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魔法のメリーゴーランド

とある郊外にある遊園地に、昔から愛されているメリーゴーランドがあった。

乗る人たちは子供はもちろんのこと、大人や、老夫婦まで年齢はさまざまだった。

そのメリーゴーランドに乗ると無邪気になれ、ワクワクはしゃいだ気持ちになれるからというのがもっぱらの噂。

だから、大人が乗っても小さい頃のように、いまに夢中になり、後先を考えず、無邪気にメリーゴーランドに乗ることをただただ楽しむのだった。


ある日ひとりの男性が遊園地にきて、メリーゴーランドの前までやってきた。
彼の普段の口癖は、

「どーせ、そんなの無理だろ。何綺麗ごと言っているの。」


日々仕事で、そんなセリフをよく呟きながら過ごしていた。
でも、ふとある日そんなことばかり言っている自分が空しくなってきたことがあった。

そんな時、同僚から聞いた遊園地のメリーゴーランドの噂を聞き、ちょっと気になり、休日に行くことにした。


案の定、メリーゴーランドは大人気!
男性はちょっとひるみそうになったが、せっかく時間をかけて来たのだし、とベンチに座って待っていた。。


そうしたら、なんとか数十分後に一つのメリーゴーランドが空いた。

「よし!乗ろうか。」

男性はぎこちない感じながらも、空いたメリーゴーランドに乗り、音楽が流れてきて、馬につかまりながら身を任せてみた。


そうしたら、今までの自分では感じたことのないようなワクワクした気持ちと、前からやってみたいと思っていたことを思い出した。そして、メリーゴーランドの心地よい揺れがまた、気持ちよく、過去も未来も考えず、いまが楽しかった。


「こんな気持ちになるのは、何十年ぶりだろ。そういえば、あの頃は毎日が楽しくて、ワクワクしていたっけ。それにつけて、いまの僕は物事をみんな斜めからみるようになってしまった。そりゃ、つまらない毎日にもなるよな。。」


メリーゴーランドに乗った次の日から、男性はいつもつぶやいていたセリフをあまり言わないようになった。
それよりも、

「今日は、あそこに行って前から気になっていたあのお店に行ってみよう!」

とか、
「よし、今週末はあの本を読んでみよう。」
とか、前を向いて、楽しく生きるように姿勢が変わっていったのだ。

メリーゴーランドは、これからも全ての年代の人達の日常を明るく、ワクワクさせる、不思議な場所として密かに人気の場所となっていった。

おしまい🎠


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