「医療的ケア児がオリパラを観戦するにはどうしたらいいか」を考えてみました
皆さん、こんにちは😀
一般社団法人Try Angle(トライアングル)の須田です。
Try Angleは、障害や病気の有無に関わらず旅行を楽しめる社会をつくりたいという想いの下、活動しています。
障害や病気と共に生きる人たちの中でも特に、医療的ケア児(たんの吸引や人工呼吸器などの医療機器とともに生活する子たち)は、外出や旅行のハードルが高いのですが、この子たちが旅行しやすい社会は誰にとっても行きやすい(& 生きやすい)社会なのでは、と考えています。
その上で『医療的ケア児の旅行ガイドライン』を作り、旅行にあたって知っておいたり準備しておくといいポイントをお伝えしたりしています😊
さて!
いよいよ開催が近づいてきました、『東京オリンピック・パラリンピック2020大会』。
新型コロナがなければ、もっと違う気持ちで迎えられていたであろうこの大会ですが……。
今回は新型コロナの流行や医療体制の逼迫がなかったら、と仮定して、
『もしも医療的ケア児がオリパラを観戦するにはどうしたらいいのか?』
を考えてみました。
医療的ケア児がオリパラを観戦するにはどうしたらいいのか?
今回このテーマを考えるきっかけをくださったのは、オレンジホームケアクリニックの紅谷先生です。
このテーマを考えるため、紅谷先生のほか、スタッフの伊藤さん、増永さん、吉田さん、福岡のNPO法人にこりの松丸さんらとともに、5月某日にオンラインミーティングを行いました。
ミーティングを開いたはいいものの、そもそも、だーれも行ったことのないオリンピック&パラリンピック。
チケットをどうやって入手するのか、会場の環境はどうなっているのかも想像がつきません😅
「何が必要?」
「どんな設備がある?」
「電源は確保できるの?」
「トイレにはユニバーサルシートあるかな?」
「雨が降ったときどうしよう」
など、議論のポイントは尽きることがありません。
でも、どれだけ考えても、会場ごとに状況は違うだろうし、困りごとはおそらく次から次へと出てくるでしょう。
「困りごとをつぶすだけじゃなくて、こうしたら楽しめるよっていう提案をしたいよね」
という一言をきっかけに、
医療的ケア児がオリパラを観戦するにはどうしたらいいのか?
↓
どうしたら医療的ケア児がオリパラ観戦を楽しめるか?
を考えるようになりました。
そして、今回のオリパラの大会運営には含められないにしても、今後開かれるであろう様々なスポーツ大会の運営において、大会運営者や競技者の方にも、医療的ケア児がスポーツ観戦を楽しむためにどうしたらよいかを考える材料を提供したいと思いました。
そこで、今回アウトプットするものは、オリパラ観戦も視野に含めながら、医療的ケア児が今後スポーツ観戦を楽しむために参考になる情報や、運営方法を考える材料を提供するものにしよう、ということになりました。
医療的ケア児の旅行ガイドライン『スポーツ観戦編』全文紹介!
ということで、出来上がったもののがこちらです!👇
文字が小さくて見えづらい方は、記事最後にPDFのダウンロード先をご紹介しますので、ぜひそちらでご覧ください。
本記事では、記載内容を全文紹介していきます。
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『医療的ケア児の旅行ガイドライン -スポーツ観戦編-』
医療的ケア児は、なかなかスポーツ観戦からは縁遠い生活をしています。
でも、スポーツを現地で見る迫力や、応援する人たちの熱気などの臨場感はライブだからこそ体験できるもの。
様々な工夫をしながら、一緒に楽しみたいですね。
【はじめに】
◎大会主催者・競技者
医療的ケア児の特性を、本ガイドラインを参照したり、実際に医療的ケア児に会いながら、情報収集しましょう。
普段からサポートに入っている医療ソーシャルワーカーや看護師などにアドバイスをもらうのもよいでしょう。
お子さんによってそれぞれではありますが、「体温調整が苦手」「寝姿勢が多い」「突然大きな音がなると驚いて発作を起こしてしまう」「医療機器のアラームが鳴る」などの状態であっても観戦を楽しめる工夫をみんなで考えましょう。
🩺ドクターのコメント
「痰の吸引や、栄養剤の注入時に水分を必要とします。医療機器を清潔に保ったり、体調管理に必要なものですので、持ち込みへのご理解をお願いします。」
◎医療的ケア児&ご家族
