見出し画像

アルバルク東京選手紹介(第5回)#75 小酒部泰暉『何になりたいのか』

シリーズ説明

・B.LEAGUE 2023‐24シーズン、アルバルク東京の選手について一人ずつ紹介と解説、期待していることを載せていく。
・筆者の知識はミニバスのアシスタントコーチまで。そのため技術について書くのは限界がある。
・誤解が生まれないよう徹するが、あくまで筆者が思う選手についての紹介なので、オタクがなんか言っていると軽い気持ちで読んで欲しい。

選手紹介順

#3   テーブス海
#0   橋本竜馬
#25  福澤晃平
#1   岡本飛竜
#75  小酒部泰暉(今回)
#9   安藤周人
#23  レオナルド・メインデル
#8   吉井裕鷹
#22  ライアン・ロシター
#11  セバスチャン・サイズ
#21  平岩玄
#77  アルトゥーラス・グダティス
#10  ザック・バランスキー(C)
#おまけ選手α
#おまけ選手β
#可能ならスタッフ、チア、ルーク



注目スタッツ

スタッツ(略)/数値(ポジション内順位)
平均出場時間(MINPG)/22:05
平均得点(PPG)/7.6(28位)
シュート成功率(FG%)/40.7%(31位)
2FG% / 47.7%(44位)
3FG% / 29.8%(74位)
平均アシスト(APG)/2.5(22位)
 
CSスタッツ
平均出場時間(MINPG)/ 25:45
平均得点(PPG)/ 11.2
シュート成功率(FG%) /  39.5%
2FG% / 52.9%
3FG% / 30.8%
平均アシスト(APG)/ 2.2

https://www.bleague.jp/stats/?year=2022&tab=1&target=player-b1&value=FOULAV&o=desc&e=2&dt=avg

成績詳細|B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイトより

アルバルク東京にとっての小酒部泰暉

【注:今回はマイナス要素強め】
アルバルク東京(以下A東京)という環境は、小酒部泰暉にとって一概に最適であるとは言い切れない。
彼が加入した時、既に彼と同ポジションのSGには絶対的エースの田中大貴(現SR渋谷)が君臨していた。そして最近では日本代表候補の安藤周人が加入し、その層が更に厚くなる。これではスタメンどころか、プレイタイムを得るのさえ一苦労だ。仮に安藤がSFに回ったとしても、SGとして出場できる時間は全体の半分以下。フィジカルに優れ、大学時代は関東リーグで得点王を獲得した選手でありながら、幾分か勿体ない器用でも仕方のない状況であった。
しかし、昨シーズンは田中大貴の離脱に合わせてプレイタイムが増加。加えて、ジャスティン・コブスの離脱でハンドラーとしての役割も要求された。結果的には様々な経験を得られたシーズンであったと言える。
 
――が、正直なところ甘い。
小酒部泰暉という才能を考えれば、まだまだ残念な結果と言える。
 

長所/短所

①オールマイティ/器用貧乏

スタッツで分かるように彼はオールマイティ、Gとして万能型だ。スタッツ外ではDFに優れ、比江島(宇都宮)などのトップ選手を1on1でシャットアウト。相手を正面から止めるフィジカルもあり、軽々とダンクを決める跳躍力もある。
しかし、逆に言えば特質して高い数字は見当たらない。相手から1on1を仕掛けられると言うことは、相手に抜けるDF(シュート成功率の高い穴場)であるとも思われている。Gのポジションであるため、ダンクを決めに行くシチュエーションも少ない。
存分に活かせているように見える才能も、効果的な活用が出来ているのかと聞かれれば難しいところだ。ここに関しては全てが一級品のライアン・ロシターが在籍している。ポジションは異なるが、ヒントになる部分はあるはずだ。

②経験

そして、もう一つ重要なことがある。それは田中大貴の控えであったことでの弊害だ。
これは誰が悪いわけでもない。日本バスケ史に残る突然変異種(ここでは田中大貴。他は富樫勇樹/比江島慎/河村勇輝など)がチームに在籍していると控え選手となってしまうことは仕方がない。
そして、控え選手は試合終盤の重要なシチュエーションで出場することは稀有だ。加えて突然変異種が在籍していれば、それはより濃い傾向で滲む。そのため小酒部は成長イベントを取り逃している。たった一度でも国際大会でNBAレベルの選手とマッチアップできた吉井とは対極的である。
本来は昨シーズン田中大貴が離脱した際、その経験を積むべきだったのだ。しかし、彼自身も昨シーズンは怪我で長く欠場している。絶好の機会を失ってしまった。
残酷と言われるかもしれないが、スタッツ上では2019‐20から見込んだ成長を遂げていない。
キャリア的にも25歳と区切りであり、U19の新たな波も来ている。Bリーグ全体で新たな取り組みが始まっていることも含め、悠長に成長にかけられる時間は無い。

『何になりたいのか』

さて、ここまで厳しいことを書いてきたが、1つポジティブなことを書く。それは彼にとって今シーズンは絶好の機会だと言うことだ。
チームとしては戦力ダウンにはなるが、田中大貴が移籍したことで彼にもチャンスが回って来た。同年代のテーブス海が加わり、吉井が代表経験を得て帰って来た。
SGでは長らく見られなかったポジション争いと、同年代の競い合える仲間。積極的なコミュニケーションで自分を主張しても良いはずだ。
昨シーズンの安藤周人はA東京のエースとなり得る働きを見せた。今年も同様のアグレッシブなOFを行い、3FG%を上げて来るならば、いよいよもって彼が新たな『A東京のエース』の座に就く。
ただ、僕は小酒部がエースになれないとは思っていない。彼はその立場になり得る器があり、国内SGの最高傑作である田中大貴を誰よりも間近で見て来た。私情を挟むならば、攻撃的なドライブや、相手を置き去りにする切り返しからのシュートが見たい。やれるはずだし、やって欲しい。 OFが安藤で、DFが小酒部など決めるのは時期早々だ。

つまり、オールマイティだからこそ、まだ目指せる先があるからこそ、僕が彼に問いたいのは『何になりたいのか』である。彼が選手として目指している姿をプレイで見せて欲しい。

この舞い込んだチャンスにおいて一つ気になった点を述べて終わる。それは川崎とのプレシーズンゲーム後に彼が語ったことにある。
『田中大貴選手が抜けた2番ポジションのところをステップアップして突き詰めて』
恐らく大丈夫だと思うが、我々は彼に田中大貴を期待してはならない。彼自身も田中大貴を目指してはいけない。田中大貴はA東京の英雄だが、何度も記すように彼は突然変異種だ。同じことを目指して出来るなら、日本バスケはとっくに世界レベルになっている。

田中大貴が抜けた穴を埋めるのはあくまでも『小酒部泰暉』だ。小酒部泰暉には『小酒部泰暉が目指す、最大値の小酒部泰暉』になって欲しい。

次回

次回は『#9 安藤周人』選手の紹介です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?