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足るを知る暮らしー居室編

ことわざに「起きて半畳寝て一畳」というのがある。
人間一人が占める広さは、起きているときでも半畳、寝る時でも一畳で足りるということから生まれたことわざであるが、足るを知る生活の中ではこの言葉がいやに響く。

流石に現代社会で一畳分の広さのみでの生活は現実的ではない。それでも個人的には四畳半もあれば事足りると思う。
部屋の中心に座って、手を伸ばして無理なく届く範囲が四畳半という考え方もできる。
私は横着な人間なので朝の身支度の時には座っているところから化粧品もティッシュもヘアアイロンも、すべてが手に届く位置に置くようにしている。

とはいえ、私の実際の暮らしはといえば六畳。+三畳のキッチン。

思い返せば実家の自室は八畳くらいはあったように思う。
もともと兄妹二人の子供部屋として、二段ベッドが置かれていた部屋だった。それを二人それぞれ独立した部屋を、となった時に私が広い方の部屋を手に入れた。

勉強机にベッドにこたつ。テレビ、本棚、箪笥。
押し入れに荷物を詰め込んでいたというのもあったけれど、大きな趣味のものもないし(趣味は本棚の本とPC一台で完結する学生時代)、部屋には余白もあった。空間が余っていたのだ。

一人暮らしを経るたびに自分にとっての適性面積というものを知っていった。
思いかえせば、リゾートバイトでシェアハウス寮だったときの個室が一番狭かったと思う。確かあれは四畳くらい。
ベッド、冷蔵庫、ローテーブル。スーツケースを広げたら足の踏み場がなくなる。そんな狭さだった。けれどもその狭さが心地いいと感じてしまったから、私にとっての適性面積は四畳程度だったのだろう。


足るを知るというのは自分の許容量を知ることでもある。
どの程度なら把握しきれるか。どこまでだったら自分の手のうちに収まるのか。
これは、よくミニマリストが「持ち物は把握できる量だけ」ということを言うのに近い感覚だ。

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