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言葉と文化の壁を乗り越え、外国人観光客の記憶に残る観光体験を!【LanCul株式会社|事業紹介・実装報告】

全国に20店舗構える英会話カフェや、英会話メディア・アプリを展開するLanCul株式会社(以下:ランカル)。ランカルは「語学と文化を通して、人々の心が豊かで多様性あふれるものにする」ことをミッションとして、コミュニティ型英会話と文化交流の体験を届けている。昨年2月頃、愛媛県今治市大三島の観光事業者を対象として、インバウンドメディアを用いた英語実践研修を実施している。


実装フィールド・愛媛県今治市大三島で、記憶に残る観光体験を

今回の実装フィールドとなる愛媛県内最大の島・大三島は、歴史ある「大山祇神社」や、カフェ、ミュージアム、瀬戸内海を望む絶景など集客コンテンツを多数持つ県内有数の観光地。近年では移住者も多く、新たな店舗・施設が続々とオープンしており、まさに活気のある島である。愛媛県今治市と広島県尾道市を結び、米CNNの「世界で最もすばらしい7大サイクリングコース」にも選ばれた「しまなみ海道」のほぼ中央に位置しているため、サイクリングに訪れる外国人観光客の立ち寄りも多い。
インバウンドも含め観光が盛り上がりを見せる一方で、観光事業者の英語対応の苦手意識と実践不足、それらによる外国人対応の心理的ストレスが課題として挙げられた。そして、県外や外国人観光客へのPR(認知獲得)にも苦戦している実態がある。その課題を解決すべく、ランカルが運用するインバウンドメディアを用いた英語実践研修が始まった。

前向きな意識で外国人接客や英語対応ができるように

ランカルが実施するのは、大三島にある観光事業者(宿泊施設・観光施設・土産物店・飲食店)の従業員が、ランカル所属の外国人インフルエンサーとともに、外国人に訴求力のある地元紹介動画を企画・制作しながら、グループワークの英語研修を行うというもの。外国語対応ができるスタッフを育成することで、外国人観光客に大三島の魅力を最大限知ってもらい、心に残る旅の思い出を提供すること、そしてインバウンドに対応する施設同士での相互誘客により、島の観光を盛り上げることを目的とする。

今回の参加事業者は、以下の5つである。
■WAKKA
ホテルやレストランなどの施設運営に加え、サイクリングサポートや自然を感じるアクティビティ体験を提供
■旅館さわき
瀬戸内の海の幸を使った夕食が人気の1972年創業の老舗旅館
■大三島みんなのワイナリー
ワイン用ブドウの栽培と醸造、ワインの販売を行う大三島初のワイナリー
■おみやげナガノ
大山祇神社に隣接する、瀬戸内の商品を中心に提供するお土産物屋
■Coliving & Cafe SANDO
1階にカフェとバル、2階にゲストハウスを構える観光客に人気の飲食店

日常的に英語に触れる環境を構築

まず日常的な取り組みとして、各事業者単位で、Zoomを使用した週2~3回のオンライングループワークと、同社開発のアプリ内コンテンツを用いた週4~5回のアプリ学習を実施。グループワークを通して楽しく英会話の経験を重ねることによって、英語へのハードルや苦手意識を下げることを目的とする。各現場で外国人が訪れた際には、適時英語で接客を行い、アウトプットを含め英語に触れる環境を構築する。

非日常的な体験で英語対応への意欲向上

また、1~2カ月に一度程度で、インフルエンサーを交えて、外国人にとって訴求力の高い自店舗・施設の紹介動画や、英語案内のショート動画を企画・制作し、ランカルのアカウントで投稿。参加する従業員にとって非日常的な体験となるだけでなく、英会話業界で唯一100万人超えのフォロワーを有するランカルの強みを生かし、効果的なPRを同時に行う。さらに、投稿した動画には、随時外国人を含む視聴者からのコメントが集まるため、観光客の反応やニーズを掴めることもメリットの一つだ。

上記のように、①英会話研修、②インフルエンサーを活用したコンテンツ制作の実施により、参加事業者(従業員)のエンゲージメント向上、外国人観光客の満足度向上、見込み客のリーチと誘客を検証する。

【コンテンツ制作の一例】

■「WAKKA」が提供するマリンレジャーの体験

SUPのコツや安全管理について英語でレクチャーするスタッフと体験するインフルエンサー
クルーズ船に乗って釣り体験をする様子をコンテンツ用に動画に収める

コンテンツ制作に参加した従業員の声

インフルエンサーのみなさんが、全力で楽しみながら「こうしたら、こんなに楽しいよ!」といろいろな言葉で伝えていただけて、すごく有難かったです。特にSUPや釣りなどは、人によって経験値が様々なので、マニアックな専門用語などをどのぐらい使っていいのか、もしくは言われたときにちゃんとキャッチできるかというところがやっぱり難しい。でもアクティビティって言葉だけじゃなくて、ジェスチャーも一緒に使っていくことで120%理解していただけるので、英語は僕自身まだ拙いですが、安全に楽しんでいただくには十分なものをご案内できたんじゃないかなと思います。「しまなみに行ってみよう、愛媛行ってみようかな」と思っていただけるようなすごい発信力で、有難いなと思います。

■「旅館さわき」で日本の旅館を体験

客室で浴衣を着てお茶菓子などを楽しむ様子

コンテンツ制作に参加した従業員の声

旅館さわき・幸子さん(毎週、英会話レッスンに参加)