動画サイトや大会主催者のWEBサイトに、これまでの競技大会の様子が動画で紹介されていることがあります。
事前に競技大会の雰囲気や、1試合の時間数など、その場にいる想定で情報収集をしましょう。
「試合中は静かにする」「持ち込み禁止のものを持ち込まない」など観戦ルールや禁止事項を確認しておきましょう。
👨👩👧👦医療的ケア児&ご家族のコメント
「ルールをあまり知らなかったり、なじみがないスポーツでも、ダイナミックな動きが見れたり、音楽が流れるスポーツだったら親子で楽しめそう!」
【暑さ対策】
◎大会主催者・競技者
屋外で待機する時間がある場合は、日陰や冷風機などがあり、医療機器の電源が確保できるテントなどがあるといいでしょう。
◎医療的ケア児&ご家族
保冷剤やブランケット、日傘など、体温調整できるものを持っていきましょう。
【会場へのアクセス】
◎大会主催者・競技者
競技大会の会場までの、バリアフリーアクセス情報を発信しましょう。
会場のウェブサイトに詳しく情報がある場合は、リンクを貼るなどして閲覧者が手早く情報収集できるようにしましょう。
会場外でイベントや飲食店の出店などがある場合は、その情報もお知らせすることで、動線を考えやすくなります。
◎医療的ケア児&ご家族
事前に会場のウェブサイトや「Wheelog!」などのバリアフリーマップでアクセス方法を確認しましょう。
東京オリンピック・パラリンピックの会場については、DPI日本会議のサイトが参考になります。
https://www.dpi-japan.org/wp-content/uploads/2017/12/bbd9fbee7bbe6bde859d70efeadbbee3.pdf
【観戦環境】
◎大会主催者・競技者
車いす席がある場合は、寝た状態で観戦できるか確認しましょう。
試合を行うフィールドが低い位置にあったり、手すりがあり見えにくい場合は、「モニターを設置する」「アリーナなどで新たな席を創設する」「VR観戦を導入する」といった工夫も考えられます。
競技者と医療的ケア児の交流の機会をつくれると、より多くの人に医療的ケア児のことを理解してもらったり、情報発信の機会となります。競技者ならではの視点で、医療的ケア児がスポーツ観戦を楽しむ工夫が生まれるかもしれません。
◎医療的ケア児&ご家族
試合開始前には、オムツ交換や注入などを済ませ、観戦を楽しみましょう。
会場には様々な場所で試合を楽しめるようにモニターを設置している場所や、キッズコーナーがある場合があります。
試合中に子どもが飽きてしまった場合は、場所を変えながら観戦を楽しむという方法もあります。
スポーツ観戦後はその経験を、ぜひ発信しましょう。
ほかの方の参考になり、医療的ケア児とスポーツが身近になるきっかけを作ることができます。
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医療的ケア児のスポーツ観戦の道のりはまだまだこれから!
と、いうことで、医療的ケア児がオリパラを観戦するために、医療的ケア児・家族と、大会主催者・競技者の双方が知っておくとよいであろう情報をまとめ、『医療的ケア児の旅行ガイドライン -スポーツ観戦編-』としてご紹介しました。
「正直、なんだかはっきりしないもの言いだなぁ」とか「まだまだ議論が足りないよ」とツッコミたい方もいらっしゃるかもしれません。
そして、いざスポーツ観戦を実践してみた暁には、さらに追加したい情報が出てくることと思います。
まだまだ医療的ケア児がスポーツ観戦をあたりまえに楽しむには、経験も、情報も、対話も足りていません。
だからこそ!
実際にスポーツ観戦に行ったことがあるよ、という方はぜひぜひ追加の情報を頂きたいです!
また、「うちのスポーツをぜひ医療的ケア児のこどもたちに見てほしいよ!」とお思いのスポーツ関連のお仕事をされている方、一緒に新しい道を開いていきたいです!ぜひお声掛けください!
一緒に中身を充実させていきましょう😊
そして、誰もがスポーツ観戦を楽しめるようにしていきましょう✨
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医療的ケア児が旅行するにあたってのヒントや、旅行を受け入れる観光事業者の方向けの情報をまとめています。
旅行に行った人、迎え入れた人、双方のインタビューも載っています。
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