仰ぎたい部分を映し出し、細かな部材のつけ方など電話だけでは伝わらないことも、リアルタイムに詳細な指示ができ、遠隔でもスピーディに作業を進められるのでは、など前向きな意見の交換が行われていた。
共有会の後は実際の現場に移動。実際の現場と、スマホの現場写真を見比べながら、現場監督が普段どういうポイントをチェックし、現場で職人に指示をしているのか、現地で得る知見も開発には重要だ。
■ピクトグラム株式会社 代表取締役 峰岡孝平さん (右)、長尾貴大さん(左)
「コネクトカメラ」は簡単に取り付け可能なものですが、新しい現場に取り付ける際は、私たちもできるだけ現場に足を運んでいます。設置場所によっては、木屑が付いてしまったり、粉塵対策など、それぞれの建設現場で実際のしつらえをチェックすることで、今後の開発にも役立てていこうと思っています。また、小型で高性能のカメラがどんどん市場に出てくると思うので、あらゆるカメラと繋がるようなシステムに進化させ、より多くの現場課題に対応していく必要性も感じています。AIの技術を駆使しながら映像を自動解析しハードウェアとソフトウェアの両輪で業界課題を解決していきたいと思っています。
「コネクトカメラ」を導入し、県内で実装を進めている企業はコラボハウスだけでなく、サンエルホーム、クリエイト伸、アットハウジングの合計4社。現場の映像を工事関係者にどれだけ活用していただけるか、より役に立ち、効果をあげていけるかが目下の課題です。それぞれに運用してもらいながら、課題をクリアし、ブラッシュアップしていきながら、様々な機能を追加していく予定です。工務店、職人、施主が便利、楽になる「三方よしのサービス」へと昇華させていきたいと思っています。
■株式会社コラボハウス一級建築士事務所 設計 兼 現場監督 高市翔司さん
コラボハウスの現場監督は平均して10件程度の現場を担当しています。「コネクトカメラ」導入前は、現場の状況は電話して聞くか、自ら足を運ぶしかなく、目が回るほどの忙しさでした。問い合わせの電話も平均して1日に10件以上、多い日は30〜40件もかかってくることがあり、その度に仕事も中断していました。
導入後は電話の数が明らかに減り、1件もかかってこない日もあって、スムーズに仕事ができるようになり、ストレスも軽減しましたよ。カメラで見たらわかること、業者さん同士で確認したら済むことも増え、最短ルートで諸問題が解決し、業務が効率化されています。また現場に行かなくても、現場の状況が見えているので、伝達ミスや理解のズレがなくなったことも助かっています。
さらに当社では若手育成の教育ツールとしても有効活用しています。着工から完工まで全工程の写真、具体的な流れが詳細にわかるので、これほど役立つ資料はないんじゃないでしょうか。経験が浅い現場監督の担当現場も上司がリアルタイムでチェックできるため、タイムリーにフォローやアドバイスがしやすいのもポイントが高いと思います。
「コネクトカメラ」を導入した県内4企業に対し、実装化を進めていく中でさらにブラッシュアップし、新機能も追加していく予定のピクトグラム。実装結果がどうなったのか、次回、具体的に紹介するのでお楽しみに。
■公式ホームページ
https://dx-ehime.jp/
\SNSもやっています/
■Instagram
https://www.instagram.com/tryangle_ehime/
■Facebook
https://www.facebook.com/tryangleehime
■X
https://twitter.com/tryangle_ehime
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?