若旦那と若女将がいないときに外国人の方が来て、必死で単語を並べてジェスチャーで伝えて…と、それが無性に嫌でした。今回のレッスンを受ける前から、若旦那が話す英語をノートに書き出して家でも復習するなど勉強もしていました。自分で覚えようという気がなかったり苦になったりしたら多分ダメだと思います。覚えられなくても、まずはやってみると自分に言い聞かせました。やめたらそこで終わり。こちらから外国人の方に話すことは決まり文句みたいなところがあるので、聞かれたことに答えて会話できるようになるのが目標です。この年になって英語を勉強するとは思いもしなかったので、楽しいですね。

■「大三島みんなのワイナリー」でワインの試飲・畑の見学

3種類のワインを試飲する様子

コンテンツ制作に参加した従業員の声

大三島みんなのワイナリー・川田祥子さん(毎週、英会話レッスンに参加)

サイクリングなどで外国人の方がよく訪れますが、ワインを試飲してみたいという方が多い印象です。「美味しかったよ」と感想をもらうなどコミュニケーションを取るときに、案内したいことはあれど何と言っていいか分からないことがしばしば。ワインの詳しいことについてちゃんと説明していきたいので、今回参加させていただきました。オンラインレッスンを通して、英語力はもちろん、外国人の方と話すという壁がなくなりました。また、動画コンテンツ制作を通して、インフルエンサーのみなさんに撮ってもらったようなところが受けるのかと新しい発見がありましたね。動画コンテンツがどのように広がっていくか楽しみです。

英会話研修による行動変容とコンテンツの影響力

①英会話研修
週2~3回のオンライングループワークや、週4~5回のアプリ学習を実施したことにより、各事業者の参加者に以下3点のような行動変容がみられた。

【参加者の行動変容】
・英語力の向上:単語を途切れ途切れに話していた⇒会話の中でスムーズにフレーズが出てくるようになった
・異文化理解力の向上:一つひとつ英語で考えて話す⇒英語脳に変化
・積極性の向上:質問を待っていた⇒気になることを自分から質問するようになった

また、アンケートの結果により、参加者の90%がモチベーションの観点から満足したと答え、業務にも良い影響がもたらされていると評価した。
その他、Google maps上で見られる外国人ユーザーのクチコミ(フィードバック)数は、平均で1.5倍ほど上昇した。特に「大三島みんなのワイナリー」では、約3倍のクチコミ比率増加がみられ、来店客数も増えている状況にある。

②コンテンツ制作

各事業者と共に撮影したPR動画コンテンツ(ショート)は、SNSでの総再生数が200万回を突破。場所の認知だけでなく、体験の内容がより伝わるようなフル映像もあわせて発信している。さらにこのコンテンツ制作により、動画コンテンツのコメント欄を確認することで、外国人がどう考え、外国人にとってどの部分が刺さるのかを理解することに繋がると考えられる。

▼WAKKA・ちょい釣り体験の動画コンテンツ
https://youtu.be/Ezrj2k6Ls0I

▼旅館さわき・宿泊体験の動画コンテンツ
https://youtu.be/K1ygN9z8Hw4

参加事業者がこのプロジェクトに対して想うこと

WAKKA・村上あらしさん

本プロジェクトに参加して、一番は社員たちが英語を話したり勉強したりすることに興味を持ち始めてくれたのが大きいですね。うちは海外の方のアクティビティ利用も多いので、英語でスムーズに説明できるのは重要。安全説明もあるので尚更です。学問ではなく人と人との会話なので、楽しいと思ってもらえたら絶対上手くなると思っています。きっかけとしての英会話研修やコンテンツ作りで、まずは楽しんで、英語を習慣的に勉強して話すようになって、上達してもらえたらと思います。大三島には、ここを英語で伝えられたら海外の方も喜ぶのに、というコンテンツがいっぱいあるので、本当にもったいない。機会損失は大きく強い問題意識を感じるし、逆に言えば、そういうところが海外にうまく伝われば、来客者も増えたり満足度も高まったりするなと。大三島も今治も、愛媛全体にとってもプラスになるかなと思います。

大三島内でのさらなる展開に向けた勉強会

2024年1月23日、実装先の一つである「Coliving & Cafe SANDO」にて、大三島内の観光事業者に向けた勉強会を実施。大三島の美術館や道の駅の関係者が訪れ、今年度の事業概要の説明を受けたのち、インフルエンサーと交流を行った。

勉強会の様子

参加者の声(一部)

・業務時間内で取り組める場合、短時間を毎日繰り返すことで、効率よく短期で英会話が身に付く、よくできたシステムだと思った
・施設によって、外国の方によく聞かれる内容が異なる。例えば受付の人は受付で必要とするシチュエーションを繰り返し体験できるなど、必要なことに特化して体験するのもよいのではないか
・英語を交えながら、コミュニケーションができて楽しかった
・(美術館などは)海外の人が強い興味を持ってきてくださる傾向があるので、英語で丁寧に解説対応ができればと思うが、他業務により準備や練習ができないことが課題
・勤務時間内で英語学習時間を確保できることは難しいので、リール(ショート動画)などは来館者のいないスキマ時間で手軽に英語に触れられる媒体で、有効だと感じた

今後の展望

今回、大三島にて実装した事業者には、アプリ・オンラインで引き続きフォローをして、英語対応のスキルを定着させていくことが必要である。また、新規実装先の紹介をお願いするなど、地域で意識を高めていくことで、コミュニティ全体に拡大できるように展開予定。受け入れ態勢を整えていくことが、よりこの事業の効果を大きくする。
そして今後は、愛媛県内一の観光地である松山エリアにて追加で5事業者実装し、今回の大三島の事例が横展開可能なモデルかを検証する予定だ。ランカルの主事業である英会話カフェの拠点開設についても、実装先企業とのパートナーシップにより検証が進められることが予想されており、観光の新しい形を作る本事業の可能性にますます目が離せない。

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