耳の聞こえない私が、脳内の辞書を編むということ。「しゅくだい」を編み込んだ入学式の日。
私は、生まれつきの聴力障害者である。聾学校幼稚部(聾学校内にある幼稚園)に通い、卒業。そして、同校内にある小学部に進学。
小学部入学式の日。帰宅したのちに、母に聞かれた。
「****は出たの?」
手話も何もなく、口だけで言われた。家族や聾学校先生たちとは、口をはっきりあけてゆっくりと会話をしていた。しかし、このときは母に何を言われたのか分からなかった。分からないままに、あいまいにうなずいていたが、母はなおも聞いてくる。うなずくだけではスルーできない、何かを聞かれているようだ